心自ずから閑なり

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都会に暮らされていたお客さまが、郊外で設える終の棲家。
そこは、深い緑地のふもと、すぐそばに小川が流れる、モミジの美しい街でした。
この街で、緑、風、水、光と影、自然や街の音を感じ取り、
躰が開放され、素直になり、心自ずから閑になる、のどかな暮らし・・・
この家は、そんな暮らしのための小さな器です。

お客さまとの出会いは、2020年1月に市中山居が開催イベント「大人の火遊びのすゝめ」でした。
何年も前から住まいづくりをご検討されていらっしゃるとのこと。

まずは「下ごしらえ」からお手伝いさせて頂きました。
生涯の資金計画を組立て、そこから住まいづくりの予算枠を検証しました。
お客さまとの対話を重ね、「私らしい暮らし」のイメージを共有させて頂きました。夢は、高校時代に習った李白の「山中問答」とのこと。その中の一文「心自閑」(心自ずから閑なり)を暮らしのイメージとしました。
当初は都会から始まった土地選びですが、そのイメージにピッタリな土地は郊外で見つかりました。

基本設計の前半は、「私らしい暮らし」を具現化するため、十数案のプランを検証し、お客さまと何度も相談して「これしかない」プランにたどり着きました。
間取りはあえて北向きとして、遠くの緑地を望みつつ、陽が当たり輝く庭を家から楽しめます。大きなガラス窓を壁の中にしまえば、庭と家が一体になり、流れ込む風は吹抜けを介して家中を巡ります。
室内の壁には漆喰の押さえ仕上げを採用しています。光の反射率が最上位なので家の奥まで光が行きわたり、また生クリームのように白くてきめ細かいので光が優しくなり、光と影の美しいグラデーション、時々刻々の移ろいを楽しめます。
庭は小さいながら、街に開かれたエリアとプライベートなエリアに分け、プライベートな庭は板塀で囲い水鉢を設え、野点(屋外でお茶を点てること)が楽しめます。

基本設計の後半では、オーダースーツのようにお客さまの体を採寸させて頂き、台所、洗面、収納等造作家具の高さや大きさ、スイッチや水栓の位置等を1cm単位で調整しています。
空間のスケール感、光や風の取り込み方、風景の切り取り方などは、図面やパースだけでは伝わりにくいため、大型の模型で打合せしました(縮尺1/100が一般的ですが、その3倍以上の1/30を採用し、計画建物周辺の建物も再現しております)。

実施設計では、技術的精査、コスト調整、心地よさについて詳細を詰め、工事監理では、板塀の高さや水鉢の位置などを現場で造園家の小林さんとお客さまと調整しました。

お引渡しして数か月、お客さまは自然やご近所の方々とのつながりを楽しみ、自分らしく伸び伸びと暮らしています。

基本データ

所在地
東京都東村山市
敷地面積
118.05㎡
延床面積
79.9㎡
予 算
3000万円台

施主コメント

2020年1月、住宅を見学して、日本の家の知恵をいかした居心地のよい空間に魅力を感じました。
見学した際に、ていねいにお話し聴いてくださったことや、自邸の設計に関するこだわりなどを聞いて、「この方なら、私の望む家を建ててくれそう」と思い、自宅の設計を依頼することにしました。

2022年5月、我が家が竣工し、住んで半年がたとうとしています。
模型から期待していた以上に実物が素敵でした。
「市中山居」さんのセンスがいいのはわかっていましたが、これほどとは…!
すっきりしてて大人っぽい「和」の家になりました。

漆喰の壁は品があるし、杉の木のいい香りがして、毎日「これが私の家なのか」と見惚れています。
「マンションではなくて、戸建てにしたい」という思いを貫いてよかった。夢を叶えていただきました。

生活していて、まったくストレスがありません。

それは、台所、洗面、収納の高さや大きさ、スイッチや水栓の位置等を細かく、1cm単位で決められた注文住宅ならではのメリットかな、と感じます。
空間が「自分の体にぴったり」なんですよね。
スイッチやコンセントが「ここにほしい」という場所にあるのって、細かいけど、快適ですね。延長コードが一本もないのがこんなにすっきりするものだとは思いませんでした。

寝室に換気扇の音が響かないようにされてて、静かですし、設計段階で、生活に細やかに配慮されているなと実感してます。
視覚的にも漆喰の壁と無垢材の床、それ以外に余計な色・素材がないので、気持ちが安らぎます。

上質な素材で、ていねいにつくられた家。
自分にこんな家が持てるなんて、夢にも思いませんでした。
夢を叶えていただいたと思っています。