【間取り図付き】これぞ匠の技!変形敷地・旗竿地特集

ハウスメーカーや工務店では引き受けてもらえないことすらある「変形敷地」や「旗竿地の土地」。そんな難度の高い案件でこそ、力を発揮するのが建築事務所。この特集では、そんな「変形敷地」や「旗竿地の土地」に、施主の想いと希望をカタチにした住まいを紹介します。間取り図もあわせて見ていただき、ぜひご自身の家づくりの参考にしてください。

北斜面の旗竿地という立地ながら、光あふれる空間を実現

東京都板橋区 / A邸

施主であるAさんと手塚さんが出会ったのは、とあるコンペサイトだった。都内にある北斜面の旗竿地を購入するかどうか迷っていたAさんが、そのサイトで建築プランを募集していたのだ。Aさんが希望していたのは、できる限り採光が望める、和風の住まいだった。これに応じる形で手塚さんが提案したのが、日本の茶室をイメージした家である。
「北斜面ということで、採光が難しいことは当初から予想していました。そこで思い出したのが、かねてから私が研究していた日本の茶室です。茶室は仄暗いですが、光の陰翳によってみごとに空間に広がりを出しています。その茶室のイメージは、Aさんの希望ともマッチすると考え、提案しました」そう語る手塚さん。このプランがみごとに通り、Aさんはこの土地を購入。手塚さんのプランが実現に向けて動き出すこととなった。

居場所を見つけるのが楽しくなる 心地よさが詰まった自然体の住まい

東京都杉並区 / K邸

緑が茂る長いアプローチを通り抜けるとモミジに彩られた庭が現れ、庭を囲むように白い家が立っている。雑多な都会を隔絶する清々しい自然が迎えてくれるこの家は、建築家の熊澤安子さんの自宅兼アトリエだ。道路から20mほど奥まった旗竿地ゆえ電柱などが視界に入らず、空や緑の明るさをダイレクトに感じられ、瞬時に心がやわらいでいく。

邸内は1階に熊澤さんの仕事のアトリエ、キッチン、リビング&ダイニングがあり、主寝室や水まわりは2階に集められている。1階がパブリック、2階がプライベートという空間構成だが、各室の設計でこだわったのは「居場所をたくさんつくる」ことだった。

変形敷地だからこそ。建築家によるプランニングで理想の間取りを実現

東京都品川区 / K邸

「変形敷地」と呼ばれる整った四角形でない敷地の場合でも、大手ハウスメーカーでは家が持つそれぞれの角が90度になるよう設計されることがほとんど。そのため敷地を生かしきれず無駄なスペースが生まれてしまうのだそうだ。
「設計事務所なら対応ができるんです」と上原さんが設計した家の外形は、扁平な台形の敷地形状をそのまま生かしたもの。その中に必要な機能を当てはめていき、見事に希望する間取りを入れ込んだ。その手腕に施主様ご夫妻も「こんな設計ができるんですね」と驚かれたという。
特徴的なのはリビングだ。生活の中心となる部屋は、家の高さ的にも方向的にも真ん中に置く、というセオリー通りならば2階にあるはずのLDK。それを3階に配置したのは、施主様ご夫妻のLDKを一番大事にしたいという思いからだった。

旗竿地でも陽光の中でくつろげる眺望抜群のLDK。その秘策は?

東京都小平市 / K邸

建築家の日部(かべ)友裕さんが自邸を建てたのは、周囲を建物に囲まれた21坪の旗竿地。「自分の家だからこそ、あえて狭小×旗竿というハードルの高い土地を選んでみました」。完成した住まいは陽光たっぷり、明るく開放的で眺望も抜群。旗竿地とは思えないのびやかな空間は、いったいどんな工夫で生まれたのだろうか。
すごいのはここからだ。完成した住まいは地下1階、地上2階建て。といってもプロならではの秘策ともいえる工夫があり、1階は玄関から半階上がり、地階は玄関から半階下がるスキップフロア。この造りで2階のLDKは近隣住宅の2階よりも半階分ほど高い位置になり、採光も眺望もいちだんとアップ。さらに、隣家と窓の高さがズレるため、外部の視線が気になりにくいというメリットも。スキップフロアは「面白い!おしゃれ!」などという無邪気な感想を軽く飛び越え、明るく開放的な空間づくりに大きく貢献しているのだ。

それぞれの場所に役割り!賑やかな街のような家には人が集まる

岐阜県多治見市 / T邸

広い庭をつくるには課題があった。駐車場の位置だ。渡辺さんは「郊外の広い土地でしたが、旗竿敷地だったんです。入り口は狭いけども奥は17メートル四方の広さがありました」と、説明する。
「狭い”旗”の部分にも駐車はできますが、そうすると建物以上に駐車場の存在感が出てしまう。バックで入ってきて突き当たりに置く案もありましたが、奥さまは運転に自信がないと。車なしでは生活できない地域ですから、最終的に、車が出し入れしやすい広さの駐車場を奥につくることになりました」。
駐車場にスペースがとられてしまうため、残りの部分にどんな建物をつくることが出来るかと、渡辺さんは考えた。浮かんだのは街のイメージだった。建物のかたちをひとつの箱ではなく、いくつかの箱をずらして並べたような形にする。色々なかたちの建物がひしめく街並みのように、大小の箱が並んだような家。広い庭は人々が集まる広場だ。駐車場も街並のひとつと捉えれば、全体の雰囲気にうまく溶け込む。