KLASIC(クラシック) 相談できる「建築家」が見つかる。建てたい「家のイメージ」が見つかる。建築家ポータルサイト『KLASIC』

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お施主様×建築士。心地よい距離感でともに造った風の家

黒いガルバリウムの外壁に、ダークブラウンのウッドデッキ。色とりどりのフラッグが風に気持ちよくそよいでいます。閑静な住宅街にある素敵なT様宅は、お施主様と建築士との心地よい関係から生まれた家でした。

「ふつうの家をつくりたい」

インテリアデザイナーとして日々商業デザインに携わっているご主人が目指したのは「ふつうの家」。そのときどきの流行に惑わされず、シンプルに箱だけを造りたかったといいます。

収納も棚など最低限のものだけを設置、後から自分たちで手を入れられるようにしてあります。
「コストをかけるところと、かけないところを合理的に判断し、納得できる選択をしました。」

確かに無垢材を生かした、無駄なものの少ない美しい住まいです。
しかし、この居心地のよさには、合理性だけでは説明がつかない何かがある。

お話を伺って、その秘密が分かりました。
  • シンプルだが飽きがこないデザインの外装

  • 訪れる方を向けるかわいい表札

こだわりは「日ごろ家族の手が触れるところ」

一見シンプルに見えるT様宅ですが、実はこだわりの部分がたくさんあります。

リビングの窓辺には、ウッドデッキと同じ高さに作った幅広のベンチ。大人が数人並んでもゆったり座れるサイズで、リビングのメインインテリアになっています。お子さんは腹這いにのんびり寝そべって野球観戦。低めのベンチなので、家族全員好きなスタイルで使うことができます。

「間取りに特にこだわりはなくて。それよりも毎日家族が手を触れるところは妥協せず、よいものを選びました。」

小さなドアの引き手にはデザイナーの作品を選び、収納も床材も、経年変化に耐えうる無垢材を使用しています。

「家づくりに関しては、僕からの注文が多かったんですが、妻にも一つ一つ確認してもらいながら一緒に造り上げていきました。」

一階リビングの塗り壁は、ご主人と奥様そして友人達と、粉まみれになりながら作り上げた力作です。

T様宅では、既製品をほとんど使っていません。ドアも特注サイズです。
工事途中、お施主様自ら現場に赴き、でき上がりを確認しながら変更を加えていきました。一階のドア高も、大工さんと相談して同じ高さに統一。こうしたこだわりが部屋に端正な美しさを添えています。

「家が完成したときは、工事がもうこれで終わってしまうのかと思うと、とても寂しかったですね。たしかに建物そのものは完成しましたが、手をかけたいところがまだまだたくさん。これからも家づくりをずっと続けていきたいと思っています。」


◆ 家づくりはストーリー。一つ一つ思い出を増やしていく

アンティークのランプのような照明が素敵でお尋ねしたら、「これは新しいものです。アンティーク”風”のものは使わないようにしてるんですよ。自分たちの生活の中で、だんだん古くなっていくものがいいと思うので。」

「作ったときが一番きれいは避けたかった。家づくりはストーリー。家族も家も、ともに成長していけるようにしていきたいんです。だから家族の思い出を感じるものを、一つずつ揃えていくようにしています。」

2階の絵画は旅行先のハワイで買い求めた絵画や、旅先で見つけたものが飾られています。階段の壁にはめ込まれたステンドグラスはご主人様のご実家にあったもので、小さい頃からあったものだそう。家の中には思い出が詰まったものがあふれていて、「見ればあのときを思い出す」ものばかりです。

これから一体どんなものが増えていくのでしょう。とても楽しみです。
  • 粉まみれになりながら塗りあげた塗り壁

  • 夫婦の寝室。天井が高く開放感がある。

ともに家を造ってくれる「いい距離感のパートナー」

「本当は自分でも図面を引きたいくらいだった」というくらい、家づくりに積極的だったT様。正解がない家づくりを一緒に考えてくれる建築士さんを探していたといいます。

「いろんなこだわりを遠慮せず言いたかったんです。石井さんは、いい距離感で私の言葉を受け止めてサポートしてくれましたね。手を動かしてあれこれ作りたい私に、できることとできないことの線引きをしっかりしてくれました。」

一方、石井さんはこう言います。
「コスト管理が必要な設計において、T様はメリットとデメリットを合理的に考え、判断してくれました。だから、とても進めやすかったです。」

程よい距離感で、お互いに足りない部分を補い合う。T様と石井さんには、理想的なパートナーシップが築かれていたようです。

「設計士は造るのはプロですが、暮らすプロは住み手のほう。だから、お施主様の想いを尊重します。とはいえ、その場の勢いで設計しないようにしています。夢を叶えることも建築家の役目ですが、同時に安心して心地よく過ごせる空間を造ることも大事な仕事。いろいろな希望が詰め込まれたプランを、スリムかつ合理的にしていくことも設計士の重要な役目です。ご家族の暮らし方を見て、希望しているプランが決定的に重要なことかどうか見極めるようにしています。」

久しぶりにT様宅を訪れたという石井さん。「居心地がいい家であってほしいですね」という言葉に、お施主様も頷いていらっしゃいました。家が完成した今でも、T様と石井さんの間には、心地よい距離感の信頼関係が感じられました。
  • 家づくりの話を懐かしそうに語る石井さん

  • 石井さんがプレゼントした採光窓

撮影:中村絵

お家のデータ

家族構成
夫婦