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家のなかに風景が? 3つの中庭で、向こう側の部屋すら借景に!

丘の上の閑静な住宅街。近くに桜がある環境が気に入って購入した土地は考えていたよりも広い区画割りの敷地でした。持て余し気味だった土地を活かしたのは、庭を3つにわけて、それぞれを違った表情に仕上げるプラン。環境の良さを充分に堪能できる提案は、ご夫婦の心を捉えました。

室内に居ながら、いく通りもの風景が楽しめる中庭

家を建てることを決めて、土地を探していたKさんご夫婦。エリアは決めていたものの、間違いのない選択をしたいと、土地選びから加藤さんに同行を求めた。近くに桜の木が植えられている場所に心が決まりかけていたものの、ひっかかっていたことがあったのだ。奥さまは敷地が広すぎること、そして、リビングは1階にと考えていたご主人は方角が気になっていた。しかし、土地を見た加藤さんの「この向きだと日が入らないのではと心配されていましたが、解決できる方法はありますよ」との言葉で、土地が決まった。

 加藤さんは、相談に来たクライアントには敢えて、ハウスメーカーも回ってきてほしいと薦めるという。「要望を伺ってから第一案をご覧いただけるまで制作に1ヶ月ほどかかるので、その間いろいろ勉強してきくださいとお伝えしています。その上で、僕の第一案とハウスメーカーの案を比べて、ハウスメーカーの方がいいという方は、そちらでつくった方が幸せだと思うんですね。だから、第一案ができるまでの間にハウスメーカーを見てきていただきました。」加藤さんの薦めにしたがって、Kさんご夫婦がハウスメーカーを見に行くと、1,000万円も安くできると言う。あまりの金額差に、加藤さんの提案を聞く前にはほぼ、ハウスメーカーに決めようとしていた。

 そんな状況で第一案を見た。しかし「これを見せられたら、もうハウスメーカーには行けない」とKさんは思った。「この土地だからこの家が出来たっていう提案をしてくれたから、これ以外は考えられない」と、ご夫婦は一目で気に入り、大逆転で加藤さんが設計をすることとなった。


 ハウスメーカーの提案では大きな家を真ん中に建て、残りは大きな庭と駐車場になっていた。広過ぎる庭をどうしたらよいものかと悩んでいた奥さまには、細長い地形を活かして、雰囲気の異なる3つの庭を敷地内に分散させるアイディアが刺さった。ご主人が懸念していた1階のリビングは、建物の一部を2階建てにして、壁に光を反射させることで暗さや閉塞感が解消されていた。もちろん、2階の寝室やテラスからは、土地選びで決め手となった桜が見えるようになっていた。

 なかでも特徴的なのは、2つの庭に挟まれた和室だ。「お茶をするので和室が欲しい。でも、普段づかいできない和室は客間になって、最終的には物置状態になってしまう。現代的な生活に馴染みつつ、お茶の席にもふさわしいも和室を」という、一見、相反するふたつの条件。これに対して、加藤さんが出した答えは家の中に風景をつくってしまおうというコンセプトだった。「部屋から部屋を見ても風景にはなりませんが、一度、外を介在させて、中庭越しに部屋を眺めると、絵になるんです。離れを見ているような感覚ですね」。白い石が敷きつめられた、お寺の庭のような半屋外の空間を挟んで眺めると、生活空間であるLDKが風景のように見える。


 豊かな空間構成にすっかり惹きつけられたKさんご夫婦は、お子さんが増えた場合に備えて、もう一部屋増やそうかという話が出たときにも、空間を優先する選択をした。部屋を増やした場合とそうでない場合、平面図を比べたご主人は「この伸びやかな空間が失われるのはもったいない。そのぐらいだったら、子どもに寝室を譲って、僕が和室で寝る」と一言。家に居ながらにして、3種類の庭を、向きを変えて何通りにも楽しめる、なんとも贅沢な家が完成した。

 Kさんご夫婦はお客さんを招くときには、何も言わずに案内して、次々と庭が出てくる驚きを体験してもらうのだそう。真っ黒な壁に覆われ、中の様子が伺えないまま玄関を入ると、目の間には坪庭のようなスペース。そのまま廊下を進んでいくとまた、洒落た庭が目の前いっぱいに広がるリビングに行き当たる。座って落ちつこうと振り返ると、反対側にも庭。明るい上の方へ目をあげると、空が見える。
  • 【写真】玄関ドアを開けると目の前にある和の庭。上に向かってスッと伸びるクロチクと、採石場まで行って選んできたという石が風格を漂わせる

  • 【写真】和室側から見た和の庭。玄関からみると奥行きが感じられ、和室から見ると広がりが感じられるように竹が配置されている

  • 【写真】中庭部分を通して、空が見えるLDK。リビングからの視界には子ども室側のテラスも入っており、親としては安心だ

  • 【写真】LDKから見た洋の庭。少しずつ雰囲気の異なる庭だが、白い石とリュウノヒゲはすべての庭に共通している

  • 【写真】ホテルライクな浴室からは洋の庭が見える

暮らしやすく、でも生活感が出ないキッチンとダイニング

生活感をだしたくないというのもご夫婦の要望のひとつ。暮らしに必要な機能は揃えつつも、その存在を意識させないよう、細部までこだわった。

 キッチンでは冷蔵庫を棚のなかにおさめている。扉をしめてしまえば、ダイニング側からは1枚の白い壁のようにしか見えない。LDKではエアコンをルーバーで隠した。窓にはロールスクリーンや網戸をとりつけてあるが、開けた時にはすっかり見えなくなるように、壁や天井の部分に収納スペースがある。子どもがいればモノも増える。生活感のないように見える部屋のなかにも、実は、充分な収納スペースが設けられている。

 ディテールまで丁寧にデザインされた空間を大切にしているご夫婦。その徹底ぶりは、1ヶ月住んでみてから、この家に合う家具を買い揃えたというほどだ。
【加藤 功さん コメント】

 庭の石は採石場まで選びに行きました。この家の庭に合うものをその場で選んでいますから、無駄な費用が出ず、コストがおさえられています。

 実際にかかった費用相応に見える家だとダメだと思うんです。それ以上の家に見せてこそ、僕ら建築家に頼む価値があるのではないでしょうか。
  • 【写真】大きなガラス1枚だけで向こうまで見渡せるのがいいと、構造を補強する筋交いを見せずにすむ鉄骨造に。ガラスを覆うロールスクリーンや網戸はまったく見えない

  • 【写真】キッチンの背面側の収納は扉を閉じれば、完全にフラットになり、周囲の壁に同化する

撮影:鳥村鋼一

お家のデータ

家族構成
夫婦+子供1人
敷地面積
206.77㎡
延床面積
118.12㎡
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