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子育てと共同体の模範!シングルマザー向けシェアハウス《前編》

持っていた意思が出会いを生み、実現への歩み始めた

----- はじめに皆さんの普段のお仕事と、このプロジェクトに関わることになったきっかけを教えていただけますか。

〈秋山〉 建築設計事務所の代表をしています。このプロジェクトでは広報部長のような立場です。プロジェクトリーダーではありますが、内装のデザインや家具のレイアウトのような、建築家といって一般的にイメージされるようなことはしていなくて、建築基準法上やらなければいけない業務、たとえば用途変更などを担当しています。今、新築している物件は私が設計していますが、ストーンさんで管理されている4棟では法規的な部分をお手伝いさせていただいています。

〈石尾〉 二子の物件では、オリジナル家具もつくってくださってますよね。チームとしては建築の専門家がリーダーであるというのは心強いです。場所によって必ずしも秋山さんがすべてを担当されるわけではありませんが、監修的な部分では必ず見てもらうようにしています。

〈石尾〉 実は私もシングルマザーなんです。今、24歳になる息子がいるんですけども、彼が4歳のときに離婚しました。当時は仕事と育児の両立が今よりもハードルの高い時代で。自分のキャリアアップとのバランスが上手くとれず、自ら望んでシングルマザーを選びました。

 仕事では、もともと女性市場をテーマにしたマーケティングレポートをつくったりしていたのですが、結婚して子どもをもって、シングルになってから、女性市場の究極のかたちは子育てじゃないかと思うようになったんです。子どもの健やかな成長をサポートしたいっていうのは女性にとって根源的な欲求だと感じて。ひとりの母親として子育てをしてきた経験とそれまでのキャリアが結びつき、「こどもの森ほいく舎」という認可外保育所を設立しました。以来16年ずっと保育教育事業に携わっています。出張で保育をしたり、チャレンジも色々してきましたが40代になって、今までのような勢いでは働き続けられないと感じるようになって。もう自分ひとりでは叶わない夢になってしまうかもしれないと思いながら、Facebookに書き込みをしたんです。私には、母子家庭の人たちが安心して生活できるような家をつくりたいという夢がありますって。それを秋山さんが見られて、僕の考えていることとすごく近いからって。

〈秋山〉 やりましょうって、声をかけました。

〈石尾〉 それから何回かミーティングをして、そのコンセプトをビジネスコンペに出しました。入賞はしませんでしたが、そこでうまれたペアレンティングホームのコンセプトは育てていきたいねという気持ちが秋山さんにも私にもあって。そこで開いたワークショップにきてくれたのが細山さんでした。

〈細山〉 私はいわゆる街の不動産屋ですね。高津や溝の口を中心に賃貸の管理をしています。2010年にシェアハウス事業を始めましたが、当時は市場が急拡大して次々にシェアハウスができていました。もともと当社では一般の賃貸もテーマをもって企画していたこともあり、シェアハウスにも何かテーマが必要だと考えていました。1棟目は普通のオシャレなシェアハウスでしたが、2棟目は畑のあるシェアハウス、3棟目はアトリエのあるシェアハウスときて、次のテーマを探っていました。

 以前、子育てを理由に退職した社員がいて、彼女はシングルではありませんでしたが仕事との両立に悩んでいたんですね。たとえば、保育園の延長保育が8時までなら、仕事が残っていても7時には会社を出ないといけない。そこで残った仕事は同僚に頼みます。頼まれた方は気にしていなかったのですが、度重なると彼女も居づらかったようで、このままだと皆さんに迷惑をかけるからと辞められました。私は彼女から相談も受けていたので、誰かが少しでも手助けできていたら辞めずにすんだかもしれないと思ったことが頭に残っていました。

 その頃、運営していた2棟目のシェアハウスもヒントになりました。5人ほどいた入居者が、そこでの出会いをきっかけに互いに今まで知らなかったことに興味を持つようになり、新たな自分を発見していったんです。入居者同士で互いに刺激を受け成長していたのが印象的でした。それらの経験からふと、子育て中の女性とシェアハウスはマッチするんじゃないかと思い始めたんです。

 ちょうどここの高津を借り上げたときでした。子育てとシェアハウスについてのワークショップがあることを知って、何かヒントになるかもしれないと思って参加したんです。そこで、おふたりに出会いました。おふたりの提案は非常におもしろくて、一緒にやりませんかとお声がけしました。

 私は子どももいませんし、保育の経験もないので、子どもが一緒に住むとどんなことが起きるのか見当がつかずに躊躇していましたが、一緒にやれればシングルマザーのシェアハウスも上手くいくんじゃないかと思って。それが12月のことでした。それで、2月頃に説明会をやったのかな。そのときはFacebookでの告知のみでしたが、10人ほど見学に来てくれました。その場で即決してくれた方もいて。そこから半年ぐらいかけて満室になっていきました。


