福岡市中央区で、極めて独創的なマンションのリノベーションが完了した。この作品が持つ最大の特徴は主に2点。ライフスタイルの変化に合わせた住み替えを前提にしている点と、資産価値の維持を視野に入れている点だ。現在の暮らしの満足感と将来の資産価値維持を、バランスよく共存させたこの作品をご紹介しよう。
この建築家に
ダイニングから見たリビング方向。家族が自然に集まる空間だ。壁と天井は水性塗装クロス。質感はもちろん、メンテナンス性に優れ、通気性と透湿性で良質な空気環境を整える。
造作家具は最小限にし、賃貸の住まい手が自由にレイアウトできることを考慮した
リビング。左に光庭があるため、中央部のリビングも明るい。正面の扉はフルハイトで上から吊り、下に段差はない。扉の枠もなくしたのでスッキリしている。将来の賃貸を考え、照明はあえて引っ掛けシーリングに。入居者が好きな照明を取り付けられるための工夫だ
キッチンの高さは標準的な高さより3cm高いものとした。一番手前がキッチンと同じ素材で造作した食洗機置き場。ビルトイン式は故障した時に大変なので、据え置き型を置く前提だ。棚上の照明や水栓は非接触型。キッチンパネルは磁石が付くガルバリウム鋼板を採用した
キッチン。IHを採用し、80年代のヴィンテージマンションはオール電化に変貌した。照明だけでなく右側の光庭からも光が入り、明るいレイアウトだ。手前のカウンターは造作に見えるが通販で買ったもので、自由に移動できる
寝室から見たドライルーム。ガラス框扉で空間全体が明るく広く見える。賃貸に出した時、入居者募集の写真映えまで考えての採用だ。子どもが小さいので、寝室は布団を敷き詰めて使用。壁一目にハンガーパイプを配置して大容量のクローゼットも兼ねている
玄関。独立していた玄関を、ファミリールームと一体のコンクリート土間ととすることで空間に面する窓を増やし、広がり感だけでなく、通風や採光を豊かにした。帰宅後すぐに手洗いができるよう、洗面位置を変更。大きな鏡で空間を大きく見せる効果も。
洗面ボウルは医療用の深いものを採用。子どもの靴なども洗える。水栓は便利な伸びるスプリングホース
玄関。入口正面はブルーグレーの漆喰壁を背景としたピクチャーレール付きウォールで、真鍮ブラケット照明と共に住宅の第一印象を彩る
唯一の造作収納。横並びするキッチンの面材と同じラワン合板として統一感を出した。一番左がシューズボックス、右が食器やレンジなどの家電を入れることを想定した。中の棚はすべて同じサイズ。棚の数や間隔を、すべての収納部分で自由に変えられる
キッチンのオープン吊戸棚。見せる収納だけでなく、サイズが大きい鍋なども収納できる利点がある。棚の木はキッチンと同じもの。多くの素材を使わず、統一感とシンプルさを追求した
リビングとダイニングに設置されたピクチャーレール。野崎さん夫妻が絵を飾るのが好きだからという理由だけではない。賃貸の居住者が絵を飾る際、壁に穴を開けることをためらわず、自由に部屋を飾ってほしいという想いからの設備だ
洗面の照明は、妻がネットで見つけて購入したもの。野崎さんは、このようにお施主様のセンスを尊重することも多いそうだ。サイズも大きく、実用性も高くて大正解だったという
玄関のたたきとフローリング。段差を抑え、上がり框は細くすることでシンプルさを追求した。オーク材無垢の2mm厚節付きフローリングを採用。価格を抑えられるだけでなく傷や汚れが目立たないメリットもある。下地は遮音性能LL-45相当の二重床で下階に配慮した
リノベーション前のレイアウトは和室がメインの4DK。1980年代では一般的なレイアウトだったが、さすがに現代では使いづらい状況だった
施工中の様子。壁や天井の断熱を強化し、二重床下地を遮音仕様に全面改修するなど、現代の生活水準と法規制に合わせたフルリノベーションの様子がわかる。まずは施工後、家族が快適に住むことができるように。さらに将来、将来賃貸に出す時のことも考えられている








