2025.08.19
家づくりに欠かせないのが、建築士・建築家・設計士と呼ばれる人たちです。誰に依頼するかによって、家づくりの方向性や仕上がりは大きく変わります。
今回はこの3つの呼び名の違いと、それぞれの役割について解説します。
ライフスタイルや趣味、こだわりを反映した理想の住まいを建てる――
そんなワクワクすることは、人生でそう何度もありません。
「家族がつながるリビングがいい」
「家族の様子が分かるオープンなキッチンにしたい」
「ライフステージに合わせて使い方を変えられる間取りにしたい」
などなど、想いは膨らむばかり。
しかし、家はその想いだけで建てることはできません。
あなたのこだわりをカタチにしてくれるのが、「建築士」「建築家」「設計士」と呼ばれる人たちです。一度でも家を建てようと考えたことのある人は聞いたことがあるかと思います。
実はこの3つ、それぞれに違いがあるのをご存知でしょうか。
違いを知らずに依頼してしまうと、後々トラブルになる可能性もあるのです。 建築士・建築家・設計士の違いと、家づくりにおける役割を、しっかりと理解しておきましょう。
建築士は、「建築士法」に定められた資格をもって、建物の設計・工事監理を行う建築のプロフェッショナルです。
最大の特徴は「国家資格」であるということ。
日本では、一級建築士・二級建築士・木造建築士の3種類の資格があり、建築士を名乗るにはいずれかの国家資格を取得する必要があります。資格によって設計や工事監理に携われる建築物が異なります。
一級建築士は、国土交通大臣の免許を受けた建築士で、大規模な建築物の設計や工事監理にも携わることができます。
取り扱える建物の面積や高さに制限がないため、学校や病院、劇場、公共ホール、百貨店など、あらゆる建築物の設計・工事監理が対象に。構造や性能といった専門的な技術・知識はもちろん、意匠やデザインに関しても深い造詣が求められます。
一級建築士は難易度の高い国家資格として有名で、合格率はわずか1割ほど。狭き門を突破した、建築界のトップオブトップです。
二級建築士は、都道府県知事の免許で、一級建築士よりも仕事の内容が制限されます。
手掛けられるのは主に戸建住宅などの小規模な建築物。戸建住宅と一言で言っても、デザインやライフスタイルはそこで暮らす人の数だけ存在します。
皆が快適で住みやすい家を設計する発想力やセンスが求められます。
木造建築士は都道府県知事の免許を受けた資格で、二級建築士よりも設計できる建築物の範囲は限られていますが、木造住宅や一般的な木造建築物の設計・工事監理に関しては、より深い知識を求められます。
続いては最もよく耳にするであろう建築家についてです。
建築家と聞くと、デザイン性の高い建物を作る人や、サグラダ・ファミリアを設計したアントニ・ガウディ、新国立競技場を設計した隈研吾さんなど歴史的建造物を作る人を思い浮かべる方も多いかもしれません。
またドラマや映画の主人公の肩書きとして登場することもあり、憧れの職業のひとつに数えられています。
建築家とはどのような仕事なのか。
建築家とは、一般的に「建築の設計や監理、その他関連業務など建築関係のプロフェッショナルサービスを提供する職業」といわれています。
デザイン性の高い建築物を手がける建築士のことを指すことが多いため、建築士の資格保有者でも「建築家」と名乗る場合が。
しかし、建築士のように国家資格があるわけではありません。
そのため、資格を持っていないにもかかわらず「建築家」を名乗る人もいるため、依頼する際には注意が必要です。
「設計士」も建築家と同様、国家資格ではありません。
広義では設計に携わるすべての人を指しますが、主に建築メーカーや設計事務所などに所属し、小規模の木造建築物の設計や建築士の補助業務に携わる人のことを指します。
設計士は有資格者ではないため、仕事の範囲は制限されます。 そのため、主体となって設計を行うことはほとんどありません。ただ、建築士法によると「100㎡未満の木造住宅」であれば資格がなくても設計可能です。
似たような言葉である 建築士・建築家・設計士 の違いについて紹介してきました。
わかりやすく言えば、建築士は「国家資格」であり、建築家・設計士は「職業名」になります。
建築士の資格を持っているかどうかで、担当できる建築物の範囲は大きく変わります。
ただし、資格を持っていても実務経験の少ない、いわゆる「ペーパー建築士」も存在します。 だからこそ家づくりを依頼する際は、建築士や建築家、設計士の過去の実績や得意分野を事前に把握することが、後悔しない家づくりにつながります。