KLASIC(クラシック) 相談できる「建築家」が見つかる。建てたい「家のイメージ」が見つかる。建築家ポータルサイト『KLASIC』

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洋の家具もしっかり馴染む!上質で快適な”和”空間づくりとは

Mさんご家族は、30代の共働きご夫婦と小さなお子さん2人の4人家族。「四季や自然を感じられる、飾り気のない住まいを」という願いを受け、日本ならではの自然素材を用いた住宅建築を展開する建築家・加藤武志さんがつくりあげたのは、まさに「人、自然、家が一体となる安らぎの空間」だった。

和風、調和、和(なご)み……“和“の本質をとらえた家づくり

歴史ある住宅都市の街道に面した土地の一角に住むMさんご家族。これまでは古い家を修繕しながら住んでいたが、「四季の移ろいを感じながら、素朴な生活がしたい」と建て替えを決意し、建築家・加藤武志さんのもとを訪ねた。

 「自然素材を使ったあたたかみのある家にしたいということで、ご依頼を受けました。1984年の設立以来30年以上にわたり、気候・素材・環境などに配慮し、自然に暮らそうという“自然住宅”でのライフスタイルを提案してきましたから、施主さまのご要望にもお応えできたのではないかと思います」と加藤さんは話す。

 プランニングも、加藤さんならではの流儀がある。「当たり前のことですが、家は施主さまがお住まいになってこそ“家”になるんです。ですから、施主さまとは何度も打ち合わせを重ね、お話をお伺いしたうえで、近い将来だけでなく10年、20年後も快適に暮らしていけるであろうプランをひとつだけご提示する。施主さまが迷ったり、悩まれてしまうようなプランはお出ししません。積み重ねてきた経験に基づいたアドバイスのようなものを求めて、ご依頼くださったようなところもあるかもしれませんね」。これまでに120軒以上の自然住宅や診療所などを設計し、多くの賞を受賞してきた加藤さん。その豊富な知識が、今回のM邸でも存分に活かされている。

 そうしてできたM邸は、杉やサワラ、和紙、漆喰、珪藻土など、古くから日本家屋に用いられてきた素材をふんだんに取り入れつつ、すっきりと洗練された雰囲気がある。「新しいものにもいいものはたくさんありますが、昔から使われて続けてきた素材や工法には、歴史に裏打ちされた確かな魅力があります。そういったものを大切にしながら、ご家族が和やかに暮らしていける家づくりを目指しました」

 椅子やテーブル、ベッドなどの西洋家具中心の生活スタイルであっても、裸足で歩いたり直に座ったりしたときに心地いい、やわらかであたたかみのある素材の床板を使う。こんなふうに、加藤さんのつくる家は、“和”の要素を絶妙なバランスでとり入れている。「“和”を芯に据えた住まいづくりを心がけています。“和”は、日本的である、日本の気候風土に合っているという意味合いはもちろん、“調和”や“和み”など、美しく整っていて、かつ、ゆったりとくつろげるという解釈もできる。そういった空間を大切にしたいという和の心は、常に意識していますね」
  • 玄関/Mさんご夫妻の趣味は自転車。それを受け、加藤さんは玄関を通常よりも広くとり、自転車を置けるようにした。玄関を出た先のポーチも広々としたつくり。「自転車の修理もできるような、ゆったりとした空間にしました」と加藤さん

  • ダイニング/リビングと地続きになっているダイニング。7畳ほどだが、それ以上に広く感じられる

庭に広がる豊かな緑との一体感を感じられる、開放的な濡縁

家をつくるにあたり、奥さまの希望は「濡縁(屋根のない縁側)のある家」だった。昔はどこの家にもあった縁側だが、今では少なくなっているという。「室内と庭とをつなぐ役割をはたしてくれる縁側は、個人的にも大好きな設備。庭への理想的な動線にもなります」。家の南側に広く設けられた濡縁。天気のいい日には、草木を愛でながらのんびり日なたぼっこを楽しむのも良さそうだ。

 「敷地の中は、庭も含めてすべてが間取りだと思っています。家の中だけでなく、庭木から下草に至るまで、ご要望を伺いながらプランニングします」。その言葉どおり、加藤さんは植栽にもとても造詣が深い。「庭と室内が織りなす一体感は、住まいを形にする中でとても重要視しているポイント。浴室も含め、すべての窓から緑が見えるよう設計しました。見せ方やバランスにはかなり綿密なプランを作成しましたね。ある意味、室内の設計計画以上だったかもしれません」と加藤さんは笑う。

 メインの庭には、もともと植えられていたナンテンやユズなどの常緑樹を活かしながら、モミジなどの落葉樹やブルーベリーなどの低木をバランスよく組み合わせ、さらに、小ぶりな菜園も配した。夏場、気温の高い時季に熱をはらんだ風も、草木の間を抜けると幾分やわらぐそう。庭の緑で適度に冷やされた風が室内に流れこむので、夏場に窓を開け放しても快適だろう。

 さらに加藤さんは、庭の木々の間を歩けるようにサビミカゲ石のステップストーンを配した。「ただ眺めて美しいだけの庭ではなく、目にも美しく、直接触れても、歩いても楽しめる庭にしたかったんです。生活に深くかかわっていく庭、といった感じでしょうか。Mさまのご家族は小さいお子さまもいらっしゃるので、お子さまの成長とともに庭の変化も楽しんでいただけるといいですね」
【加藤 武志さん コメント】

 風致地区内ということに加え、接道がいわゆる「但し書き道路」だったため、着工に至るまでに多少お時間をいただきましたが、ご満足いただけたようでうれしく思っています。お子さまがまだ小さいこともあり、間取りはあまりつくりこむことはせず、その時その時のライフスタイルにあわせて永く心地よく暮らせることを意識しました。自然素材ならではの、経年による色や質感の変化も楽しんでくださると幸いです。
  • 庭~濡縁/家の南側いっぱいに濡縁を設置した。庭に面した開口部はすべて引きこめるようになっており、家全体に心地よく風がまわる

  • 浴室/大和張りの板塀で囲った坪庭を楽しめる浴室。壁には湿気に強く、香りのよいサワラを使用している

  • 庭/回遊性のある広々とした庭。四季折々の草木を楽しめるような配置になっている。写真右の石で囲ったスペースで家庭菜園用

お家のデータ

所在地
千葉県市川市
家族構成
夫婦+子供2人
敷地面積
284㎡
延床面積
91.41㎡