子供が独立し夫婦2人の生活となった施主のNさんご夫妻。お2人が、奥様のご祖父母の実家を建て替え、共通の趣味である音楽と、庭の樹木・草花を楽しめる「大人の憩いの家」を依頼したのは、木漏れ日のような温かみのある居心地のよい家づくりに定評のある、キトキノアーキテクチャ小林さんでした。
この建築家に白を基調としたすっきりとした外観のN邸。道路に面した側に音楽室を設け、反対側を居住スペースとした。
中庭前のアプローチを抜け、音楽室への入口、さらにその先の玄関へと進む。広々としたアプローチは、自家用車の切り返しや来客用の駐車場としても活用
エントランス前には、旧宅時代から奥様が親しんできた梅の木。新たな植物を寄り添わせることで、訪れる人々を出迎えてくれるかのような華やかな雰囲気に。
グランドピアノが存在感を示す音楽室。クラシカルな雰囲気をつくるため、ウォールナット調に仕上げた。音楽仲間が集まり演奏会を開くこともあるのだとか。
音楽室へは、アプローチから直接出入りが可能。ガラス扉を開くと中庭とシームレスにつながる
N邸にはこの中庭を中心として93種もの植物が植えられ、四季折々に目を楽しませてくれる。木の成長に対応するため、庇の一部をあらかじめカットする工夫も
中庭には垂れ壁を設けることで、プライバシーにも配慮。夜になると照明によって照らされた木の影がアプローチに映える
リビングの一部を吹き抜けにすることで、解放感をもたらした。
LDKの窓枠は、腰掛けながら中庭やその先の音楽室の様子も楽しめるよう広くとった。小上がりは、カーテンを閉めることで息子さんの帰省時や来客のベッドとしての役割も果たす。
LDK上部には、唯一南側からわずかに差し込む光を取り入れるよう、開口を設けた。光が白壁に反射し、部屋全体を明るく照らしてくれる
木目調で統一されたキッチンは、木に包まれるやさしさを感じさせてくれる。
撮影:Ookura Hideki