自然を感じられる開放的な「大開口」がある家特集

窓いっぱいに広がる自然の景色。家のなかを通りぬける気持ちのよい風。さんさんと降り注ぐ陽光。「大開口」は、自然を家の中に取り込み、気持ちのよい開放的な空間を実現する大変有効的な手法の一つです。ここでは「大開口」を最大限に活かした魅力的な住まいを紹介します。ぜひみなさまの自分らしい住まいづくりの参考にしてください。

中庭が生み出す、眺望と開放感

京都府木津川市 / 「高の原の家」

リビングの一部は大きな吹き抜け。5.2mもの高さのある大きなガラスのカーテンウォールから見える景色は壮観だ。太陽の光がふんだんに降り注ぎ、青い空に浮かぶ雲や飛ぶ鳥さえ見上げることができる。
夜になると「リビングから中庭越しに見る満月が美しくて格別」とYさんがいうほど、美しい景色を見ることもできる。

美しい景色という点では、2階からの眺望も格別。吹き抜けにある階段を登ると、眼下にはリビングと中庭、その向こうに広がる周囲の景色という2つの景色を楽しめる。そして、この家ナンバーワンの眺望といってもよいのは、2階の寝室の先にあるテラスからの眺め。右を向けば町の様子が眺められ、遠くには山焼きで名高い若草山も見える。左を向けば、ガラス越しにリビングや中庭が見える。

施主の想いを理想的な形にした、自然とともに暮らす家

岐阜県中津川市 / S邸

ミツバツツジが自生する高台に建つS邸。大きな開口部の向こうには山々が広がり、春山に萌える新緑、夏の深い緑、錦秋の山、そして雪景色と、四季の移ろいが楽しめます。多種多様な木々を植樹した広大な庭には鳥たちが集まり、そのさえずりで目を覚まし、高台を抜ける風と射し込む光を肌で感じ、虫たちの声のBGMに耳を傾ける……。そんな「自然とともに暮らしたい」というSさん夫妻の想いを形にしたのは、空間設計aunの宮崎 晋一さん。建築に造詣が深い施主とともに二人三脚で創り上げた理想の住まいをご紹介します。

家の内と外が自然に繋がる。 全てが1つの大空間に感じられる心地よさ

東京都国分寺市 / I邸

何よりもの魅力である眺望を生かすべく、主な生活空間は2階に集めた。1階から2階に上がると、開放感があり外から見た印象よりも背の高い家に感じられる。「2階をより気持ちのいい広々とした空間にするために、1階の天井を下げ、さらに2階は天井を張らず、構造材を見せる仕上げにしたことでぐっと高くしました」と井水さん。

キッチン・ダイニングと和室がひと続きになった2階は、広々とした和室をリビング的に使用できる間取り。SE構法を用いたおかげで空間を遮る柱がなく、また空間の仕切り壁を設けた場所も、天井と壁の間に隙間が空いていることから、2階全体が一つの天井の下に収まり、一体感がある。つまり、浴室から和室まで、それぞれ壁や引き戸で区切られてはいるものの、視線が抜けるので圧迫感がないのだ。

難しい敷地条件を生かし居心地のよさを向上 美しい海を眺めながら暮らす、週末住宅

和歌山県西牟婁郡白浜町 / 白浜町の家

「敷地の造成など、家ができた後に見えなくなる部分に関してはできるだけお金がかからないようにしたいと思いました」と岸本さん。土を捨てるのにもコストはかかる。今ある状態をうまく生かしつつ考案した形が、平屋のようにも見える一部2階建ての建物。上がっていく地面の問題は、屋根の高さを変えずに、内部空間で床のレベルを徐々に上げることでクリアした。敷地の最も高い部分は鉄骨を残し、アネックスを設けている。

岸本さんと姫野さんは家をつくるとき、周りの風景との関係も大事にするのだという。「かなり広い範囲の地図なども参考にしながら検討します。その土地の風景にうまく馴染んで、気が付いたら家が建っていたというくらいが理想ですね」と岸本さん。周囲の環境から白浜町の家の外観に欲しいと感じていた落ち着きと、室内空間に関するご要望を叶えるプランがうまく組み合わさって生まれたのが現在の形だ。

夫婦が憩い、人の縁を育む ずっとここに居たくなるウッドデッキ

茨城県結城市 / A邸

敷地に一歩入ると、芝の緑の美しさの奥に佇むAさん邸が見える。一見すると平屋建てのように感じるが、勾配屋根の奥側は、2階建てになっている。

Aさん邸の最大の魅力といっても良い場所が、リビングから続くウッドデッキと、その先に広がる景色だ。リビングは、吹き抜けの天井がもたらす高さと、大きくとられた掃き出し窓による開放感抜群な場所。さらに窓を開けると広いウッドデッキと一体化し、大空間となるのだ。ウッドデッキの上部は、ひさしを約2m出してあり、夏の高い日差しは遮り、冬の低い日差しは入る設計。また、樋はデッキに雨水が落ちてこないような仕上げにもなっている。

ここまで開放的な平屋だから、自然満喫と落ち着く空間を両立!

東京都八王子市 / M邸

プランの中核に据えたのは6.5mの大開口。ダイニングからリビング、廊下を通って、寝室の手前まで続いている。特注の大きなサッシを使った窓は全部で4枚。窓を開け放てば、すぐ芝生をはった庭に出られる。反対のダイニング側には掃き出し窓があり、すぐ外のデッキにつながっている。こちら側はバーベキューをしたり、太陽のもとで洗濯物を干したりと、実用的な庭だ。デッキを降りると、ゆくゆくは畑にしようと話しているスペースもある。

まるで避暑地の別荘のよう! 地域からも愛される、雑木の庭が気持ちいい住まい

愛知県名古屋市千種区 / K邸

閑静で緑豊かな住宅街に佇むKさん邸。「大きな窓から緑を感じたい」という施主の希望通り、敷地の南側に広がる庭には落葉樹と常緑樹がバランスよく植樹され、周辺の環境とも美しく調和しています。設計を手掛けたのは森建築設計室の森さん。「別荘地のような雑木の庭のある、住まう方からも、周りからも長く愛される家」をテーマに、果たしてどんな家が誕生したのでしょう。

庭に抱かれ、緑と光と風に恵まれたリビング

愛知県長久手市 / S邸

リビングの南に元々あった庭を残しつつ、北側にも新たに庭を造成。リビングの南北両面に庭を配置し、双方に設けた広大な開口部からたっぷりと緑を取り込み、風が抜ける気持ちのよい空間とした。南側にはリビングの床から連続するテラスを設け、内と外のつながりや一体感を持たせている。一方で庇は低く抑えて外側に張り出すことで、夏の厳しい日差しを遮り、涼しく過ごせるように仕上げた。

高台という立地を最大限に活かした、360度の大パノラマを実現

神奈川県 / D邸

鎌倉の高台にあるD邸は、東西の眺望が良く、南北は隣家に接しているという立地。普通の住宅は南側を庭に、北側に家屋を配置するのがセオリーだ。しかしD邸は、敢えて南北に長く建物を配置している。こうすることで、東西の景色を楽しめるだけでなく、明るく開放的な住まいを実現できるのだ。もちろん、隣家に配慮した設計であることはいうまでもない。

D邸の外観で特長として挙げるとしたら、何といっても2階部分のテラスだろう。このテラスを、眺望が良い東西だけでなく、南北にも設けた。その結果、360度という、あらゆる角度から景色を楽しむテラスが実現したのだ。また、テラスを回遊できることで、2人のお子さんにとっても楽しい空間になったようだ。