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妻子を守る鉄壁の黒い要塞。室内が明るいなんて信じられますか?

出張で長く家をあけることも珍しくないTさん。家づくりではセキュリティを一番に考えていました。奥さんや娘さんの身の安全を守るためなら、部屋が暗くなっても仕方ないとあきらめていたところ、安全も明るさも同時に叶えられる驚きの提案が。

圧倒的!4重のハードルで防犯対策、でも驚きの明るい室内

仕事の関係で年単位の海外出張にでることが珍しくないTさん。これまでもアメリカやドイツにそれぞれ4〜5年、出張していたことがあった。上の子が小学校へあがるタイミングでそろそろ定住しようと考えたのが、家を建てるきっかけだ。

 次の海外出張の単身赴任の間、奥さんやお子さんが無事でいてくれることが大事と、設計を依頼した加藤さんに伝えた。「買われた土地は住宅街のなかにあって、周辺に高いマンションが建つ可能性もある地域だったんです。そうなったとしても絶対に家のなかを覗かれないようにしてほしいという、強いご希望がありました」と加藤さん。

 ハウスメーカーをいくつも周り、この土地で覗かれないようにするとしたら、だいたいこんなプランだろうと相場をつかんでいたTさんは、加藤さんの提案に驚いた。「どこからも覗けないのに、こんなに明るく開放的になるとは想像もしなかった。これだけ明るいなら、ハウスメーカーを選ぶ意味がない」。プライバシーを優先したら、明るさや開放感は諦めないといけない、という考えが根底から覆された。

 
 外からの視線を徹底的に排除しながら、開放感や明るさも備えた家とは、どのようなものなのか。

 まず、建物の周囲は壁で囲まれ、その中に窓やバルコニーがついている。窓があっても外から見えないため、カーテンをかける必要もない。しかし、視線を遮っただけでは心配は拭いきれなかった。壁を乗り越えてテラスから侵入してくるかもしれないと、テラスには頑丈な雨戸をつけた。

 「僕はガラスをよく使うんですが、たいてい防犯フィルムを貼ります。防犯フィルムを貼ったガラスは、割るのに15分はかかるため、その間に侵入者も諦めるだろうと言われています。このテラスは壁で囲われていますし、防犯フィルムで充分かなと思ったのですが・・・、それでも心配だということでしたので雨戸をつけました。毎日、雨戸を閉めて寝られるそうですから、やはり必要だったのでしょうね」


 何段階も障壁をつくり、徹底的にガードを固めながらも、室内はなんと驚くほど明るい。この家は大まかに言うと、直方体をふたつ、隙間をあけて並べ、その隙間の部分をガラスで覆ったようなかたちをしている。隙間のガラス部分からは燦々と太陽が降り注ぐ。 あまりに明るいので、見学に来た人が一瞬、外ではないかと勘違いしたほどだ。

 外から中の様子が伺えないTさんのお宅だが、隙間のガラス部分だけは外にも明かりがもれるようになっている。これも実は、防犯対策になっている。この家の前の細い道には街灯がなく、夜になると真っ暗になってしまう。そこで、家から漏れた光で夜道を照らすという寸法だ。

 外からの視線を完全にシャットアウトする家は、建設中、となり近所の関心もひいた。「こんな窓のない家に、いったいどんな人が住むのか」と、加藤さんも声をかけられたそうだ。Tさんは完成後、お隣さんを招いて中を見てもらった。周りに窓がないのに明るい家にお隣さんも感嘆の声をあげたのだという。
  • 【写真】LDKから玄関のある西側を見て。壁で囲まれた家のなかとは思えない明るさ

  • 【写真】海外でいいデザインに触れていたご夫婦はデザインも重視した。LDKもできるだけ生活感をなくし、凹凸のないフラットな仕上げに

  • 【写真】1階のバルコニー。正面にあるのが雨戸。水深のある本格的なプールを置いて遊んだり、海外仕込みのバーベキューパーティをしたりするときにも外からの視線は一切、気にならない

  • 【写真】キッチンとバルコニーはフラットにつながっている。バーベキューをするときは、ご主人がホスト役を務める海外式

室内でも家族を守る! 見守る動線を取り入れた間取り

ご主人がセキュリティの次に条件に挙げたのは、奥さまが満足できる家にすること。奥さまの希望はふたつあった。どの部屋にもリビングから廊下を通らずに行けること、そして、子どもが帰って来たときに必ず分かるようにすること。

 出張の多いご主人と共に過ごしてきた奥さまは海外生活が長い。海外のマンションに多い、リビングと浴室やキッチンが直結した間取りに慣れ親しんでいたのだという。そして「これも海外らしい考えだなと思うのですが、家族の様子に口は出さないけれども、把握はしていたいそうなんですね。」と加藤さん。


 そこで、どんな友達を連れてきたのか、いじめられている様子はないか、子どもたちの姿を確認できるポイントを2カ所つくった。

 まず、帰ってきて玄関から階段へ行くところ、次に、階段のある西側から子ども部屋へ行くときに通る通路。ガラスのトップライトの下を通る、この通路を子どもたちは「橋」と呼んでいる。吊り橋のようにオープンな通路を通れば必ず1階から見える。

 もともと、家族の気配を感じつつ、プライバシーも守れる家は、加藤さんが理想とするところでもあった。ご夫婦のあいだでも、2階のご主人の寝室に明かりがつけば、吹き抜け部分を通じて1階の奥さまにも分かるように。

 
 ご主人専用のテラスで晩酌しているときには、キッチンにいる奥さまが見えるように考えられている。下のお子さんの部屋は、ご主人のテラスと隣接している。こちらも部屋にいるのかいないのか、気配で分かるようになっている。

 
 加藤さんはこう言う。「外からのプライバシーについては、ご要望のある限り、これでもかというほどガードします。でも、中は閉じてはダメなんですよね。家のなかまでそうしてしまうと、住んでいる人も心がすさみますから」。
【加藤 功さん コメント】

 デザインだけを考えれば埋め込み式の空調が一番、見栄えがいいのですが、そうすると専門業者を呼ばないとメンテナンスができません。壁掛けエアコンなら、ご自身で量販店のエアコンをつけていただけるので、壁掛けエアコンを隠すようにしました
  • 【写真】ご主人の寝室がある側から子ども部屋の側へとつながる「橋」。トップライトの真下で良く日があたり、洗濯物もあっという間に乾くのだとか

  • 【写真】「橋」からは夜空も見える

  • 【写真】「ピザが丸々1枚、切らずに入る大きさのオーブン」、「炊事中にパソコンが使えるLAN」など、奥さまのこだわりを詰め込んだキッチン。写真の中央部分にある、階段状の「橋」もここからきっちり見える

撮影:鳥村鋼一

お家のデータ

所在地
愛知県
家族構成
夫婦+子供2人
敷地面積
146.80㎡
延床面積
122.12㎡
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