
それぞれの場所に役割り!
賑やかな街のような家には人が集まる
子どもと大人、居場所は違うけどいつでもいっしょ
友人の家とTさんのご家族とは、家族構成もライフスタイルも似ていて、必要な部屋もほぼ同じ。あの家みたいに、と、イメージも渡辺さんとは共有できていた。友人と違ったのは、囲われた庭より開けた庭が好きだということ。建物を片側に寄せて「バーンと広くとった」庭が良かった。
ところが、広い庭をつくるには課題があった。駐車場の位置だ。渡辺さんは「郊外の広い土地でしたが、旗竿敷地だったんです。入り口は狭いけども奥は17メートル四方の広さがありました」と、説明する。「狭い”旗”の部分にも駐車はできますが、そうすると建物以上に駐車場の存在感が出てしまう。バックで入ってきて突き当たりに置く案もありましたが、奥さまは運転に自信がないと。車なしでは生活できない地域ですから、最終的に、車が出し入れしやすい広さの駐車場を奥につくることになりました」。
駐車場にスペースがとられてしまうため、残りの部分にどんな建物をつくることが出来るかと、渡辺さんは考えた。浮かんだのは街のイメージだった。建物のかたちをひとつの箱ではなく、いくつかの箱をずらして並べたような形にする。色々なかたちの建物がひしめく街並みのように、大小の箱が並んだような家。広い庭は人々が集まる広場だ。駐車場も街並のひとつと捉えれば、全体の雰囲気にうまく溶け込む。
「凸凹にすると、隙間が生まれます。その隙間をどう使うかですよね。このご家族はちょっとした隙間を上手に使って、楽しんでらっしゃいます」と渡辺さん。
屋根にタープをつけてテントのようにしたり、ちょっとした段差に板を渡して滑り台をつくったり。外の空きスペースでは畑もつくっている。以前はアパート住まいだったTさんご夫婦は、そんな楽しい家に引っ越したのを機に、友人や家族を招くようになった。家族が何組も集まって過ごせるように考えられた空間は、たくさん人が集まってもストレスなく使える。
「子どもが自由に遊べる場所を室内につくりたいというご要望があって、この丸い凹みを提案しました。子ども達にここなら何をして遊んでもいいよと言える場所ですね。リビングの一角なので、ダイニングでおしゃべりしている大人の目も届きます」と渡辺さん。
この辺りは打ち合わせどおりに使ってくれていると、渡辺さんが見せてくれた写真には、丸い凹みに鈴なりになって遊ぶ子ども達が写っている。その隣のダイニングには大人が、4〜5家族はいるだろうか。壁にはガーランドが飾られ、ホームパーティを楽しんでいる様子が伝わってくる。
大勢でもゆったり過ごせるため、親族の集まりも実家からTさんご家族の新居に場所をうつしたという。友人に、家族にと、たくさんの人が集うこの家は、みんなの笑顔が集まる賑やかな街そのものだ。
自ら参加して小さな夢を次々実現していく家づくり
こういった微妙な部分は、外国の部屋のような青などと言葉で言っても、なかなかニュアンスを伝えにくい。そこで思い切って、奥さまに実物を見てもらって調整した部分もある。階段に吊るした涙型の照明は、現場で渡辺さんと奥さまが一緒に位置を調整した。「これも全体のバランスが難しいんです。風が吹いてぶつかると割れちゃいますし。こだわりのある方だったので、イメージ通りになるよう現場で高さを決めました」と渡辺さん。
丸い障子のあるモダンな和室では、工事現場に行って、床の間の壁のカーブを奥さま自身が書いた。紙でいいと思っても、実際に壁になってみると受ける印象が違うこともある。実際の壁で説明してもらえば、まず仕上がりとイメージが異なることはない。
小さなところでも、あれこれ考えて決めたところが随所にあると、家で過ごす時間もますます楽しくなりそうだ。
間取り図
基本データ
| 所在地 | 岐阜県多治見市 |
|---|---|
| 敷地面積 | 462.1㎡ |
| 延床面積 | 141.18㎡ |
| 間取り | 5LDK |
| 家族構成 | 夫婦+子ども2人 |
| 予算 | 2000万円台 |
| 施主 | T邸 |
撮影:ide
設計者情報
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