相談できる「建築家」が見つかる。建てたい「家のイメージ」が見つかる。 建築家ポータルサイト『KLASIC』

建築家ならではの匠の技が光る 「傾斜地」に建つ家特集

住まいを計画する上で、一般的に懸念材料として考えられがちな「傾斜地」。
一方で、土地の特性を巧みに活かすことで、「傾斜地」という懸念材料をむしろメリットに変え、魅力的な空間につくり上げることは、腕のいい建築家に任せれば可能です。
ここでは「これぞ建築家が建てる家」といいたくなる傾斜地に建つ家を紹介します。
ぜひみなさまの自分らしい住まいづくりの参考にしてください。

安定性をより高め、遊び心もプラスした豊かな住まい

Y邸は一見すると2階建てに見えるが、室内は半階ずつ床レベルが変わる4層のスキップフロア。1階と1.5階は個室や水まわり、2階と2.5階が眺望抜群のリビング、ダイニング、書斎である。

眺めがいいということは、この住宅が高台、つまり「傾斜地にある」ということでもある。実際、敷地は東の道路から一段下がっており、眺望が開けた西側の先は崖になっている。

正直、建物の安定性が気になってしまう環境だが、そんな懸念も蘆田さんは高度な設計ノウハウで吹き飛ばしている。まず、地盤は調査で十分な安定性を確認。そのうえで傾斜の角度に対して最も安定する安息角(あんそくかく)を計算し、建物を建設。さらに強固な地盤に建物を1mほど埋め、「念には念を」といわんばかりに安定性を高めている。

「2つの大きな壁」がもたらす効果。完全オーダーメイドだからこそ実現した住まい

B邸が建つ敷地は、ひな壇上に造成された傾斜地の一角、間口が狭く、奥行きが深い。また、この辺りは宅盤が道路に対してほぼ2階の高さにあり、敷地境界いっぱいに住宅を建てるため、塀をぐるりとまわし1階レベルに駐車場、その上に2階建ての計3階分の壁面が道路に迫っているケースが多い。そのため前面道路との関係性は乏しく、圧迫感を与えてしまっている。その点、B邸は2台分の車が横置きできるオープンな駐車スペースから階段を上がった先に玄関がある。

「お施主様の要望を実現するのと同時に、その住宅がどのように周辺環境と関係を結ぶかをいつも大事に考えます。今回B邸を設計するにあたり、通りへ圧迫感を与えず、なだらかにつながりつつもプライバシーを確保できる状態を考えたところから、2つの大きな壁のアイデアが生まれました。まず1つめは屋外の壁です。この壁は1.5階建ての高さにすることで擁壁による圧迫感を抑える役割を担うとともに、リビングの延長として、前庭空間を生み出す効果もあります。そして2つめは屋内の壁です。ダイニングとキッチン、そしてダイニングと子ども部屋を緩やかにつなぎつつ、常に家族のアクティビティの中心にある、拠りどころのような存在となることを意図しています」と髙濱さんは語る。

急斜面を逆手に絶好の借景! 目を落とせば室内にも本気の庭

街のなかの狭い家に住んでいたSさんご夫婦。通勤は不便でも広いところでのびのび暮らしたいと、郊外へ出ることを決めた。山の上の良い場所は手が届かず、安く手に入ったのは傾斜地。家を建てて、そこで生活するには外構の整備も必要だった。外に出て自然に触れることが好きだから、庭も楽しみたい。庭や外構も含めて、設計してくれる建築家を探していて、ガーデナー建築家の勝田さんに出会った。

「景色も眺めたいし、庭仕事もしたい。作業の合間にちょっとお茶が飲めるようなところもほしい、というお話でしたから、インナーテラスをおすすめしました。インナーテラスというのは、土間のような半屋外の空間です。土間といっても暗い感じはなく、明るく開放的な空間です」と勝田さん。それまでの事例を紹介したところ、Sさんご夫婦も気に入り、庭と家をトータルで設計することが決まった。