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ほぼ事務所な空間を、すべて快適な家族の居場所に変えたリノベ

2015年09月21日 ── 東京都・家づくり ── 13121

 きれいなピンク色の壁に赤いタイルがかわいらしい印象のキッチン。広々としたリビング。しっとりした和のテイストをとりいれた寝室。ここが以前、事務所だったとは誰が想像するでしょう。事務所のようだった空間はリノベーションで大きく変貌を遂げました。

書いた人 茅野小百合

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    作った人 伊藤 一郎

    住んでいる人 夫婦+子ども1人

    大事なプライベート空間をどこに、からすべてが始まった

    【写真】頭をぶつけてしまう位置にある梁は目立つように黄色く塗って。下着類をしまえる収納も近くに置いた

    【写真】既存の窓と新しく設置したお風呂の間には使えないスペースができてしまったが、娘さんお気に入りの場所になった

    【写真】小屋裏への入り口が狭く、浴槽と壁を一体成形したユニットバスは入らなかったので、ハーフユニットに。木と組み合わせて、ゆったり入れるお風呂になった

     生まれてくる赤ちゃんのために、目黒に持っていた建物に引っ越してきた井上さんご夫妻。越してきた当初は3階にお母さまが住んでいて、夫妻は2階に住んでいた。お母さまが引っ越されるのを機に、3階を改装して家族の家にしようと考えたのが、そもそもの始まりだった。

    「この建物は、もともと事務所だったんですね。だから、なかも事務所仕様になっていて、住むという感じではなかったんです。なんとか住めるようにしたいと思っていたのですが、いきなり知らない建築家さんに頼むのも不安で。中高の同級生だった伊藤さんに、ちょっと聞いてみようと思ったんです。」と井上さん。


     床はカーペット、壁は大理石で、天井には蛍光灯が並ぶ、いかにも事務所といった雰囲気の内装だった。「とにかく住めるようにしたいというお話でした。方位が生かされていなくて、間取りも不自然だったので、まずちゃんと南の明るいところをLDKにして、北側をプライベートな場所にしてと、素直に配置をしていきました。」と伊藤さん。


     初めに決まったのは、お風呂の場所だった。2階で使っていたのは簡易的なお風呂。お風呂にはゆっくり入りたい、できれば窓もほしいと考えていたが、物置スペースになっていた小屋裏を活用できるとは考えていなかった。「まさか、あそこにお風呂が出来るとは思っていなかったので、シャレぐらいの感覚で、上にお風呂があったらいいなと言っていたんです。そうしたら、彼ができるというので驚いて。即決でした。」と井上さん。

     バルコニーへ出るためについていた窓と、ちょうど重なる位置にお風呂の窓をつけ、外の見えるお風呂が実現した。お風呂の隣には簡易的なトイレを置いた。お風呂に入るときになると、なぜかトイレに行きたくなる、と意見が一致したのだとか。とても便利だと夫妻は口を揃える。

     奥さまはユーティリティも高く評価。「洗濯機の脇に下洗いできる水道があるのは、すごくいいですね。最近は子どもの靴を洗う機会が多いので、助かっています。下洗いしたら、その場で洗濯機に放り込めて。洗濯物をかけられるところがあるので、バルコニーに干す時も効率がいいです。」という。

     お風呂の位置が決まると、降りてきたところは洗面所に、洗面所側はプライベートゾーンにと自然にレイアウトが決まっていった。伊藤さんに相談する前からどうしたら使いやすくなるかは考えていたという夫妻。話をしてみると想像以上に大胆に変えられることが分かり、驚きの連続だったという。


     「楽しかったですよ。子どもがもう少し大きくなってじっくり考える時間があったら、もっと楽しかったかも。」と奥さま。LDKでは、どこかにタイルを使いたいという願いも実現した。「キッチンの脇に動かせない柱があるんです。どうせ柱があるなら、幅広い壁にしてガスレンジの正面の壁にしようと考えました。ガスレンジのところまでオープンなキッチンもありますけど、実際は油が散ったりしますから。その壁の裏側が開いたので飾り棚にして、そこにタイルを使いました。」と伊藤さん。

     改装して良かったところをたずねると、「数え上げるとキリがないですね。どこもほんの小さいところなんですが。特別これというのではないですけど、何をするにもストレスを感じずにいられるというのが、こんなにもいいことかと感じました。空間も動線も、すべて快適です」と夫妻。

     事務所のようだった家は住める家を通り越し、住みやすい家、住み続けたい家へと生まれ変わった。

    【写真】ダイニングテーブルとつながったキッチンでは、料理を飲みながら、お酒を飲むことも。キッチンとダイニングテーブルの境にはコンセントがあり、重宝しているそう

    【写真】タイルをつかった飾り棚。この柱の裏側にガスレンジがある

    和装の趣味のための和洋室も思いどおりに

    【写真】光があたると、壁がほんのりピンクになる。右手の引き戸はLDKに、左手のドアの向こうは洗面所へ続く廊下につながっている。

    【写真】ベッドのヘッドボードを木にしたところもこだわり。空調も木で目隠しをして、雰囲気よく。

    和装がご趣味という奥さまが希望していたのが、畳の部屋をつくること。初めはリビングに置こうと考えていた畳コーナーは伊藤さんのアドバイスで寝室に置くことに。持っていた桐ダンスに合わせて収納を設け、着物をきたら趣味も広がるだろうと床の間コーナーも設けた。なんとも言えない優しい色合いの壁は現場で細かく調整したという。ちょうど良い具合になるまで「もう少し赤を足して」などと、この場所に最もあう色に。淡い小豆色に塗った壁は整えずに、少しムラになるように仕上げて、表情をだした。

