家族が一緒に過ごす空間も、個々過ごす居場所も愉しみたい。そんな想いを託されたのが、実績豊富な建築家・松本直子さん。薪ストーブ、造作キッチン、そしてセカンドリビング。施主夫婦のアイデアが随所に息づく住まいは、濃密な対話から生まれた。
だが、このプロジェクトの真髄はそこだけではない。
実は今回取材した施主世帯に加え、母と妹が住むもう1棟を同時に建築。さらに、各棟に賃貸スペースを有する、極めて難易度の高い計画。家族の絆と賃貸経営を両立させた壮大な挑戦に迫る。
外観の形は違えど、屋根の勾配やベージュの外壁の色が揃った2棟。板塀でつながり、中では庭を共有している。板塀の上から顔を覗かせるさまざまな樹々は、まるで訪れる人を出迎えているかのようだ
北側道路に面した部分には、賃貸住戸用のエントランス。兄棟には1部屋、妹棟には2部屋の賃貸住戸がある。真ん中には入居者専用の駐輪場も。
撮影:小川重雄
玄関。正面の扉は、通り抜けられるクローゼット、左側のポリカーボネートの扉からリビングへ入る。間接照明が、塗り壁や豆砂利の土間を温かく照らす
夫婦で選んだという豆砂利の洗い出し仕上げの土間には、ご家族で天然石を加えて散りばめた
吹き抜けの片隅には友人から勧められて導入した鋼鉄製の薪ストーブ。「いつかこのストーブで、ピザを焼いてみたいと思っています」とIさん。
吹き抜けの天井まで一直線に伸びる煙突。薪ストーブは、炎の揺らめきや温もりで家族や訪れた人に「豊かな時間」を与えてくれる。
光が差し込む明るさと木の温もりに包まれたLDK。TV背面の壁には、米杉材を貼って空間のアクセントに。
奥に長いつくりのI邸の1階は、リビング、ダイニング、キッチンが直線状に並ぶ。
ダイニングテーブルの上部の吹き抜けからも光が降り注ぎ、奥に長いLDKの形には大きな効果をもたらしている。
夫婦のアイデアをもとに松本さんが設計した無垢のステンレスの天板の造作キッチンは、抜群の使いやすさ。料理好きの友人から「ここで料理がしたい!」とのコメント。
家族や友人なども集まるLDK。奥様は将来、ここで「アロマのスクールを開きたい」と夢を語る
階段下には、ご夫婦のアイデアの1つであるヌックを設置。壁の色もグリーンに変えて、お籠り感を演出








