
YUKINOSHITA-S
設計者情報
鎌倉の古い民家の改修。 初めて現場を訪れた時、趣があるが傾きもある、そんな誇りと限界の間にあるような民家の姿があった。 求められたのは大きな音で音楽の流せる飲食店と、2人暮らしの住宅。 防音も断熱も無い既存家屋の雰囲気を守りながら、高いスペックの防音性能と断熱性能の両立が課題だった。 1階飲食店では、床を解体し剥き出しとなった土部分に、基礎の代わりとなっている大谷石に緊結するよう配筋した土間コンクリートを施工し、耐震性を高めると共に、飲食店としての天井高と清潔感を確保した。また、壁は全面を有孔の木製ベニヤ貼りとし、吸音性能に木のあたたかさをプラスした。 防音、断熱の弱点となる開口部は、外観を印象付ける既存の木製建具はそのままに、内部に防音サッシを設けた。玄関には防音サッシで挟まれた風除室を設け、外観の優しさを持ったまま、防音と断熱を実現した。 住居となる2階は既存の柱梁がそのまま見えるワンルーム空間とし、断熱材を追加した壁は既存の柱梁に負けないテクスチャーとするべく、ボードのパテをそのまま見せる土着的なアートのような荒々しい仕上げとした。 永く街並みの一部となってきたこの民家の雰囲気は保ちながら、内部には新しい営みと生活が宿っている。
間取り図
基本データ
- 作品名
- YUKINOSHITA-S
- 所在地
- 神奈川県
- 家族構成
- 夫婦
- 敷地面積
- 80.89㎡
- 延床面積
- 95.98㎡
- 予算
- 2000万円台
撮影:建築設計事務所 可児公一植美雪
設計者情報
この建築家が建てた家
この実例を見た人はこちらも読んでいます

和モダン+ダークの家

前野町の家
70㎡というコンパクトな敷地の中で面積を確保するために、平面は敷地をオフセットさせた形をベースとした。北東と北西の隣地境界線側には北側斜線の制約がある。まずは斜線制限ギリギリの断面形を立ち上げた。そして必要と思われる高さとなったところで、南東道路に直行する棟を設けた。棟からは屋根下の空間に適切と思われた緩急二種類の勾配で折り返すこととした。結果として人通りの多い南東道路に対して、切妻の家形の構えをとる少しだけ屋根が複雑な、3階建ての外形が出来上がった。 室内は閉じることが必要とされた部屋以外を全て繋がった空間とすることで、建主が求める「おおらかさ」に答えようとした。3層を貫く螺旋階段を含んだ吹き抜けを設け3つの階を結びつけた。その上でそれぞれの階の様相の違いにより、縦につながるワンルーム空間に様々な生活の場を作りだすことを考えた。 1階は南東道路側に駐車スペースを設け、残りを室内とした。室内は、水廻り以外を4本の柱が立つワンルーム空間として作った。柱間には建具の脱着を想定したレールなどを装備し、建具の付け外しでワンルーム空間から、四つの分節した空間(三つの子供室+玄関ホール)に様変わりできる可変的な空間として作られている。 2階は南東の道路から見て奥となる北西側をダイニングキッチンとして、表となる南東側は切妻の屋根形状に沿った二層吹き抜けのリビングとした。南東道路に面したバルコニーもリビングと同じような屋根形状に沿った二層吹き抜け空間としている。 3階は閉じた主寝室の前に小さなホールを設け、建主のリモートワークスペースとした。リビングからのある程度の距離感を求められたので、吹き抜けに対しては一旦壁で仕切り、小窓で繋がる空間とした バルコニーの軒天井は構造材と野地板をあらわしとした。勾配が急な棟の北東側では、梁は構造上は斜めの柱として扱われ(60度を超えると柱扱い可)、やや勾配が緩い南西側ではリビング側からの持ち出しの梁として扱われる。その扱いの違いが軒天井にあらわれている。 バルコニーは北東の隣地側には壁で閉じ、隅切りと南東道路側に対しては一旦開いた構えとした。その上で金属でフレームを作り、1.1mまでをルーバーで覆った。さらにその上に簾が取りつけられるような金物を設け、簾の開閉で外部からの視線の侵入量の調整を可能にした。 準防火地域内の木造3階建ては多くの場合、準耐火建築物として構造体を石膏ボードで包む必要がある。そのため予算の制約がある住宅の場合は、ビニルクロスの白い壁と天井という単調な仕上げとならざるを得ないことが多い。 この住宅では外壁の開口部制限をすることなどで、準耐火建築物とすることを避けて法に適合させることができた※。 その結果1階の独立柱や、1・2階の梁などを石膏ボードの被覆無しとすることが可能となった。また外壁を構成しない壁については仕上げの制約がなくなりラワン合板を直接貼ることが可能となった。その結果ひとつながりの空間の中で様々な異なる生活の場を作るということを、仕上げの扱いでも補強することができた。 またこの内装材などの扱いは、素材感を活かした家づくりを望まれた建主の気持ちに答えようとした結果でもある。 ※建築基準法施行令第136条の2に規定されている「3階建て建築物の技術的基準」

