道路に囲まれた敷地にあり、全方向から建物が見えるという「栃木の家」。建築家の押山さんによればプライバシーを守るために1.5mのコンクリート壁で囲まれた中に身を置くと、驚くことに威圧感や圧迫感が感じられない。家中が明るく、庭仕事が楽しめる気持ちのいい家はどのように計画されたのだろうか。
この建築家に
北西から見た外観。外壁には2階部分はサイディング、1階部分はコンクリートを採用した。コンクリートは杉板柄など3種類が使い分けられ表情豊か。外構のコンクリート壁を一部下げ、壁の前に植栽帯を計画(画像右)し、壁の印象をやわらげた。壁の間を入ると家族用の駐車場に進む
南西から見た外観。2階の大きな開口はリビング。間に庭を挟み、道路との距離を取ることでプライバシーを守っている。庭に植えられた木々も成長するにつれ目隠しになるだろう。建物右側に見える木材のボリュームは、屋上に突き出た部分で室外機を隠している
外観。来客用の駐車場を3台設けて外構を下げ、圧迫感を軽減。来客は黒い仕切りからアプローチへ進む。コンクリート壁と垂直に交わる茶色い壁の素材は錆びることで安定するコールテン鋼。その横の屏風の鉄板を取り外すことで、ご主人の庭づくりのための重機がここから搬入できる
北東側から見た外観。1階RC造、2階木造の混合造を選択し、2階リビングの下を抜いて駐車場を設けることを可能にした。2階左端に物干し場を兼ねたテラスがある。洗濯物を外に見せたくないという奥さまのご要望に応えた
上部から見た家。3面が道路に接しており、全方向から建物が見える。箱を組み合わせたような建物のフォルムに加えて庭や植栽の配置を工夫し、視線を遮りプライバシー性を高めた
リビング前の庭、アプローチから玄関を見る。奥さまのご希望により玄関は約3.2mの鉄製のものを採用。玄関上にあるのが吹き抜けの開口。屋根を薄くするなど工夫し「ガラスの箱がついているように見せたかった」とのこと。画像左は駐車場。雨の日でも濡れずに室内に入れると好評だ
和室の庭は、砂利や苔を用いて雰囲気を合わせた。緑の苔の中に植えられた赤目紅葉のコントラストが映える
玄関。吹き抜け2階部分は2面の全面大開口とした。左の仕切りはシューズインクローゼットに続く
1階階段。踏板には石材を張った。2階上部にトップライトを計画。家の奥に当たる部分だが十分明るい
1階息子さまの個室。芝生の緑とコールテン鋼のコントラストが美しく、その手前に立つお気に入りのアオダモの株立ちが風にそよぐ
1階和室。障子を開けると目に飛び込むのは、和室からのみ眺められる庭。縁のない琉球畳はスッキリとした印象を与え、庭の景色を引き立てる。畳の回りの板は凹凸が付いた仕上げを採用。足触りがよく、来客にも喜ばれているのだとか
2階奥からキッチン、ダイニング、リビング。キッチンを挟み右の扉は廊下へ、左の扉はパントリーへ続く。キッチンは対面式。右の大開口は深い庇があり、夏の直射日光を遮る。また天井の中にロールスクリーンボックスを設え、普段はロールスクリーンが見えないよう設計されている








