
狭小いびつな土地で叶えた、
家族4人の快適ハイブリット住宅
無駄のない空間利用をスキップフロアで実現
問題点は大きく3つ。1つは狭小な土地のため3階建で部屋数を納める必要があるが、前面道路が1.82mと非常に狭く、道路からの斜線制限が3階部分に引っかかってくること。2つ目は土地に高低差があること。そして、3つ目が一般的な四角い部屋が描けない、細長い三角形の土地であったことだ。
建築家の竹内さんは、一つひとつ問題をクリアにしていった。まず、1つめの斜線制限について。「専門的な話になりますが、この土地は道路からの斜線制限により、建物に厳しい高さ制限がありました。そこで、天空率という計算法を用いることで、通常よりも斜線制限を緩和することを試みたんです」と竹内さん。3階の屋根に対する斜線制限を可能な限り緩和することで、より高さを確保したプランニングを実現したという。
2つ目は高低差。土地は道路側、つまり玄関となる場所が最も高く奥へと下ってゆく形状で、レベル差は最大60㎝あった。一部を深基礎にして土地をフラットにすると、深基礎部分の空間が無駄になり、かつ高い方にレベルを合わせることになるためせっかく緩和した斜線制限も無意味になる。そこで竹内さんは、土地の高低差に合わせてスキップフロアを採用した。すなわち、1階の玄関部分は高く、数段下って寝室と水回りがある。2階も階下の高低差をそのまま踏襲し、玄関上となるダイニングが高く、寝室・水回りの上にくるリビングが低くなっている。3階の子ども部屋は低いリビング上に設けることで、最終的な高さ制限にもきっちりと収まるベストな結果を導き出した。
スキップフロアは、3つ目の土地形状の問題解決にも一役買っている。「三角形の土地を細かく区切るとデッドスペースが増えてしまいます。だから、パブリックな空間となる2階のLDKは、壁を設けずワンルームにしつつも、スキップフロアとすることで空間認識として区切りを感じられるようにしました」。
さらに、もう1点追記しておきたいプランニングの妙が、土地形状に合わせて階段室を外側に出したこと。「アールに膨らんだ場所に階段室を出すことで、各部屋のスペースを無駄なく確保できました。さらに、階段室に大きな開口部を作ることで、採光も十分に得られています」。敷地条件のウィークポイントを巧みに補うことで、この場所だからこその明快なプランが生まれた。
メリット尽くしのハイブリッド構造で家造り
「1階から2階の床までを鉄筋コンクリート造、2階より上を木造とし、コンクリートと木ぞれぞれの良い面を活かすことができました」と話す。上を木造とすることで重量が軽くなり、基礎工事や工期の面でコストが抑えられ、木造3階建てより木造2階建てとする方が地震に対して構造的な優位性も保てる。さらに、1階部分が半地下となる箇所が多く、防水面で鉄筋コンクリート造が有利な点も見逃せなかった。
鉄筋コンクリート造の特性を活かし、2階LDKに床暖房を導入したのも竹内さんのアイデアだ。「2階に床暖房を入れると家の真ん中が暖かくなり、上下階とも暖まるんじゃないかと。しかもコンクリートは蓄熱するため、夜~朝まで床暖房をつけておけば、日中は余熱でじんわり暖かさが持続するんです」。鉄筋コンクリート造の特性が、想定以上に快適な住環境をもたらした。
またこの家では、建築の全体的なプランニングだけでなく、キッチンからインテリア、建具に至るまで、ほぼ全てをオリジナルで制作しているという。「家具は家具の、キッチンはキッチンの専門業者と協力し、図面を引き、オリジナルで仕立てています」。圧巻は、斜めの壁3.8m、折り返しの壁1.2mに合わせて設えた長大なキッチン。コンロにオーブン、食洗機、ゆとりのある収納をたっぷりと備えたキッチンは、LDKのなかでもひと際存在感を放っている。
さらに、リビングのテレビボードに本棚、1階の水回り、階段、寝室のベッド、玄関扉までオリジナルだ。「設計だけでなく、+αでどこまで手をかけられるか。そこが住まいを作る上で、結果的に大きな差になってくると思います」。知識にアイデア、センスはもちろんだが、予算が許す限りできるだけ細かく、隅々まで手をかけ、目をかける竹内さんの姿勢こそが、完成度と満足度の高い住宅を叶えてきた力の源ではなかろうか。
基本データ
| 所在地 | 愛知県名古屋市 |
|---|---|
| 敷地面積 | 114.80㎡ |
| 延床面積 | 129.85㎡ |
| 家族構成 | 夫婦+子ども2人 |
| 予算 | 4000万円台 |
| 施主 | W邸 |
設計者情報
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