住道の家
老齢の母と娘が終の棲家として購入されたマンションの一室でのリフォームである。 間取りは一般的なファミリータイプの3LDKであったため、今後の老々介護を見据えた間取りに変更し、かつ一日の大変を寝室で過ごす母親にとってより良い住環境とすることを目的とした住まいである。 具体的には母親にとって負担の少ない動線とするため、洗面・脱衣・浴室・トイレを直線的に配置し、将来的に歩行器や車椅子となった場合にも行き来できる廊下幅を確保しました。 またLDKと寝室は3枚の建具のみで仕切られており、全開すれば広々としたワンルーム空間となるとともにコミュニケーションを生み出し、全閉すればそれぞれのプライバシーを確保した空間となります。 さらに住環境をより良いものとするために消臭・調湿効果のあるスペイン漆喰を用いることでマンション特有の湿気や臭いの問題を解消しています。

湯島の家
ガラスの螺旋階段が、1階からルーフテラスまで4層に渡って貫通し、日の上下移動を愉しくドラマチックなものにしています。 また、階段室から光と景観を取り込み、住宅の密集地において、程良く閉じて程良く開くことにより、内部空間に心地良い安心感を与えてます。

M邸

I邸
以前からそこに建っていた様な・・・周囲の山並み、建物に馴染みながらも個性を出したい。そんな思いで計画を進めました。東西に伸びる瓦屋根の軒。2階の階高も低くして圧迫感をなくしました。南間口を広く使い、どの部屋も日当たり風通しの良い快適な空間となっています。

徳永の家
遠くに山並みを望み田畑が点在する住宅地に立つ、ご家族4人の平屋建ての住まいです。 敷地は学校のグランドに隣接し周囲の賃貸アパートと向かい合うことから、どのようにプライバシーを確保するかが課題でした。 また、周辺に遮るものがないため、防犯の点からも開放的な計画は不向きだと感じました。 そこで、閉じながらも閉塞感がなく開放的で居心地の良い空間のあり方を探り、検討を重ねました。 プランは動線の効率化と距離感、住環境を考慮して矩形を基本とし、キッチンを囲むように回遊動線をつくり、各部屋と水回り、リビング、ダイニングを結んでいます。 内部は四隅に屋根なりの勾配天井が流れ櫓のようなロフトへと続きます。 キッチンは根太梁の踏み天井と黒いタイルが白い空間のアクセントになっています。 屋根は矩形の建物に呼応するようにシンプルな寄棟屋根。 おおらかな屋根は周囲に落ち着きと安定を与えています。 四方に広がる長い軒は風雨から建物を守り汚れや劣化を防ぎ、夏場の日射遮蔽にも効果を発揮します。 また、2階建て賃貸アパートからの視線を遮り、軒を低く抑えることで周囲に対し圧迫感が出ないよう配慮しています。 こうべを垂れるような佇まいは建主の謙虚でやさしい姿にも重なります。 伸びやかにやさしく包まれた空間と暮らしがどう溶け合うのか。 そして、どんな時間を紡いでいくのか、とても楽しみなお住まいです。

ロの字の家











