家づくりに難航していた施主のSさんが助けを求めたのは、ハル・アーキテクツの竹内さん。その出会いは、神田川沿いの桜の景色を満喫するプランへと昇華された。リビングの特注大窓をはじめ、どこからでも桜の美しさを堪能できる設計の妙。細部にわたる心配りが光る、デザインと実用性を両立した空間。施主のこだわりと建築家の洞察力が響き合い、阿吽の呼吸で家づくりを愉しんだ両者。建築家の想像を超える心地良さを実現した極上空間の秘密に迫る。
この建築家に
アネックス棟の離れのような和室。壁の一部を石川県輪島から職人を招いて漆塗りとし、琉球畳の周りにはリン酸処理した鉄を用いて床の間に見立てるなど、和モダンな空間を演出。
和室の先にはデッキ、さらには水盆があり、その奥には桜が見える。窓が額縁となり、桜の時期はまるで絵画が飾られているかのような空間。建具の枠は全て見えないようにするなど、デザイン性を高める細やかな気配りも。
リビング最高天井高7m、2層吹き抜けで抜群の開放感。目の前には幅6.2m×高さ6.6mの大きなガラス窓があり外の景色を存分に楽しめる。
大窓は、川に正対せず斜めに配置することで桜を正面に捉える。室内であるLDKとその先のガーデンの高さを揃え、内外の空間が一体となって感じらえるデザイン。さらに遊歩道を歩く人の視線を逸らす。目隠しとして遊歩道沿いにレモンやオリーブなど収穫できる樹木を植え、成長や収穫を楽しめる工夫も
夜になると、昼とは趣の違う落ち着いた雰囲気に。水盤に反射する屋内の光が美しい。
Sさんが選んだソファーが、この家のベストポジションに鎮座。テレビ横の壁は、石板をSさんが自ら1枚1枚並べたという。
ダイニング・キッチンは少し小上がりに。視線の位置と高さが変わることで、景色がまた違った印象で見える。ソファー横の南部鉄器で作った花台、ダイニング横にはテンレスの棚兼ベンチも竹内さんがデザインした。
北側のアプローチに面した窓からも光が差し込む。額縁のようなFIX窓にしたため、通風は下のステンレスの小窓で行うという。
竹内さん自らの手で構造設計・制作した土台をもつガラステーブル。ガラスに映る桜も趣深い。
キッチンは回遊できるアイランド型。天板はステンレスのバイブレーション仕上げ。壁パネルは強化ガラスを使うことで清潔感と掃除のしやすさを求めた。








