高知県南国市の田園地帯に、独創的な邸宅が誕生した。周囲を畑に囲まれた敷地に建つその外観は、洗練されてはいるが特異なものではない。この作品の最大の特徴は、“家族のコミュニケーションが増える”ことを目的としている点だ。その考えに至った背景や子供の教育への好影響について、作品を通じてご紹介しよう。
この建築家に外観(正面)。畑に囲まれた立地だが、畑仕事をする人の往来があるので視線カットのために壁は高めに設置。杉板で模様をつけたコンクリート製で、周囲に威圧感がないよう配慮した
外観(東側)。南国市は強い雨が降ることが多く、雨対策は必須。軒を1.35mと一般的な基準より、かなり長くした
家屋と一体になった印象の、駐車場の屋根。軒も広く出ているので、雨の日に濡れることもない。2面を開放し、固定資産税がかからない工夫も施されている
玄関右横にある木製のルーバー奥に、物干しスペースを配置した。洗濯物は外から見えない。ガレージ横から入ることができ、畑仕事を手伝った子どもがシンクで汚れを落とし、そのまま浴室に行くこともできる
吹き抜けで広がりを感じるLDK。梁は無垢の杉。しっかりしたものなので、構造材は見えるように設計した
ダイニングから見た和室。40cmの段差を設け、床下収納とした。急な来客時の片付けに役立っている。この段差は、多人数の来客時に腰掛ける場所としても機能する。和室は玄関ホールに接しており、障子を閉めるとLDKを見せずに来客を迎えることも可能だ
玄関ホール側から見た和室。地窓からウッドデッキが見える。障子を開ければリビングダイニングと一体となり、開放感ある空間が誕生。親戚の宿泊時には障子を閉め、個室として使用することも可能だ
リビングからみたダイニング。2階の子供部屋が宙に浮いているように見える。子供部屋の吹き抜け側には窓を設置。1階と2階の間で、お互いの気配を感じられるように考えられている