    作った人 伊藤 一郎

    壁紙にはしたくないというご要望があって、和の雰囲気に合う漆喰を提案しました。漆喰はアルカリ性なのでカビが生えづらいんです。そういう機能面と、この部屋の雰囲気を考えて提案しました。窓には、お子さんがいるので、破れにくい材質の障子をおすすめしました。

    住んでいる人 夫婦+子ども1人

    完全な和室にはしたくなかったので、旅館のような和洋室を考えていました。
    着物を着るとき以外でも、畳の場所があるといいですね。畳のところだけ、一段あがっているところは結構、気に入っています。いつか時間ができたら、床の間もいかせたら。タペストリーでちょっと洋風にしてもいいですし、お花なんか活けても素敵でしょうし。

    快適な暮らしの秘けつは生活動線の良さ

     実は、この家で見落とせないのが、北側の細い通路だ。「もともと石をはった、かなり太い柱がたっていたんです。柱の裏に使えない隙間ができてしまうので、なんとかできないかと。石をはがせば柱がもっと細くなるから、柱と壁の間を通れるはずだと考えました。」と伊藤さん。寝室から洗面室へつながる部分に廊下ができたことで家全体を回遊できるようになり、生活動線は抜群に良くなった。

     外出時の動線もいい。入り口近くのトイレには鏡があり、ドアを開けると全身をチェックできる。そのまま階段を下りて玄関へ向かうと、靴箱以外にも大きめの収納が。玄関周りに靴以外のものを収納できる場所があった方がいいとすすめたのは伊藤さん。「あれは非常に便利でしたね。鍵を置いておいたりとか。」「ちょっと子どものタオルでもかかってれば、出掛けにもバタバタしなくて済みます。」と夫妻にも好評だ。

    作った人 伊藤 一郎

    北側の廊下のようなスペースは、自由につくれたらとらなかったと思います。
    はがしてみるまではヒヤヒヤしましたが、無事に充分なスペースがとれました。
    玄関に、靴以外にも収納できるスペースをつくることは、普段からおすすめしています。収納は使いたいところに必要なだけあるのがやはり理想的です。

    住んでいる人 夫婦+子ども1人

    裏の廊下は、まさか人が通れるスペースだとは思っていませんでした。このアイディアはやっぱりすごいですね。これがあるお陰で、ウォークインクローゼットの扉を両方あけておくと、空気の流れもいいんです。

    子どもがいて初めて気が付く生活動線

    【写真】納戸兼子ども部屋。居心地がよく、この部屋では寝付きもいいのだそう

    【写真】ものが置いてあると、それを足掛かりによじ上り、子どもが落ちてしまう可能性があると、階段室には柵を設けた

     伊藤さんには、ちょうど沙蘭ちゃんと同じぐらいの歳のお子さんがいる。「子育て中ってキッチンと行ったり来たりすることが多いんですよ。最近、対面キッチンが流行っていますが、オープンで目は届いても結局、回り込んで出ていかないといけないんです。たとえば、こぼしたものを拭くだとか、なにか食器が足りないといって戻るとか。それが意外と面倒なので、キッチンは横に向けて、行き来しやすいようにしました」

     子どもがいなくても、どんな行動をとるのか想像をすることはできる。しかし実際に育ててみないと気付かないことも多い。「子どもができて、見えてくるものがまったく変わりました」という井上さん。同じ年ぐらいの子どもがいる伊藤さんに頼んだのは良かったと家づくりをふりかえった。「ここだと子どもが成長したときに頭がぶつかるとか、ほんのちょっとしたところなんですけどね。同級生で相談しやすかったこともありますが、伊藤さん自身、子育てをしているというのは安心して任せられた理由のひとつです」

    作った人 伊藤 一郎

    子ども部屋は最初に考えていたよりも狭くなりました。でも、意外と狭いところも落ち着くんですよね。狭い部屋しかないとつらいけれど、広い部屋があって狭いところもあるというかたちだと落ち着きます。これから子ども部屋として使うときに机や家具など、どう置くか分からないので、どうとでも使えるように考えて。上の方は、必ず収納になるでしょうから、そこだけ棚板をわたしました。

    住んでいる人 夫婦+子ども1人

    キッチンの脇の壁はガラスになっていて、玄関のほうも見通せるので便利です。子ども部屋のドアの上が開くようになっているのもいいですね。
    子ども部屋は、初めは考えていませんでした。なにか収納できる場所はひとつ欲しいと納戸として考えていたのですが、話を進めていくうちに、子どももいるし、おもちゃを置く部屋にしてもいいということになって。子どもなりにプライベートの部屋がほしくなる時期もあるだろうと、かたちば

    スペック
    所在地
    東京都目黒区
    家族構成
    両親+子どもひとり
    構造
    鉄骨造
    規模
    地上3階建て+小屋裏
    設計期間
    2013年02月~2013年10月
    施工期間
    2013年11月~2014年01月
    竣工年月
    2014年2014月
    延床面積
    改修部分床面積 142.34㎡(坪)
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