新築マンションを購入したものの、標準仕様では理想のホテルライクな住まいには届かない。完成後に壊してリノベーションするのは、お金も時間も資源も無駄だ。ならば着工前に交渉して、自分色に染められないだろうか。そんな施主の想いに応えるため、建築家は通常の「設計」「施工監理」に加え、「交渉」という第三の役割を担った。10年来の信頼関係で結ばれた施主と建築家が、粘り強い対話を通じて実現した「プレカスタム」の全貌に迫る。
この建築家に
絵とのマッチングを考慮し光天井を採用し、ひし形模様のファブリックで仕上げた。壁には壁紙の上からジョリパットを塗り、光が当たるたびに陰影が生まれる。絵を引き立てるための舞台装置のような玄関だ。
グリッド状の桟が印象的な扉。グレーのガラスが、窓先の景色まで見渡せる抜け感と、玄関が見えない実用性を両立。
書斎は視界の抜けを確保しつつプライバシーも確保。本棚は市井さんのオリジナル設計。カーテンレールや間接照明は垂れ壁をつけて目隠しするなど、細部に渡る配慮も。
市井さんとMさん夫妻が一緒にショールームを回り、見た目だけでなく座り心地も吟味して決めたソファーやチェア、テーブル、照明が配されている。どれもがホテルライクな空間を支える、厳選されたピース。
書斎とリビングを分ける壁は新たに施工し、その中にテレビを埋め込み配線などを隠蔽した。表面にはわずか1.5㎜の厚さの石を貼ることで、自然な風合を表現。
光天井の照明は気分やシーンに応じて色を変えられる。友人を招いてワイワイやりたいときは明るい色、落ち着いたバーのような演出をしたいときは暗めの色、と空間の表情を自在にコントロールできる。
キッチン周りは、奥様の要望を詰め込んだオリジナル仕様だ。アイランド型のキッチンは自動水栓や浄水器もセットされ、収納力も申し分ない。
パノラマビューなリビング。建ち並ぶビルやマンションを見下ろし、遠くの山並みまで見渡せる圧倒的な開放感。夜になれば無数の灯りが瞬く幻想的な夜景が広がる。
背面には照明付きのカップボードを配置。冷蔵庫やその他の家電はビルトインできるものを採用し、生活感を排除。細部に渡るこだわりが上質空間を支えている。
寝室はホテルライクなカーペットで。銀色のアートに合うように、壁はセージグリーン、ヘッドボードはグレージュとし、寒色と暖色でバランスをとりくすみカラーで統一した。
寝室には、2人同時に身支度できるよう、市井さんオリジナルの2連の化粧台。
奥様専用の家事室兼衣装室。服を掛けたり身支度を整えるスペースとして重宝する。








