年々深刻化を増している空き家問題。とりわけ「再建築不可物件」は、なかなか買い手もつかず、負の資産となることも多い。そんな再建築不可物件を自ら購入したのは、新築住宅の設計はもとより、空き家再生も手掛けてきた建築家、H2DOの久保和樹さん。久保さんは、どのように再建築不可物件を再生させたのか。
この建築家に西荻窪駅から徒歩7分程度と好立地ながらも、再建築不可物件のため、なかなか買い手がつかなかったという物件。
屋根や外壁など、雨漏りにつながる部分の補修を行った上で、外壁や塀の塗装は久保さん自らの手で行うことでコストカットも図ったという。
オープンな雰囲気を演出するため、前面の塀の一部を取り払いアトリエを訪れる人が、直接屋内の様子を伺えるようにした。
従前の基礎の様子。耐震性などをしっかりとチェックし、必要に応じて構造的な補強を行ったという。基礎部分は、砕石を敷き転圧したうえで、断熱を施し、コンクリート土間を打った。
旧宅のリビングルームの様子。窓からの陽は差し込むものの、部屋が細かく仕切られているため、狭さを感じる。
陶芸のアトリエへと変化した1階リビング。構造的に必要な部分以外の壁を取り払い、リビングとキッチンを繋げた1つの空間とした。白い壁も相まって明るく開放的な空間だ。
陶芸のワークショップの様子。コンクリート土間としたことで、汚れも気にせずに済む。
夜になると電球色の照明で、落ち着いた雰囲気に。壁に取り付けられた棚は、借主である関口さんがDIYで取り付けたという。構造に影響のない範囲で借主が自由に手を入れられるのもこの物件の魅力
独立スペースだったキッチンを、リビングと1続きの土間に。アトリエとして使えるよう、キッチンシンクは業務用のものを採用したという。
畳敷きだった旧宅の2階の様子。
2階はほっこり空間の住居スペース。同じ建物でありながら、1階のアトリエ2階の住居と公私を分けられるのもKICS Houseの魅力の1つ。
旧宅では2部屋に分かれていた壁を取り払い、1つの大空間に。奥の部屋までもが明るく開放的なスペースへと生まれ変わった。