2025.09.19
今回は、家を建てる前に行う4ステップの3番目の行程である「間取り〜設備決め・契約」の契約編です。
専門的なことが多く、煩わしく感じることもありますが、トラブルを防ぐためにも重要な行程。
契約をする際、どんな点に気をつけたらいいのか解説します。
注文住宅を購入する場合、服や雑貨を購入するのと違い、ハウスメーカーや工務店などの施工会社と契約書を結ぶ必要があります。
その契約には、仮契約と本契約(建築工事請負契約)の2種類が存在します。
仮契約は、その名のとおり施工会社と本契約を結ぶ前に行われる契約のことで、申し込みの意味合いがあります。大まかな建築プランや見積もりを把握した段階で結ぶものであり、この段階であればキャンセルすることも可能です。
仮契約を結び、さらに詳細な打ち合わせ等を行った段階で結ぶのが本契約(建築工事請負契約)。 本契約(建築工事請負契約)とは、ハウスメーカーや工務店等との間で結ぶ建築工事にかかわる契約のこと。一般的には、間取りやプランが決まり、本見積もりが完成した段階で結ばれます。
契約書は、建築工事請負契約書、建築工事請負契約約款、設計図書、工事費見積書などで構成されています。
内容は多岐にわたりますが、しっかりと確認しましょう。内容をよく確認しないまま工事を進めてしまうと、後から想定外のトラブルに見舞われる恐れも。
本契約を結んだ後は、契約書に書かれていること以外の追加や変更が生じる場合には、追加の費用が発生するので事前にしっかりとポイントをおさえましょう。
契約書に書かれている内容は多岐にわたりますが、主なチェックポイントとしては次の点が挙げられます。
まずは、
工事に着手する「着工日」
建物が完成する「完成日」
住宅が引き渡される「引き渡し日」
が明記されているかを確認しましょう。
日付が記載されている場合もありますが、「建築工事請負契約から○日以内」「着工後○日以内」等と記載される場合も。
工事の進捗予定を示した工程表などの資料と照らし合わせながら、どの工事がいつまでに行われるかを1つずつチェックしましょう。
万が一、工事が大幅に遅れて引き渡しが記載されている期日までに完了しなかった場合の違約金についても忘れずに確認をしておくと安心です。
注文住宅の建築費用は一括で支払うものではなく、一般的には3~4回程度に分けて支払います。
多くのケースでは、建築工事請負契約を締結したときの「着手金」、工事が実際に始まる際の「着工金」、建物の骨組みが完成する上棟時の「中間金」、引き渡し時の「残代金」に分けられます。
金額は契約時に代金の10%、着工時に30%、上棟時に30%、建物の引き渡し時に30%を支払うケースが多くあります。
住宅ローンを組んで家づくりを行う場合は、つなぎ融資も必要になるので、契約書に記載されている内容のチェックや金融機関とも連携しながら、それぞれのタイミングでいくら支払うのかを把握しておきましょう。
不動産を売買する際、契約の過程で「ローン特約」を定めるケースがあります。
ローン特約は、土地や建物といった不動産の売買契約を締結する際に、売主・買主双方の合意に基づいて定めるオプションの一種です。
わかりやすく解説すると、「買主が住宅ローンを使って物件を購入する場合、ローンの審査に通らなかったら無条件で契約解除ができる」というもの。
ローン特約が適用された場合、着手金からそれまで発生した費用を除いた金額を施主に返却する内容になっていることがほとんどです。 契約書に住宅ローンを申し込む金融機関名や融資額、ローン特約の期限などが明記されているかを確認しましょう。
建築工事請負契約は法的な拘束力を持つため、例え締結後の翌日であってもキャンセルをすると違約金を支払うことになります。
ただし、契約解除を行うタイミングによって違約金の金額には違いがあるケースが多いので、どのような内容になっているか目を通しておきましょう。
万が一工事中や引き渡し後に不具合や事故等が発生した場合の保証内容についての確認を忘れずに行いましょう。 工事中や住宅の引き渡し後に、何か不具合が発生した場合、どのような保証を受けられるのかは必ず把握しておくこと。
注文住宅建築の場合、ハウスメーカーや工務店など施工側が最低10年の瑕疵担保責任をつけることが義務付けられています。
瑕疵担保の保証内容と範囲、保証範囲外のアフターサービスを受けられる期間について確認しておきましょう。
また、自然災害などの不可抗力でやむを得ず工事を中止しなければならない場合の取り決めなども事前に確認をしておくと安心です。
このように契約書類には、確認事項が多く契約時にその場で全ての内容を把握することは難しいものです。
依頼先から事前に複写したものをもらい、契約書の締結前に時間をかけて内容を確認しておくことをおすすめします。
疑問に思ったところは事前に質問をして解消しておくことで、スムーズに手続きを進めることができます。