「実はここは玄関ではない」と聞いてすぐに納得できる人はいないだろう。建築家の中川さんが直面した「戸数を増やしても面積が減る」というジレンマ。その解決策は、誰もが考えつかなかった斬新な「バルコニーとエレベーターホールの一体化」というアイデア。この常識破りの設計の全貌に迫る。
この建築家に
目白通り沿いのY字路のホームベース型の土地に建つFABRIC東長崎。周囲の街並みに溶け込むグレーを採用。同じサイズの窓が規則正しく連続し、バルコニーの突出もないため、スッキリした印象だ。
北東の目白通り沿いが正面となり、中央のエントランスを挟んで左右に部屋が並ぶ構造。北側斜線規制により、右サイドが段状になっている。
裏手にあたる南西側の屋外非常階段の踊り場に、法規的な主要な出入口(玄関)がある。
エントランスには、集合ポストや宅配ボックスが完備。法規的には主要な出入口ではないが、日常的にはここがメイン出入口となる。
1Fエレベーターホール。自転車も載せられる13人乗りを採用。玄関扉は自転車が出し入れしやすいよう引戸とした。
Bタイプのキッチンはリビングを回り込んだ先に。大きな窓に面し、開放的な雰囲気の中、調理ができる。
Bタイプの寝室。エアコン下の黒い扉が法規上の玄関。出入りも可能だが、土間は設けなかった。変形の間取りだが、ベッドが置けるスペースは確保。
Cタイプの寝室。各住戸には洗濯物を干せるバルコニーがないため、室内物干し金物を設置した。
Dタイプのリビングには、専用のバルコニーへの扉が。斜線規制によりボリュームが削られ、斜めの柱が貫通している。
一番狭くなったDタイプは、居室スペース確保のため、バスタブを設置せず、シャワーブースのみに。
7階には、共用のルーフバルコニー。晴れた日には富士山も見えるのだとか。








