広島市に誕生した邸宅。デッキから、眼下に広がる自然や山々を楽しむことができる。お施主様の当初要望は平屋。しかし現地調査でその眺望を活かすべきだと考えた建築家は、広いデッキを持つ2階建てを提案。結果、お施主様は大満足し、SNSでも大反響となった。この作品が生まれた背景と建築家の想いをご紹介しよう。
この建築家に外観(正面)。周囲は住宅街で一般的な家であるため、奇抜な外観ではなく周囲に溶け込むシンプルなものとした。視線カットと断熱効果を高めるため、前面道路側の窓は最小限に。玄関ドアはバイクを土間に入れるため大きなものを造作した
お施主様がもっとも気に入っているデッキからの景色。SNSでもっとも投稿されているアングルだ。右側のリビングとフラットにつながっている。眼下には田畑、遠くに山々を眺めることができる
リビング。障子を閉めると落ち着いた空間となる。テレビが設置されている壁面側が西向きとなるため、あえて壁を広めに取って断熱効果を確保。写真右側の奥から徐々に明るく、景色も楽しめるように計算されている
もっとも落ち着くダイニング。断熱のために窓を制限したこともあいまって、隣のリビング・デッキの明るさや眺望との対比を感じられる
障子は既製品のサッシを隠す機能も持っている。どの作品でも照明まで一緒に設計しており、この作品でもダウンライトと最小限のペンダントライトで構成。この作品では民芸の作家作品を採用。ジャパンディを意識した
リビングの障子とサッシを開いた状態。どちらも壁の中に隠れるように設計されている。全開放すると素晴らしい景色と開放感を得ることができる。床のフローリングとデッキの床はほぼフラット。床材の貼り方を同じにすることで、外と中の連続性と開放感を感じることができる
リビングから見たダイニングとキッチン。廊下を廃し、階段を上がるとすぐにリビング・ダイニングに。手前の扉は脱衣所・浴室に通ずる。2階ですべての家事ができる、動線を短くするプランだ
キッチン。リビングにいる子供や家族の様子を調理中でも見られるよう、手前のシンクまわりの壁を取り除いた
キッチンから見たリビング・ダイニング。シンク前の壁がないことで、障子を開けば外の景色を調理中に楽しむこともできる
色使いは最小限に。木材の色と、グレーの壁色に絞ったことで、落ち着いた空間が誕生した。外の緑が映える効果もある
玄関ホール(土間)。右はベビーカーやキャンプ用品なども入る収納。土間にはお施主様のバイクを保管することもできる。天井は地元工務店の協力で、一般的には下地材で隠す構造梁を隙間なく組むことによりコスト削減と美しさを両立した