第11回キッズデザイン賞
東京都江戸川区の認可保育所の計画。JR新小岩駅から徒歩10分程度の住宅地に計画地はある。
この園舎の特徴である4本のヒノキの丸太は一本物、根本で直径600mm、先端でも300mmある。その間にガラスを張ってらせん階段を内包した。1辺4段の階段を5/4周まわると2階、さらに1周まわると隠れ家的なロフトに行き着く。子どもたちは階段を上下することで床や丸太との隙間から様々な園内の景色を目にすることができる。
1階は0、1歳児室。死角のない正形のワンルームとした。沐浴室、トイレ、調乳室等、必要諸室を隣接して設け、保育士が子どもから目を離さずに保育できるような保育室とした。
2階は2歳以上の保育室を配置。3〜5歳児室は大きなワンルームとし、家具を動かすことで大小様々なコーナーをつくれる異年齢保育に適した保育室とした。一方、2歳児室は3~5歳児室とワンルームであるが、床を700mm上げることで空間の質を変えた。年長児の活動を見ながら学べるとともに、生活習慣の自立やコミュニティ形成の第一歩を踏み出す子どもたちを手厚く保育できるような空間づくりを行った。また保育室とは別に設けた多目的室は、専用階段を設けて地域への開放も視野に入れたスペースとした。
外壁には、味わい深い経年変化が楽しめ、メンテナンスフリーであるレンガを用いた。淡色のレンガとピンク色の目地材を組み合わせることで、重厚感と優しさをあわせもった。ランダムに穿たれた開口部は、子どもたちに空、街、緑等の景観を提供するとともに、単純な立面にアクセントを与えた。
園庭は性格の異なる2つを用意した。道路側の乳児専用の園庭は、レンギョウのトンネルやひなたぼっこデッキ等、年長児を気にすることなく遊べるようにした。行事時には門扉を開け放ち地域に開放することも視野に入れた。一方、奥の園庭は年長児の庭。砂場や古タイヤ、土管を中心にし、回遊性があり冒険心をくすぐる園庭とした。
撮影:黒住建築写真事務所 黒住直臣(KUROZUMI NAOOMI)