快適と省エネを両立した
高性能住宅のポイントは、"窓"にあり!

建築家に家を頼みたいと思っていたものの、断熱性など住宅性能面に不安を持っていたというAさん。高断熱・高気密の家を建ててくれる建築家を長年探していたなか、ようやく出会ったのが建築家の河辺近さんでした。

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家のなかにいくつもの「居場所」をつくる。

 今でこそ、快適性や省エネ性能を重視する建築家は増えてきたが、ひと昔前まではけっして多いとはいえなかった。実際、Aさんが建築家を探しているなかで住宅性能の重要性を説く建築家は少なく、数年に渡って建築家を探していたという。そんななか、たまたま足を運んだ家づくりセミナーで建築家の河辺近さんの話を聞く機会があった。

 セミナーのあと河辺さんが手掛けた住宅を調べてみると、高気密・高断熱の住まいをいち早く手掛け、デザインと省エネの両立を試みてきた建築家であることを知る。「この人なら自分好みの家を建ててくれるのでは」と興味をもち、さらに数回、河辺さんのセミナーに足を運ぶなかで、「建築家の中で性能というものにここまでちゃんと取り組んでいる人はいない」と、河辺さんに心を決めて家づくりを依頼した。

 相談を受けた河辺さんは、土地を見た時点で、南側を大きく開かないプランを思い描いたという。


「ひとつには、現地は北道路の閑静な住宅街だったので、北側道路と建物の間に豊かな空間を作ることで建物の佇まいがぐっと落ち着き、周辺環境とも調和すると思ったこと。もうひとつは、家の南側は隣家からすると北側になるので、室外機や給湯器が置いてある。だったら、南側は敢えて隣地に接近して建ててしまったほうがいいと思ったのです。幸い、ちょうど隣地の緑がありましたので、その部分だけ借景で楽しめるようにしました」

 南側に空地を作らないとなると陽当たりや明るさが気になるところだが、その点は設計の工夫でクリア。

「南側の一部にライトコート的に小さな空地をつくり、そこに緑を入れています。面するリビングの上部は吹き抜けにし、光が上部から落ちるようになっているので1階のリビングに掃き出し窓がなくても問題ないのです。日本の住宅は、南側に大きく開口部を取り、窓は掃き出し窓で、と考えがち。でも、家具のレイアウトや断熱性を考えると、必ずしも南側に大きな掃き出し窓を作る必要ってないんですよね。むしろ、開口部が多くなる掃き出し窓は気密性が落ちるので、冬は足元が寒くなるし、夏は冷気が逃げるし、マイナス面もあるんです。この家では、明かりを取るための窓と、風を通すための窓を計画的に分けています。“明かり”と“風通し”をきちっと分けて考えると、フィックス窓で十分なところが多く出てくるのでコストダウンにもなるんですよ。もちろん、フィックス窓をうまく使うことは住んでからのランニングコストの軽減にもつながります」

 自分たちの暮らし方に合った間取りや好みのデザインはもちろん、快適でありながらランニングコストを抑えた省エネ性能の高い住まいは、今後はさらにニーズが増えていくことは間違いないだろう。

【河辺 近さん コメント】
一番ポイントに考えたのが、“居場所”をたくさんつくるということ。ご夫妻ともに本を読むのがお好きだということだったので、それぞれの書斎を設けるだけではなく、家のなかのいろいろなところで本を読めるようにしています。人って意外と一か所で何かをするわけじゃないんですよね。開放感と囲われ感のメリハリもつき、家のなかにさまざまな表情がうまれたと思います。
  • 南面はあえて大きく開かず、ライトコートと吹き抜けを効果的に使って明るさを確保。

    南面はあえて大きく開かず、ライトコートと吹き抜けを効果的に使って明るさを確保。

  • 廊下の一部にベンチを設置。リビングや書斎だけでなく、思い思いの場所で本を読んだりくつろいだりできる。

    廊下の一部にベンチを設置。リビングや書斎だけでなく、思い思いの場所で本を読んだりくつろいだりできる。

  • 主寝室は1階リビングの吹き抜けにも面し、夫婦が互いの気配をさりげなく感じるように設計している。

    主寝室は1階リビングの吹き抜けにも面し、夫婦が互いの気配をさりげなく感じるように設計している。

基本データ

施主
A邸
家族構成
夫婦