建てたい家のイメージはあるのに、実現してくれる施工会社が見つからないという問題に直面する人も多いだろう。T様もその一人だったが、建築家の桑名さんと出会って状況が一変した。 要望の本質を探ることでイメージを的確に形にし、かつ、期待以上の魅力をプラスした桑名さんの家づくりを紹介する。
この建築家に洗練されたスタイリッシュなフォルムと大きな窓が目を引く外観。中央のデッキテラスを囲むように、ボリュームや高さを変えてコの字型に配置した。写真右に玄関、左に倉庫、中央にリビングがある。デッキテラスの上部は空いていて、室内に十分な日光が取り込める
家の北東には、ベンチを配置した。近隣の学校の通学路に面しており、「お子様たちが学校帰りにお友達とここで立ち話をするようになったらいいなと思っています」と桑名さん。建物側のコンクリート部分には、今後プランターや鉢を置き庭のようにする予定だとか
玄関から屋内を見る。2階に上がる螺旋階段はT様のこだわりのひとつ。玄関の正面に窓があるため、家の向こう側まで視線が抜け、空間が広く感じられる
玄関からリビングに続く廊下も、ホテルの廊下の雰囲気を重視した。優しいグレーの壁面が場の印象を和らげる
1階吹き抜け、リビング。建物をコの字型に計画しデッキテラスを家の中央に設けたことで、リビングにいながら玄関の様子まで伺える。モノトーンでまとめられた室内は、高級感たっぷり。テレビの背面の壁面のみにごつごつとした質感を感じる石調パネルを配し、空間を格上げした
1階リビング。床暖房を配し、大理石風のPタイルから受ける印象とは違い冬も温かな空間。吹き抜けのおかげで開放感があるのに加え、リビング裏の廊下や、画像右壁面の裏にある水回りまで視線が抜け空間をより広く認識できる。視線の抜けは、家族の気配を感じるためにも重要
1階脱衣室から浴室を見る。黒が多めのモノトーンでシックな印象
2階、東側の廊下から見たところ。1階に見えるのはキッチン。奥様の「キッチンから室内が見渡せるように」というご要望が反映されているのがわかる。写真奥、黒枠の窓は寝室の窓。「空間につながりを持たせるためにも、家の内側に向かった窓をたくさんつけました」と桑名さん
2階北東、居室B。T様のご要望だった、差し色としてのライトなブルーグリーンは収納の壁面に使用した。扉を開けると明るい色が目に飛び込んできて、毎回新鮮な感動が得られる
2階寝室は、ほぼ眠るためだけに使用。横になったとき照明の光が目に直接入らないよう、折り上げ天井にし、間接照明を設けた。床も落ち着いた色味に床は落ち着いた色味に。ほか、写真左のドア手前、掃き出し窓に相対する壁はダークブラウンで仕上げている
夜の外観。土地の特性や、そのエリアに家が与える印象を重視する桑名さん。室内のキリリとした佇まいとは反対に、家の外に向かっては温かな色味の照明を選んだ。北東のベンチ部分も明るい照明が点され、道行く人に安心感を与える
撮影:イエフォト