----- 秋山さんも、何か子育てに対して思うところがあったのでしょうか。

〈秋山〉 会社の理念として「社会と人生に新しい選択肢を提案する」を掲げています。建築設計事務所として、どうあるべきかを模索するなかで、建築設計の枠だけにとらわれていてはダメだと思うようになって。そこで最も気になっていたのが子育てと仕事の両立でした。子育てって大切なことですよね。種の保存という意味でも、人間として根本的に大切なことです。一方、仕事も大切です。自己実現でもありますし、生活の糧でもあります。本来どちらも生きていくために不可欠で、両立できて当たり前だと思うんですよ。ところが、今の日本では、それが当たり前じゃない。両立できないのが普通だと思って、みんな諦めているんです。それって違うよね?っていう思いがあって。じゃあ、どうしたら仕事との子育てを両立しやすい環境を生み出せるかということをずっと考えていました。最初からシェアハウスのアイディアがあったわけではなく、石尾さんや細山さんとお会いして、どんどん今のかたちになっていったんです。
  • 写真左から、細山氏、秋山氏、石尾氏

みんなで子育て、みんなで自立、シェアハウスが最適解に

----- 子育て女性向けからシングルマザー向けのシェアハウスになった理由はなにかあったのですか。

〈石尾〉 当初、秋山さんとビジネスコンペに出した案は、子育て世帯が何世帯かで同居できるシェアハウスでした。その後、細山社長からお話をいただいた、ここの高津では、お部屋が両親ふたりと子どもで住むにはちょっと狭いこともあって、細山さんの方から、この物件はシングルマザーと子どもでいきたいというお話がありました。


----- シングルマザーがシェアハウスで子育てをするメリットは。

〈石尾〉 メリットは多いですね。まず、子どもたちについて言えば、お兄ちゃん、お姉ちゃん、妹、弟がたくさんいる、いわば疑似兄弟がいるわけですよね。思いやりをもつことを学びますし、上の子が勉強みてあげている場面も見られます。

〈細山〉 シングルマザーの方って、夜ひとりで出かけることって滅多にできないですよね。たとえば、同窓会があっても子どもを一緒に連れていくか、誰かに預けるか。そう頻繁には遊びに行けません。それがここだと、入居者同士で今日の夜そこで飲もうといえば、お子さんたちを部屋で寝かせてストレス発散できるわけです。そして、次の日からまたがんばれる。親や友達にも言いづらいことを同じ境遇の人と話せることが心の支えになっているとも聞きますね。

〈石尾〉 両親揃っている家庭でも子育ては大変です。今は子どもをひとりしか生まない女性も多いですよね。そうすると、初めての子育てが一度きりで最後の子育てになってしまうんです。ひとり目の子育てのノウハウを活かすときがないんですね。真っ暗闇のなかをひとりで進んでいくことになるから、どうしても失敗しない子育てをしようとしてしまうんです。無難に、なんとか他の人と同じようにって。その子の個性を認めてあげて大胆に子育てをしていくことが、なかなかできない。やっぱり不安ですから。そうこうしているうちに一度きりの子育てが終わってしまう。そういう意味でも、シェアハウスでの子育てにはメリットがあると思います。

〈秋山〉 それから、ここの高津で重要な役割を果たしてくれている落合さん。

〈細山〉 そうですね、チャイルドケア。

〈石尾〉 今、向こうでお料理してくれている方がスタッフなんですけども、この高津の場合は週2日ここに来て夕食をつくっておいてくれるんです、玄米菜食の。その日は、お母さんたちもご飯の心配をせずに帰れます。忙しいとどうしても出来合いのもので夕食をすませてしまうこともあります。でも、週2日は手をかけた料理を皆で食べる。その日は仲いい人も、あまりしっくりいかない人も、この家の人はみんな同じものを食べるわけです。今の季節はこれがおいしいねと会話をしながら。それは心の教育にもなると思うんです。チャイルドケアサービスでは、ほんのひとときですが、お子さんの面倒を見てくれるので、お母さんに家でくつろいでもらう時間もつくれます。

 実際には入居者同士で仲良くなってしまうと、たとえば、「うちの子お風呂に入れるから、子どもだけ裸にしてどんどん送って」とかいって、一緒にお風呂にいれたり、子どもたちが同じ保育園だと「今日はうちの子と一緒に連れて行くから、明日はお願い」なんてこともありますね。ご飯も今日は誰々がつくるから500円ずつ集めて一緒に食べようなんていう日もあります。それはサービスではないんですけれども。

〈秋山〉 あくまで住まい手の自助努力っていうんですかね。

〈石尾〉 そうそう。一緒に住んでいる人たちでやっぱり仲良くしてかないと。
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