シャビーな雰囲気漂う
憧れの「サーファーズハウス」

千葉の住宅地に建つW邸は、シャビ―な雰囲気が魅力のサーファーズハウス。設計を担当したのは、長年外房で活躍してきたtai_tai STUDIOの若林秀和さんである。屋外のシャワーや、濡れたまま上がっても平気な土間の玄関。庭と一体化を感じさせる開放的なLDK…。サーファーであるWさんご夫婦のための工夫が随所にこらされた、若林さんの家づくりに迫る。

この建築家に
相談する・
わせる
(無料です)

屋外シャワー、水に強い土間
サーファーに嬉しい工夫が盛りだくさん

子どもができたことをきっかけに、家を建てることを決めたWさんご夫婦。お気に入りのカフェを設計したのが若林さんであることをネットで知り、家づくりを依頼することにしたのだという。すでにいくつかめぼしい土地を見つけていたWさんは、購入前に若林さんに相談。南向きで区画も大きい、この土地に居を構えることを決めた。

もともとサーフィンが趣味だということもあり、シャビ―な雰囲気を持つサーファーズハウスに憧れていたというWさんご夫婦。そんなWさんが若林さんに要望したのは、海から上がってすぐに浴びられる屋外設置のシャワーと、濡れたままでも平気な土間。そして、南側の庭と、そこにつながる広いリビングだった。

この要望に沿ってさっそく複数の設計プランを検討した若林さん。当初は2階建てプランも考えたが、動線を考えた結果、動きやすい平屋にすることにした。このときにこだわったのが、家の印象を決める屋根の形状だ。通常であれば普通の家型の切妻屋根にするところだが、それだと少し平凡になってしまう。そこで個性を出すため、切妻屋根の棟を家の対曲線に回転させた形状を提案。その結果、どこから眺めても斜めという、W邸の特徴的なフォルムが誕生した。
  • 外壁はジョリパット。グレーの色は何パターンか提案した結果、この色に決めたそう。壁のグレーと木製の窓枠がみごとにマッチしている

    外壁はジョリパット。グレーの色は何パターンか提案した結果、この色に決めたそう。壁のグレーと木製の窓枠がみごとにマッチしている

  • 土間の玄関の横には、シャワーを設置。サーフィンをして帰ったとき、ここでシャワーを浴びることができるよう工夫されている

    土間の玄関の横には、シャワーを設置。サーフィンをして帰ったとき、ここでシャワーを浴びることができるよう工夫されている

南側の庭とリビングを
動線・視線ともに一体化

完成したW邸の間取りを見てみよう。サーフボードも置けるよう考えられた広い玄関と、濡れたままでも平気な土間。そこから室内に入ると、最高の天井高さ3.5ⅿ弱の明るく広々としたLDKが広がっている。庭とリビングは一体化して見えるよう大きな開口部でつながっており、実に開放的だ。

トイレ、洗面所、浴室といった水回りは夫婦から要望があった大きなファミリークローゼットの周囲を取り囲むように配置されており、クローゼットの両方に入口がある。「この入口から洗面所、リビング、玄関を回遊できるほか、玄関土間からパントリー、キッチン、リビングを回遊することもできるんです」と話す若林さん。平屋の良さを最大限に生かし、どこにも行き詰まらない空間を生み出しているのだという。

そして、夫婦からも要望があったシャビ―感を出すべく工夫されたのが、床材だ。「今回は古木風に加工しているようなものは使わず、幅広のヨーロピアンオークという素材を採用しました」と話す若林さん。カウンターやキッチンもオリジナルで造作し、全体でコストを抑えながら、雰囲気を統一。嫌味のないシャビ―感がうまく演出されているのは、サーファーズハウスを得意とする若林さんならではのテクニックといえるだろう。
  • 土間の玄関から見たLDK。大きく切り取った南側の窓とリビングが一体化しており、明るい光がさんさんと注ぐ

    土間の玄関から見たLDK。大きく切り取った南側の窓とリビングが一体化しており、明るい光がさんさんと注ぐ

  • 屋根形状はインテリアに影響させた方が面白いということで、天井にも同じ傾斜を採用。木の風合いを生かしつつ個性を出すことに

    屋根形状はインテリアに影響させた方が面白いということで、天井にも同じ傾斜を採用。木の風合いを生かしつつ個性を出すことに

南側の庭とリビングを
動線・視線ともに一体化

こうして完成したW邸。当初の予算1000万円台中盤とかなり厳し目ではあったが、若林さんがこまめに見積りを見てさまざまな単価や仕様を見直すことや、設計の内容を精査することで、コストを削減。最終的には少し予算をオーバーしたものの、何とかWさんの出せる範囲で収めることができた。

若林さんいわく「お施主様にはなるべく、一番やりたいことを我慢して欲しくないんです。そのために要望に優先順位をつけていただき、予算内に収まるよう工夫しています」とのこと。今回もWさんは床暖房を希望されていたが、全面床暖房を諦めキッチンのみにすることで、実行予算内で実現することの助けになったのだそう。実際に住み始めてみると、床・壁・天井にきちんと施工された断熱材と、断熱性の高い木製サッシ、複層ガラスのおかげで床暖房なしでも温かいと、Wさんも大満足だという。

「『あまり予算はないけれど、それでも周りと少し違う、自分らしい家を手に入れたい』。そんな若い世代のお施主様のご要望に応えたいんです。まずは予算を気にせず、ご相談いただけたらと思います。限度はありますけれど…(笑)」。素敵な笑顔で、若林さんはそう語ってくれた。
  • リビングから見たキッチン。カウンターとキッチンは大工さんが造作しているため、コストを抑えつつ、全体で統一感を出すことができた

    リビングから見たキッチン。カウンターとキッチンは大工さんが造作しているため、コストを抑えつつ、全体で統一感を出すことができた

  • 洗面脱衣所。奥の扉は外につながっており、外でシャワーを浴びた後部屋を通らず直接ここから浴室に行くことができる。これもサーファーには嬉しいつくり

    洗面脱衣所。奥の扉は外につながっており、外でシャワーを浴びた後部屋を通らず直接ここから浴室に行くことができる。これもサーファーには嬉しいつくり

お家のデータ

施主
W邸
所在地
千葉県大網白里市
家族構成
夫婦+子供1人
敷地面積
363.6㎡
延床面積
88.6㎡
予 算
〜2000万円

この建築家が建てた家