「コンクリート」と「木造」を 組み合わせたハイブリッド住宅特集

鉄筋コンクリートの「力強さ」と、木の「温もり」、一見相反する2つの要素を組み合わせたハイブリット住宅。
ここでは、断熱・気密性、耐火性能という鉄筋コンクリートの特性と、
調質効果という木造の特性を組み合わせた住宅をご紹介します。
ぜひみなさまの自分らしい住まいづくりの参考にしてください。

1階はRC造、2階は木造。 柔軟な発想で叶った、2階が平屋の家

愛知県新城市

十分な敷地面積があるなかで2階建てとし、リビングまでも2階に上げる計画にS様夫妻は驚かれたというが、「集会室をつくるとなれば1階には全てのスペースは収まらないため、どうしても2階に上がっていただく必要があります。ならば、1度2階に上がれば平屋のような生活ができるようにと考えました」とみどりさん。

1階は玄関とその対面、すなわち建物の両端に出入口を配置しているほか、土間を開け放ち集会室へ直接アクセスできるようにもなっている。また、土間と玄関の間にも鍵付きの扉を設置。ご一家が不在の時などにはプライベートゾーンをゲストが通り抜けることを防ぎ、安心感を高めた。

鉄筋コンクリートと木造のいいとこ取り 宙に浮くキューブ

神奈川県鎌倉市 / Y邸

「コンクリートと木造」は、構造体を鉄筋コンクリート、内外装を木材でというのがオーソドックスなパターンであろう。しかし、可児さんは構造体と壁を完全に分離し、鉄筋コンクリートのフレームに、木造の部屋を内包するという斬新なアイデアを提案した。

一見すると、デザイン性を重視したと感じられるかもしれないが、実はそうではない。このキューブ状のフレーム構造や柱の間隔を工夫することで、コンクリートの柱としては細いものにすることができ、構造強度を保ちつつ、木造住宅並みのコストに抑えることを叶えたのだ。

正面は「田」の字形のコンクリート外壁。 防火地域ながらも、外壁の安心に囲まれて家族の将来を見守り続ける木造の家

愛知県名古屋市 / K邸

 敷地配置計画が固まると、次は、どんな建物にするかの設計プランだ。まず、土地が防火地域であるため、建物すべてを耐火構造にしないといけないかどうかを検討。その際、延べ床面積100㎡以下であれば、外壁耐火にすることで内側の建物の耐火仕様は不要になると気づいた。外壁耐火(=コンクリートの壁にすること)のメリットは、外壁のコンクリートが地震力や耐風の力をすべて担ってくれるため、内側は木造であっても柱や耐力壁、筋交いなどの外力を受ける壁がいらなくなること。さらに、内側を木造にすることで、長い目で見たときにリノベーションもしやすくなる。コンクリート外壁を活かしながら、木造部分を作り変えることで、将来、開けてくるかもしれない土地を有効に活用できるのだ。「この土地を愛していらっしゃるK様が、次世代にわたってまたずっと住み継がれていく家だと考えたので、30年~50年後、どうなっているかも含めて提案したいと考えました。外壁耐火は、長くずっと使っていけるので」と浅井さん。

狭小いびつな土地で叶えた、 家族4人の快適ハイブリット住宅

愛知県名古屋市 / W邸

施主から「コンクリートの打ちっぱなしに憧れがある」と、ヒヤリングをしていた竹内さん。全てを鉄筋コンクリート造とするにはコストがかなりかさむため、コンクリート造と木造をミックスしたプランを提案した。

「1階から2階の床までを鉄筋コンクリート造、2階より上を木造とし、コンクリートと木ぞれぞれの良い面を活かすことができました」と話す。上を木造とすることで重量が軽くなり、基礎工事や工期の面でコストが抑えられ、木造3階建てより木造2階建てとする方が地震に対して構造的な優位性も保てる。さらに、1階部分が半地下となる箇所が多く、防水面で鉄筋コンクリート造が有利な点も見逃せなかった。

厚み25cmのコンクリートスラブを 人工地盤のように使うという「男前な」発想

愛知県名古屋市 / T邸

謡口さんは、施主の要望をヒアリングした上で、まず全体構成を考え、枠組みを決め、コンセプトを立てて設計するという。T様邸のタイトルは「土間の屋根 棲家の床」だ。
T様からのご要望は「パブリックな場所としてご主人の仕事部屋が欲しい、屋根のある駐車場が欲しい」ということ。さらに、家族でキャンプに出掛けることも多く、アウトドア・アクティビティが好きなことから、屋外の活動スペースも欲しいと言われた。そんな要望を受け、敷地を見て、謡口さんが感じイメージしたプランが、2階に人口地盤のようなRC造のスラブを大きく作り、これが1階の土間部分と駐車スペース、離れになる仕事部屋の屋根となり、2~3階の住居部分にとっては床となる家。仕事場を離れのような場所に設けようと思ったのは、「仕事場と住居部分に少し距離を置くことで、パブリックとプライベートが空間ではっきりと分かれるように」と謡口さん。