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妻の名のバラがモチーフ、愛犬と愛車。愛ある家にやっぱり感動!

 今でも週末になるとオープンカーでデートをするというIさんご夫婦。大好きな鎌倉で悠々自適に暮らす家の名は「Casa Ciero y Mar(空と海の住まい)」です。バラをモチーフにしたインテリアに囲まれ、愛犬とともに、海を眺めながら仲良く暮らしています。

奥さまを象徴するバラをモチーフにしたラグジュアリーな室内

 Iさんご夫婦は山や緑、海の風景が美しい鎌倉を気に入って、長く暮らしていた。余生も鎌倉で過ごそうと、住んでいた家の近くに土地を見つけ、オンラインコンペでプランを募集した。

 遠くに海を眺め、愛犬も喜ぶ住まいにしたい、イメージはプロヴァンス風、“利便性よりも思わずニンマリする設計”がご夫婦の希望。これに対して提案されたプランは合計43案にのぼった。膨大な量の提案のなかで、とりわけIさんご夫婦の目をひいたのが、建築家の菅原浩太さんの提案したプラン、「Casa Ciero y Mar」だった。家全体がゆったりしたワンルームのような間取り、ラグジュアリーな雰囲気がイメージに合い、ここに住んでみたいというイメージが具体的にわいた。打ち合わせで会った菅原さんも信頼できそうだと感じ、Iさんご夫婦は「Casa Ciero y Mar」を終の住まいと定めることにした。

 大空を感じ、海を眺めながら住まうというコンセプトは希望どおりだが、いくらか好みに合うように変更したい点もあった。ご主人は、長い時間を家で過ごすのは奥さまだからと、床材からキッチンまで細部のデザインの決定権はすべて奥さまに譲った。「ご主人はとても奥さまを大切にされている方で、奥様の好きな薔薇のデザインをモチーフにし、随所にバラをあしらいました」と菅原さん。
 
 ガラスの階段には大輪のバラが描かれている。「キッチンの窓ガラスも、こんなふうにバラの模様をつけてはいかがですかとご提案すると、奥さまのやってみたいわという一言で決まって」と菅原さん。藤沢にある工房に頼んで、職人さんにバラの模様を彫り込んでもらった。


 仲の良いご夫婦が暮らすこの家は結婚式場のようなイメージでデザインしたという。吹き抜けのらせん階段の下には、ご主人の愛車を眺められるウェイティングホールをつくった。「ビルトインガレージの前に、簡単な来客対応ができるようなスペースとして設けました。関係の深いお客様には2階のプライベートリビングにあがってくつろいで頂いて。ガレージの天井にはミラーがついていて、ウェイティングホールから愛車を眺められるんです。」と菅原さん。

 週末には、ガレージに置かれているのはクラシックのベンツに奥さまを乗せて海沿いを走るのだという。


 細部までこだわり尽くした住まいが完成すると、盛大な完成披露パーティが開かれた。東京で経営関係の仕事をしているご主人は人脈も幅広い。多くの客が招かれ、愛車が眺められるウェイティングホールでウェルカムドリンクのもてなしを受けた。2階のキッチンではホテルの出張でシェフが腕をふるい、海の見えるリビングではドレスで正装した奥さまが接客をする。

 お祝いの雰囲気に包まれるなかで、Iさんご夫婦からサプライズが。菅原さんへの感謝状だった。「大変なこともあったが無事に満足する家ができた。毎日、楽しく暮らしている」とIさんご夫婦は心からの感謝を伝えた。
  • 家の中心になっている、らせん階段を上からみたところ。階段の踏み板に描かれたバラの絵柄が良く分かる

  • 階段下のウェイティングホール。らせん階段はこの家に合った上品なパターンを菅原さんがデザイン、特注した

  • 親しいお客さまはプライベートリビングへ。リビングからは大好きな鎌倉の景色、遠くに海も望むことができる

長く気持ちよく住んでもらうために。表にはでてこない下準備

 一点物のインテリアの数々で彩られた、華やかな家。その裏側には華やかな家を支える地味な仕事も積み重ねられていた。鎌倉は古くから地域の人たちが協力して、風景を守ってきた町。裏返せば、行政の規制以外にも地域の決まりごととして、建築物に対する数々のルールが存在している。鎌倉に開業して7年、小さい頃は祖父の家があり夏になるごとに遊びに来ていたという菅原さんにとっても、鎌倉は馴染みのある町。建設にあたっては地域への配慮も欠かさなかった。

「住民協定で、屋根のかたちは伝統的な日本家屋のものと決まっているんですね。ですから、「Casa Cireo y Mar」のプランだと屋根がルールに反するんです。そこで自治会長にご説明にあがったんですが、最初は怒られてしまいました。『苦労して街並を統一しているのを無視するとは』と。でも、建物の価値って、街並との調和だけで規定されるものでもないと思っていて。鎌倉は価値のある土地ですから、周辺の風格もあげていくような家になれば、新しいものを織り交ぜていってもいいのではとお話して、最後には納得していただきました」と菅原さん。屋上から望む景色もこの家の見せ場のひとつだったが、こちらも隣が見下ろせてしまう点が問題になり、隣家との間に面材をはって視線を遮ることで落としどころをつけた。

 たとえ望みのかたちができても周辺の理解がなければ、Iさんご夫婦も暮らしにくいだろう。図面にはあらわれない下準備も丁寧に重ねたからこその、エレガントな住まいなのだった。
  • 夜のCasa Ciero y Mar。スッとした立ち姿になっているのは、菅原さんが屋根の素材や形状を吟味して設計しているから

  • 全館空調をしているI邸。らせん階段に沿って、弧を描くように部屋が並んでいるため、配管の存在を見せずに、どこでも快適な室温を保てる配管のまわし方にも苦労したそう。

お家のデータ

所在地
神奈川県鎌倉市
家族構成
夫婦
敷地面積
259㎡
延床面積
220㎡