親世帯の家が立つ敷地の一角に子世帯の家を建てる依頼を受けた建築家の平野さん。お施主さまが望む解放感を実現するためにも、母屋の緑豊かな庭を子世帯の家にも取り込みたいと考えた。ただ、家を建てるのは母屋のすぐ脇。いかに視線を庭へ向かわせ、母屋と程よい距離を保つか。可能にしたのは「斜めの軸」だ。
この建築家にリビングは1階の他の部分よりも床を下げ、庭とリビングの床の高さを近づけた。直交した2枚の窓で視野いっぱいに景色が広がり、臨場感がある
ダイニングからキッチン、リビングを見る。右手前の窓の脇には母屋があるが、家具の配置や天井のつくりの妙で視線がそちらへ向かない。床が上がり、スペースの幅も狭いため適度な籠り感があるダイニングと、開放感あるリビングのコントラストが楽しい
ダイニング。2階へ向かう階段は、圧迫感を与えないようスケルトンとした。猫にとってもお気に入りの場所
1階キッチン(手前)ダイニング(奥)。コの字に配置したキッチンはどの方向にも手が届き機能的。内側の床を下げ、家電はカウンターの下に収納した。通路に面した左の辺はお子さまたちがスタディースペースとして使用。親子が近くで過ごせ、いいこと尽くめだ
撮影:針金洋介