空き家問題、放課後の子どもの居場所、地域コミュニティーの衰退など、日本には様々な社会課題がある。これらの解決に、とある古いクリーニング店が一役買っているという。その建物のリノベーションを手掛けたのは、YN studioの一級建築士並木さんだった。
リノベーション前の1階の様子。入口すぐに受け渡しカウンターがあり、奥が洋服の保管スペースになっていたという。
リノベーションにより生まれ変わった店内は、木の温もりに包まれるほっこり空間。既存床はシートを剥がし、当時の風合いそのままにクリア塗装。天井は構造現しとすることで、狭小な空間に広がりをもたらしている。
テーブルは床に使用したフローリングの端材を再利用したDIYでコストコントロールと空間に統一感を。構造補強に既存ダムウェーターを活用するとともに、壁・柱は最低限必要な箇所に留めて見通しを確保している。
長く伸びるステンレスカウンターのキッチンは造作。厨房機器類や収納を全てカウンター下に納め、広々とした作業スペースの確保や料理教室などに配慮。
2階は可動式のテーブルで様々な使い方を可能に。勉強や習い事のほか、分解した天板・脚を端に寄せて、ヨガやリトミックなどにも使われているという。
プロジェクターも完備しているため、会議やワークショップ、イベントにも利用される。並木さんのオフィスとして、顧客との打合せにも使われるという。
リノベーション前の2階は元作業場。既存水回りはコストコントロールのため撤去して1Fにまとめ、奥のスペースは小上がりへ。
フロアを1段上げ、畳敷きの小上がりをDIYで製作。赤ちゃんや幼い子どもを寝かせたり、ごろんと横になったりもできる「おばあちゃんの家」のようなリラックスゾーン。
壁はSNSやポスターで集まってくれたご近所の方々や友人と塗り、本棚もDIYで製作。コストとデザイン性を見事に両立させた、居心地の良い空間に仕上がった。
撮影:岩田 量自