広大な田園が目の前に広がる愛知県岡崎市の集落に、ある邸宅が誕生した。この作品が持つ主な特徴は2点。眼前のすばらしい眺望を活かし、土地を有効に使い切っていること。そして近隣と調和し、共存できるプランとしたことだ。派手なデザインではないが、様々な視点で深く考え尽くされた、この作品をご紹介しよう。
この建築家に
外観(西側正面)。景観が良い西側を大きく開き、そこにLDKを配した(写真中央)。L字型の平屋とし、写真左のエリアには寝室や水回り、子供部屋や収納スペースを集中的に配置。効率的な導線となるプランとした。平屋としたことで、背後の家からも田園風景を眺めることができる
明るく開放感のあるLDK。奥行きの長さを感じられるプランだ。キッチンはII型。田園風景を眺めながら料理ができる。梁と天井は木材のあらわしで、ヴィンテージの貴重なソファなどが似合うインテリアとした
ダイニングから見た田園風景。法規制のおかげで、この先に家が立つことは長期間ないことが予測される。この風景をLDKのどこからでも満喫できるよう、開口部を最大限に広げて確保。照明もすべて、同時に手がけた
深い庇を持つデッキ。キャンプギアを試したり、ティータイムを楽しむことができる。家の外と中を穏やかに繋ぐ、中間エリアとしても機能している。庇の先に樋を設置せず、雨の日には滴り落ちる水の流れを楽しむ趣向も凝らしている
水回り。洗面台は広さを重視し、効率的な家事動線にも気を配った。奥の洗濯機・乾燥機と洗面台の間には、スロップシンクも設置されている。北側に位置するが、洗面台の幅と同じ長さのハイサイドライトにより、十分な明るさを確保している
トイレや浴室には坪庭を眺められる窓を設置。外とのつながりを感じることができる
玄関ホール側から見た廊下。天井はなく、吹き抜けとしたことで空間の広がりを感じられる
両サイドから入れる、ウォークインクローゼット。LDK、玄関、寝室、浴室からスムーズにアクセスできる動線だ
寝室。こちらの窓からも田園風景を楽しむことができる。オバマ大統領が座るポスターに映っている椅子を、お施主様は所有しているそうだ。棚は収納用ではなく、ディスプレイ用。厳選されたものが飾られている
深い庇のデッキが、家の外と内を緩やかに繋ぐ。実際より広く、開放感を得られるのもメリットの一つだ。また、LDK南側の正面に窓を設けることで、奥行きの長さをさらに強く感じられる工夫も
南側から見たLDK。一番奥が洗面所。鏡に梁が映ることで、奥行きや広さを感じられる
お施主様こだわりの家具が並ぶダイニング。ケネディー大統領が座っている椅子と同じものが、室内で使われている
西日対策で植えられた植栽。冬以外の時期には葉が茂り、強い日差しを遮ってくれる。柔らかな樹木の影が作り出す陰影も美しい。西側のほぼすべてを開口部としたため、窓は特注で幅広の木製サッシを採用した
お施主様が一つ一つ丁寧にレイアウトしたという、キッチンの壁面タイル。インテリアにこだわりがあるお施主様ならではのエピソードだ
リビング入口に設けられたローサイドライト。光を取り込むだけでなく、帰宅した家族の気配も感じられる
西側外観(夕景)。植栽を照らす照明と、室内から漏れ出る柔らかな光が美しい。この照明を含め、外構もセットで設計されている
東側のプライベートガーデン。家と坂道に囲われ、子供が安全に遊ぶことができる。不整形の土地で出来てしまったスペースを有効に活用した。家屋の窓はすべて透明で、すりガラスはない。開放感を得るためだ。このスペースからも、リビング越しに西側の風景まで眺めることができる
裏にある家の前から見た風景。坂道の上に家が建っているため、裏の家からはさらに良い眺望が得られる。近隣との良好な関係を築くための気遣いだ