建て替えする家の設計を依頼された建築家の樋口さん。「庭と繋がる家にしたい」と要望を受け当初はデッキを計画したが、ヒアリングを重ねるうちに外に出るための動線よりも庭の景色の切り取り方が重要だと考えた。自然素材を多用した心地よさ、快適な動線を持つ家の魅力を高めたのは、大きな「庭を眺める窓」だった。
この建築家に
外観。周囲と馴染むことを期待し、外構のコンクリートには無垢の杉板を型枠として使用した。実際に板を張ったことにより表情がさまざまで、コンクリートでありながら有機的な雰囲気がある。住宅街にあるため、庭の中の様子は外からは見えないようにした
外観。画像右が玄関ポーチ。左の外構裏に庭がある。中央に見えるルーバーは建具で、中の通路を通り庭と行き来ができるよう計画。また、光や風も通す役目も担っている。掃除用具などをしまうテラスと繋がり、利便性の高さと安全性を両立した
玄関から土間、テラス、LDKのワンルーム空間を見る。正面の掃き出し窓は「庭と繋がる窓」。奥のテラスでは天候関係なく庭を楽しめる。土間の収納には靴以外にもコートなどを収納できる。現在は土間に薪ストーブを設置。冬場は空間全体を温め、一層ゆったりとした時間が流れる
玄関土間からLDKを見る。右壁面の引き戸は勝手口や階段、洗面・脱衣室に繋がる。隠れているが続く収納の奥にも引き戸があり洗面・脱衣室と繋がる。天井を設けたキッチン、ダイニングに比べリビングや土間は天井が高く、感覚的にエリアが区切られ過ごしやすい
庭から「庭を眺める窓」とテラスを見る。立面的なバランスを考え、窓を出すのではなく奥まらせ、その幅を活用し庇の役目を持たせた。ジョリパットの質感豊かな黒い塗壁と木材の表情を見せた外観はメリハリが効いており美しい
キッチン、ダイニングからリビング、「庭を眺める窓」を見る。庭をより美しく見せるため、FIX窓を採用。サッシやロックなどを一切見せず、すっきりした印象に仕上げた。枠に厚みを持たせることで視界の広がりを抑え、絵画のように庭の景色を切り取った
キッチン(左手前)ダイニング(左奥)、リビング(右)。室内のどこにいても庭が魅力的に見える。床は杉の無垢材を、壁や天井には漆喰を採用した。自然素材に満ちた空間に溶け込んだ庭の景色が四季折々で胸に響く
1階夫妻の寝室。庭は南側にあり、日当たりのよい右のカウンターで奥さまが日本画を描かれる。印象的に見せるため、意図的に細く景色を切り取ったと樋口さん。左壁面に設けた収納は着物や布団を収納するため、奥行きを深く計画した
2階、娘さまの個室。左は読み書きをするカウンターと本棚、中央と右(写真では隠れている)が収納。さらに右奥にトイレがあり、収納は一枚の引き戸を行き来させ、必要時に必要なほうを隠す。ひとりだからこその選択肢により、空間の使い方にゆとりが生まれた








