愛媛県松山市に、まるでリゾート地にある別荘のような邸宅が誕生した。堀江湾が目前にあり、全室から海を望むことができる。冬は薪ストーブ、年間を通じてサウナ・水風呂・外気浴を楽しむことが可能だ。お施主様夫婦それぞれが、趣味を楽しめる部屋も用意された。毎日の生活を満喫できる、この作品をご紹介しよう。
この建築家にリビング・ダイニング。バルコニー越しに海が見える。2階全室から海が見えるようにするため、奥行きがあるプランだ。バランスを取るため、造作のテレビ台(右)と本棚(左)の高さを揃えるなど、工夫されている。照明もシンプルなものに。すべては海に意識を向けるためのものだ
夫婦共通の趣味を実現した、大型の3人用サウナ。洗面台も造作。サウナの内張りが木製なので洗面台も木製に
奥行き2.7mのバルコニー。正面の壁の奥はサウナ後の外気浴スペース。海がよく見えるように手摺もシンプルに
薪ストーブは1階の土間に設置。ストーブの前、階段下のスペースを活用してくつろげる場所を配置。土間から外に出られ、薪の保管スペースにも直接行くことができる
和室。開放的な土間エリアに接しているため、落ち着くことができる空間を目指した。障子はすべて造作だ
土間の上部は吹き抜け。薪ストーブの暖気が2階の各室に届く設計だ。造作の階段はスケルトンとし、2階に上がるにつれて海が良く見えるよう演出。ストーブの黒色と合わせたが、存在感が強くなりすぎないように調整されている
左側にある格子戸の奥はシューズクローク。右側奥にある和室の障子と、デザインを揃えた。すべて造作で仕上げているからこそ実現できる統一感だ。白い壁と黒のストーブ、落ち着いた木でシンプルながら爽やかな空間に
1階の階段前は、奥様の趣味である絵画などを飾ることができるアートスペースとなっている
落ち着いた空間を希望された和室。天井高を2.2mと低くし、照明も落ち着くことができるものを配置することで実現した
和室の障子を閉じると、落ち着くだけでなく、とても美しい空間が誕生する。障子をすべて閉じた時に、角の柱が見えなくなるように設計。シンプルかつ美しさを感じることができるための工夫だ
正面外観。反対側が海に面している。正面が南側になるが、全室から海が見られるよう、南側にウォークイン・クローゼットなどを配置した。そのため、あえて南側に窓は設けていない。この外観は最初のスケッチそのままで、お施主様も満足している
海側外観。2階右側にサウナ後の外気浴スペースと水風呂を兼ねた浴室を配置。視線カットの対策もしている一方、デッキ側は開放的なエリアに。外壁はメンテナンスを意識。白いまだら模様があるため、少し汚れても気にならない
上田さんはすべての家具を造作で配置している。使用する上での最適なサイズだけでなく、視線の移動や室内の空気感を統一するために、ベストなものを“考え尽くす”必要があると考えるからだ。よく見ると本棚の下段左端に、ゴミ箱スペースも用意されている
キッチンも造作。上田さんが地元の木工所と立ち上げた、キッチンブランドのものを使用した。天然の突板を使用し、天板はセラミック。デザインをシンプルにした、天然木が特徴。ダイニング側も引き出しになっており、収納力も抜群だ。大型食洗機は海外製のBOSHが採用されている
木製シャッター付きの屋内ガレージ。土間スペースに直接行くことができる(右)。キャンピングカーやキャンプ用品も収納でき、お施主様の趣味の部屋(左)からガラス越しに車を見ることもできる