2025.11.07
注文住宅の間取りを考えるとき、「和室は作るべき?」「ベランダやバルコニーって必要?」と悩む方は少なくありません。
一見便利に見えるこれらの空間も、実際の暮らし方によっては“使わないスペース”になってしまうこともあります。
この記事では、和室、ベランダ・バルコニーのメリットとデメリットを整理し、ライフスタイルに合った後悔しない間取りの選び方を紹介します。

和室は日本の伝統的な居住空間であり、現代でも柔軟に使える多目的スペースとして人気があります。
自由に設計できる注文住宅だからこそ、「取り入れるべきかどうか」で悩む方も多いのではないでしょうか。
ここでは、和室のメリットとデメリットを見ながら、自分たちの暮らしに合うかどうかを考えてみましょう。
和室の最大の魅力は、その多様な使い方にあります。
ふすまや障子を閉じれば独立した部屋として利用でき、開ければ他の部屋と一体化させて広い空間を作り出せるため、非常に柔軟な使い方が可能です。
例えば、洗濯物を畳むスペースや小さな子どもがいる家庭では昼寝スペースとして活用したりできるなど、家族構成や生活シーンに応じてフレキシブルに使い分けられるのが特徴です。
さらに活躍するのが来客時です。布団を敷くだけで寝室として活用できるため、客間として十分な役割を果たせます。
特に、急な来客や親戚の訪問がある家庭では、和室を客室として利用することができるので、便利です。
また、畳の香りや障子越しの光がもたらす穏やかな雰囲気は、日常の中で「和の落ち着き」や「季節の変化」を感じられる魅力でもあります。

一方で、和室にはメンテナンスや相性の難しさという側面もあります。
畳は年数が経つと傷みやすく、定期的な張り替えが必要です。障子も破れやすく、小さな子どもやペットがいる家庭では頻繁に張り替えが必要になる場合があります。
また、畳の上に家具を置くと、畳がへこみやすくなるため、ソファやテーブルなどの洋風の家具との相性が悪い点も、スペースの有効活用において難点となることがあります。
結果として、使う機会が減れば “物置化した空き部屋” としてスペースが無駄になってしまうことも少なくありません。
そのため、和室を設ける際は、家族構成やライフスタイルを踏まえたうえで、「どんな場面で使いたいのか」を明確にし、具体的な利用シーンを想定して設計することが大切です。
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次に検討したいのが、ベランダやバルコニーを設けるかどうかです。
一般的に、ベランダはひさしや屋根付きのスペース、バルコニーは屋根のない開放的なスペースを指します。
家づくりにおいて、どちらも人気の高い要素ですが、メリットとデメリットを理解したうえで設計することが重要です。
ベランダ・バルコニーの代表的なメリットは、洗濯物を干すスペースとして活用できることです。
日当たりの良いベランダ・バルコニーであれば、洗濯物が早く乾くだけでなく、室内干しによる湿気やカビの発生も防げます。
また、ベランダやバルコニーは、小さなアウトドア空間としても活躍します。
テーブルや椅子を置けば、天気の良い日にコーヒーを飲んだり、一息ついたりと、気軽に外の空気を楽しめるのが魅力です。
都市部で庭を確保しにくい住宅でも、ベランダやバルコニーを活用すれば、ガーデニングや家庭菜園などの趣味を楽しみながら、暮らしに彩りを添えることができます。
さらに、火災や地震などの非常時には、ベランダやバルコニーが一時避難スペースや隣家への避難経路となる場合もあり、安全性の面でも大切な役割を果たします。
一方で、ベランダやバルコニーにはメンテナンスの負担がつきものです。
屋外に面しているため、風雨にさらされることで床材や手すりが劣化しやすく、防水対策や補修が欠かせません。
加えて、落ち葉やホコリがたまりやすく、掃除の手間も増える点は注意が必要です。
また、ベランダやバルコニーがあることで、外部からの視線が気になることもあります。特に住宅が密集しているエリアでは、隣家や通行人からの視線を遮るための工夫が必要になることがあります。

さらに、防犯面のリスクも考慮が必要です。ベランダやバルコニーがあることで、外部からの侵入経路を提供することになり、特に2階以上でも、屋根や他の建物から侵入されるリスクがあります。
そのため、防犯対策として防犯ガラスや補助錠の設置など、窓や扉の施錠に気を配ることが求められ、追加のコストが発生することも考えられます。
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和室やベランダ・バルコニーは、どちらも日本の住まいに欠かせない魅力的な空間です。
しかし、「なんとなく付ける」「昔からあるから作る」といった理由だけで取り入れると、後々使わない・手間がかかるという後悔につながることもあります。
大切なのは、家族の暮らし方・ライフプランに合った空間設計をすること。
例えば
「洗濯物を室内干しにしたいならベランダ・バルコニーは最小限に」
「来客が少ないなら和室を別用途で活かす」
といったように、“今”と“将来”の暮らし方を想定して判断しましょう。
メリットとデメリットを理解したうえで、「自分たちにとって本当に必要な空間」を選ぶことが、快適で長く愛せる家づくりにつながります。