2025.10.10
今回は、家を建てる前に行う4ステップの最後の行程である「住宅ローンの本審査・着工〜引き渡し」の引き渡し編です。
厳密にいえば、注文住宅の完成後に行う行程ですが、事前に把握しておくことでトラブルを避けられるので、引き渡しの際の注意点を解説していきます。
前回ご紹介した「着工編」の「竣工検査・内覧会」を終え、「工事完了書」(建物引渡書)に押印すれば、いよいよ「引き渡し」の段階に入ります。
長い時間をかけてついに完成した我が家が、引き渡し日から正式にあなたのものになるのです。
期待に胸が膨らむのも当然ですが、引き渡しを急ぐと準備不足やトラブルが生じる可能性があります。
そこで、予期せぬトラブルを避けるための注意点を解説します。
まず、「引き渡し」とは、ハウスメーカーや工務店が完成した住宅を施主に正式に引き渡すことを指します。
つまり、工事途中の家はまだ施主の所有物ではなく、引き渡し日に建築費の残金を支払い、所有権を登記する手続きを経て、正式に「あなたの家」となるのです。
通常、引き渡しは「竣工検査・内覧会」のあと、1週間から10日後に予定されます。
その間に、内覧会で見つかった傷や不具合を建築会社に修繕してもらい、再確認を行うことが大切です。
引き渡しに向けてまず行うべきは、引き渡しの日取りの決定です。
引き渡しは施主、建築会社の担当者、金融機関の担当者、司法書士が一堂に会するのが一般的です。
4者のスケジュールを調整して日時を決めますが、金融機関は週末や祝日が休みのため、平日に行うことがほとんどです。
平日に時間を確保するのが難しい場合は、スケジュール調整を考慮して早めに日程を決めると良いでしょう。
引き渡し日には、以下の書類や費用が必要になります。
本人確認書類
住民票
印鑑証明書と実印
通帳と届出印(銀行印)
登記費用
司法書士報酬
固定資産税の清算金
取り寄せるのに時間がかかる書類もあるため、早めに手続きを進めておく必要があります。
また、建築会社や金融機関によって提出書類が異なる場合もあるので、事前に確認を忘れないようにしましょう。
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引き渡し日が決まったら、引っ越しの段取りを始めます。
引き渡し日に引っ越しを設定することも考えられますが、引き渡しの手続きが午前中に終わり、午後に引っ越しをするのは可能ではあるものの、非常に慌ただしくなるうえ、トラブルが発生した場合、引き渡しが完了しないこともあります。
したがって、引き渡し当日ではなく、1~2週間後に引っ越すのが一般的です。
電気や水道、ガスなどの開通は、引き渡し日に行うとその日から基本料金が発生するため、引っ越し日に合わせるのが望ましいでしょう。
もし引き渡し日と引っ越し日が近い場合は、引き渡し日に開通しておくと、設備の試運転が当日にできるメリットもあります。
また、現在賃貸住宅に住んでいる場合、引っ越し日が決まったら退去日を家主に連絡することを忘れないようにしましょう。
賃貸物件によっては「退去日の何ヶ月前に連絡しなければならない」という規定もあるので、トラブルを避けるために事前確認を行っておくことが重要です。
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ここでは、引き渡し当日の流れと、気をつけるべきポイントについて簡潔に説明します。
まず、住宅ローンを利用する場合、引き渡し当日は金融機関で「決済」の手続きを行います。
これは、あなたの銀行口座に住宅ローンの融資金が一旦入金され、その金額をすぐにハウスメーカーに送金するという形式で行われます。
このプロセスには、ハウスメーカーや金融機関の担当者が同席し、司法書士も登記に必要な書類を用意して、決済後に法務局に提出します。
登記手続きは1〜2週間ほどかかりますが、書類を提出した時点で所有権は移転します。
その後、登記費用や司法書士への手数料、税金の清算などが行われます。
これらの手続きは通常、平日に約1時間ほどかけて行われますが、建築会社の担当者が必要な書類や手続きをサポートしてくれるため、スムーズに進むことがほとんどです。
次に、建物の引き渡しにおいては、「傷や補修の確認」「鍵や重要書類の受領」「設備の説明」が行われます。
内覧会で指摘した傷や不具合がきちんと修繕されているかを確認し、問題がなければ書類に署名します。
修繕が不十分な場合は、引き渡し後に再度修理を依頼できるよう手配しておきましょう。
鍵の受領も重要なポイントです。
玄関ドアや勝手口、外部収納など、すべての鍵を受け取り、何本受け取ったかを必ず書面に記録しておきます。
玄関ドアの鍵は、正式な鍵を使うことで工事専用の鍵が無効になる仕組みが多いので、引き渡し後に工事関係者が無断で鍵を使う心配はありません。
また、引き渡し時に受け取る書類の中で最も重要なのが「保証書」です。
住宅や設備の保証は通常、引き渡し日から始まりますので、保証内容と保証開始日を確認しておきましょう。
さらに、一戸建ての住宅では、メンテナンスの計画も重要です。
どのタイミングで、どのようなメンテナンスが必要か?
費用はどのくらいかかるのか?
定期点検はあるのか?
などを事前に把握しておくと安心です。
引き渡しは、工事が完了し、住宅の状態に満足していることを建築会社に正式に伝える重要な手続きです。
すべての手続きや書類に目を通し、納得してから引き渡しを受けるようにしましょう。