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驚きの”スゴイ階段”がつくる、毎日違う住まいと変わらない安心

言葉にならない部分も含めて、丁寧にコミュニケーションを重ねながら家づくりをしたかった、という平塚さんご夫婦。断片的だった要望リストは、日比生さんとのやり取りをしていくうちに、一日の変化や季節の移り変わりを感じられる、ユニークな家として姿をあらわしました。

耐震性と全部に意味が詰まった窓、上るたびにワクワクする階段室

 2階建ての建物の中央にある、白く四角い階段室。その壁のところどころに、大小いくつもの四角い穴があけられている。家づくりがはじまった頃には、まだお母さんのおなかにいた太陽くんが、その穴からモノを落として遊んでいた。変化に富んだ空間で、外に出られない雨の日に1日、家のなかにいても飽きずに遊んでいるという。

 「建築家と家がつくりたい」と考えていた平塚さんご夫婦。ウェブや雑誌で情報を集めていたときに、偶然見たテレビ番組で日比生(ひびお)さんの名前を知った。旗竿(はたざお)敷地を有効活用した事例が印象に残り、作例を見てみると、ふたりの好みと合いそうな雰囲気。さっそくコンタクトをとった。

「実家を(ハウスメーカーで)建て直したときに、早く早くと急かされて、あまり悩めなかったことが印象に残っていて。自分が建てる時は、じっくり話を聞いてもらえる建築家と家を建てたいと思っていました」と平塚さん。とはいえ、全体としてどんな家にしたいのか、具体的なイメージは浮かばなかった。どのように希望を伝えるか迷った末、まずは二人の思いつく限りの要望をリストアップし、予算を伝えた。
 「初めて家を建てる方って、皆さんそうなんですが、イメージが漠然としていて、なかなか要望をうまく伝えられないんだと思うんですね。なので、どんなものが好きかお話を伺ったうえで、こちらからまずご提案をして、キャッチボールしながら進めていきました」と日比生さん。なにげないやり取りのなかから、どんな提案をしたら平塚さんは喜ぶだろうと探っていったという。


 せっかく建築家に頼むのだから、想像もしなかったような“サプライズ”な提案をしようと心がけているという日比生さん。提案したのは、階段室を家の中心に設け、その周りを回遊できるようにしたプランだった。合理的でシンプルなかたちにまとめつつ、階段室に穴をあけたり、隣に建っている実家と窓越しに会話ができるワークスペースを設けたりと、遊び心も忘れない。

 日比生さんは言う、「ご要望のなかに耐震性もあったので、この階段室を考えました。階段室は四隅に柱が入るので、ガッチリかたまっているんですね。それが木の幹のような役割をするので、非常に合理的な構造なんです」。その“幹”からのびる枝葉のように、周りに居住スペースを配置した。

 階段室の壁にあけた穴も飾りではなく、ひとつひとつに意味がある。たとえば、階段室の頂上にあるトップライトの光をとりいれる、キッチンの様子がうかがえる、空が見えるといった具合で、子どもの視線の高さに合わせた穴もある。「キッチンの扉をあけたままにして、1階のベッドに寝転がる。するとキッチンの明かりが見えたりして、この空いている感覚は心地いいです。穴の向こう側の部屋にも一部だけ光があたって模様ができることがあって、子どもはその上に立ったり追いかけたりして遊んでいることもあります」と奥さま。


 階段を最後までのぼり、ルーフバルコニーにでる手前の小さなスペースは、平塚さんのお気に入りの場所だ。「トップライトと窓を開けておくと風が入って涼しいんですよ。ここに腰かけると結構、気持ちが良くて。」と平塚さん。その場所では、奥さまがバスタオルやタオルケットを干したり、子どもがシャボン玉で遊んだりすることも。「階段を上下階の移動のためだけでなく、とどまれる場所にできると、いろいろ使い途があります。」と日比生さん。

 日比生さんによれば、設計中は「ここから星が見えたら」などと盛り上がっていても、完成時にはすっかり忘れられてしまうこともあるのだそう。平塚さんご夫婦は忘れてしまうどころか、新たに心地の良い場所を次々と発見し、楽しんでいた。「洗面のところから月が見えるときれいでいいよね」、「ワークスペースも見上げると空が見えたりして、ちょっと一息つけたり」。こんど、トップライトが近いロフトで、夜空を見上げながら寝てみたいと考えているそうだ。
  • 2階の個室側からキッチンの方をみたところ。右手はワークスペースを通ってキッチンへ、左手は浴室、洗面スペースを通ってキッチンへつながっている。

  •  個室側からキッチン側をのぞいたところ。右上の穴は外からの光を通す。これらの穴はコミュニケーションボイドと名付けられている。

  • キッチンエリアから浴室洗面・スペースまで、ドアを開けるとワンルームのようにつながる。

  • 階段室の最後、ルーフバルコニーへつながる踊り場。ルーフバルコニーからは遠くに相模川の花火も見える。トップライトは採光や通風に大活躍。

ここは何の部屋と決めないフレキシブルなレイアウト

打ち合わせ当初はまだ、奥さまは妊娠中。子どもがいる生活のイメージがわかなかったこともあり、ここは寝室、ここはリビングとかっちり決めずに、どこでも寝られるようにしたいと希望していた。
2階の個室と名付けられたスペースは、リビングにしてもいいし、お風呂を出てすぐ寝られるスペースと捉えてもいい。1階の寝室は寝室としても使っていたが、今はご主人の部屋。将来的に子ども部屋にしてもいい。部屋の名前にとらわれずにレイアウトを考えたことで、家のなかを自由に使えるようになった。
  • 1階の寝室。ドアをしめればエアコンの効きもよく、快適。窓から、お隣の夕飯のにおいが漂ってくるのはご愛嬌。

生活のペースを乱さないよう、1階と2階を使い分けて

仕事の関係で、繁忙期には朝早く出かける日や帰宅が遅い日も珍しくないという平塚さん。物音で子どもたちを起こしたくないと、2階にあがらずに身支度を整えられる、広めの洗面室を1階につくることにした。「ひげ剃りが充電できるコンセントなんかも入れてもらって。ちょっとくつろげるような感じにしたかったので、雑誌を置けるようなスペースもつくってもらいました。ここはかなり活用しています。」と平塚さん。
遠方にお住まいの両親が泊まりにきたときには、1階の和室を使ってもらうことも考えていた。そんなときにも1階と2階に洗面スペースがあると便利だ。
  •  家の中心になっている階段室。

ダイニングテーブルと一体化した、こだわりのキッチン

2階のLDKスペースの主役となっているキッチン。まっ白の大きな板が1枚置かれたようなシンプルなデザインは、ありそうでない。日比生さんとキッチンの製作会社とで念入りに打ち合わせ、納得のいく仕上がりになった。
  • 家のなかでも一番、明るい場所にあるダイニングキッチン。雨の日は1日中、2階で過ごすこともあるとか。

お家のデータ

所在地
神奈川県
家族構成
夫婦+子供1人
敷地面積
100.30㎡
延床面積
81.34㎡