2025.11.14
注文住宅は、一生の中でも大きな買い物のひとつです。
だからこそ、「理想の家づくり」を実現するには、しっかりとしたお金の計画が欠かせません。特に注文住宅は、間取りやデザインの自由度が高く、フルオーダーで理想の住まいを実現できる一方で、標準的な価格が存在しないため、予算の立て方に悩む方も多いのではないでしょうか。
そんなときに重要になるのが「資金計画」です。
この記事では、注文住宅に必要な費用の全体像を明確にし、無理のない家づくりを進めるための資金計画の基本を解説します。

①家が建つまでの全費用を把握する
②自己資金(頭金)の準備額を決める
③住宅ローンの毎月の返済額と総返済額を把握する
今回はこのうち、最初のステップである
「①家が建つまでの全費用を把握する」について詳しく見ていきましょう。
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住宅金融支援機構が発表した「フラット35利用者調査」によると、土地付き注文住宅を建てる際の全国平均資金は約4,694万円(2022年度)でした。
内訳は、建築費が約3,010万円、土地取得費が約1,444万円です。
これだけでも注文住宅の購入においては、かなりの資金が必要であることが分かります。
では、その資金はどのような費用で構成されているのでしょうか。
注文住宅を建てる際には、主に次の3つの費用が発生します。
・土地代(土地購入費)
・建築工事費
・諸費用
土地そのものの代金だけでなく、「土地の改良費用」も含まれます。
特に整備されていない土地や地盤が軟弱な土地を購入する場合、地盤改良や整備費用が別途必要になることがあります。
これらの費用をあらかじめ把握し、予算オーバーを避けるために、土地の状況を事前に確認することが大切です。
建築工事費は「本体工事費」と「付帯工事費」に分かれます。
[ 本体工事費 ]
建物そのものを建てる費用
[ 付帯工事費 ]
外構や上下水道の引き込み・解体費など建物以外の費用
通常、建築工事費の割合は、建物本体工事費が全体の約70%、付帯工事費が約20%、そして諸費用が約10%を占めると言われています。
これらの費用を見積もりする際、複数のハウスメーカーや工務店から見積もりを取り、比較検討することが大切です。

家を建てる際に発生する諸費用には、建物や土地の取得時、住宅ローン契約時などにかかるものが含まれます。
一般的には、建築費と土地代の合計額の10~12%程度を見込んでおくのが目安です。
諸費用には、主に次のような費用が含まれます。

[ 不動産取得税 ]
土地や建物を購入した際にかかる地方税。購入価格に応じて課税されます。
[ 登録免許税 ]
土地や建物の所有権移転、住宅ローン設定などの登記手続きにかかる国税。
[ 司法書士報酬 ]
登記を代行する司法書士への報酬。登記の内容や地域によって異なります。
[ 仲介手数料 ]
不動産会社を通して土地や建物を購入した場合に支払う手数料。
通常は売買価格の一定割合がかかります。
[ ローン保証料 ]
借り主が返済できなくなった場合、保証会社が金融機関に弁済するための保証料。
[ 事務手数料 ]
金融機関に支払う手続き費用。
金融機関によって金額に幅があり、数万円から数十万円程度かかります。
[ 団体信用生命保険料 ]
借り主が死亡などした場合、住宅ローン残高が保険で支払われる保険料。
[ 印紙税(印紙代) ]
ローン契約書に貼付する印紙の費用。
借入金額に応じて金額が変わります。
これらの費用はローンの種類や借入額によって変動しますが、どれも家づくりにおいて欠かせない支出項目です。
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注文住宅が完成した後にも、次のような費用がかかります。
・引っ越し費用
・新しい家具・家電の購入費用
・建て替えの場合の仮住まい家賃
これらも含めてトータルでの資金計画を立てておくと、予算の見通しを立てやすくなります。
諸費用の多くは現金で支払うケースが一般的です。
契約時や引き渡し時など、どのタイミングでどれくらいの資金が必要になるかを事前に担当者へ確認しておくと安心です。
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注文住宅は、細部に至るまで自由に設計できる一方で、想定以上の費用がかかることもあります。
建築費・土地代・諸費用、さらに住宅ローン返済までを含めて、全体を見通した資金計画を立てることが、後悔しない家づくりのポイントです。
次回は、
② 自己資金(頭金)の準備額を決める
③ 住宅ローンの毎月の返済額と総返済額を把握する
について詳しく解説します。