洋風な造りに和風の落ち着き。
和洋の良さを生かした大満足の家

二階へ上がると、思わずあっと声を上げてしまうほどの天井高。スギの床が素足に気持ちよいA様宅は、今年の春に完成したばかり。木の香りがいっぱいに広がるステキなお宅は、「大満足です」とお施主様がおっしゃる、素晴らしい和洋折衷の家でした。

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落ち着く理由は、昔の家のような重心の低い設計

「とにかく広くしたかった」というリビングは、二人のお子さんが存分に走り回れる大きさ。天井も根太を見せた高い天井で、室内は開放感にあふれています。北側斜線との関係で舟底のような形をした屋根が、一般的な勾配天井とはひと味違った趣を添えています。

「設計当初から、リビングとウッドデッキが一体になった広い室内をイメージしていました。」

ウッドデッキから、リビング、ダイニングまで一直線に並んだ設計は、本当に広々としていて開放感たっぷり。さらに、ダイニングの角は二方向に窓が作られているため、緑豊かな景色をはるか遠くまで見渡すことができます。ダイニング横にはカウンターキッチンがあり、料理をしながら部屋でくつろぐ家族の様子を眺めることができます。キッチン奥には、秘密基地にしたくなるようなワークスペースも。奥様が一人でゆっくり過ごせる空間になっています。

風の流れがごく自然に、心地よく作られている室内に、「風と光がたっぷり入る家にして欲しい」という要望がしっかり叶えられていることを実感しました。

無垢材のフローリングにロフトと一見洋風のお宅ですが、実はA様、「どうしても和室は欲しかった」という和風派でもあります。

ウッドデッキに出る掃き出し窓には、ブラインド代わりに障子が引けるようになっています。障子越しの柔らかい光は、明るすぎず暗すぎず、午後の光を心地よく室内に取り込んでいました。

「このリビングのソファに座ってのんびり過ごすのが好き」というご主人の言葉に納得です。

さらに、A様宅のこだわりは、和室や障子だけではありません。実は、建具の高さにもあります。室内は天井がとても高いものの、窓やドアの高さは一般的な家よりも低く作られているのです。

「施工してくれた工務店さんが古民家をお持ちで。そこに招待してもらったとき、昔の家の低さがすごく心地よかったんです。」

和風のしつらえだけでなく、高さにもこだわった空間性。だからこそ、部屋全体がしっとりと落ち着いた雰囲気になっているのです。

なるほど・・・と低さを確認しようと床にしゃがみこんだら、フリーカウンターとダイニングの壁下、床からの立ち上がり部分に横長の窓が作られていました。

「明るさも取れますし、風も流れます。床にごろっと横になったとき気持がいいんですよ。」
居心地のよさは、こんなところにもひと工夫があるからなのでしょう。お子さんも気持良さそうです。

高気密・高断熱住宅だから、簡易全館エアコン

「最初は床暖房を希望していたのですが、住宅の性能が高いなら、こちらのほうがコストダウンできると工務店さんのほうから提案してもらいました。」

A様宅の一階の隅には床下エアコンが設置されています。聞けば冬場のエアコンは何とこれ一台だとか。

「建物内の空気が流れるようになっているので、これだけで済むんです。」

改めて室内をよく見ると、各部屋のドアの上部に隙間が空いていたり、一階から二階へ小さな吹き抜けが作られています。これらは冷風や暖風を建物全体にうまく循環させるために作られたもので、夏は2階に設置予定の市販のエアコンで冷気が上から下に、冬は工事で設置した床下エアコンで下から上に暖気が回っていきます。これにより、一階隅に設置した床下エアコン一と2階のエアコンで、夏も冬も快適に過ごせるという仕組み。各部屋にエアコンを設置する必要がないので、部屋のインテリアも損ないません。

実用性と遊び心が詰まった家

家の中には、他にも興味深いところがたくさんありました。

一階の壁はすべてひのきの合板張り。木の節目がよく出ていて、とてもシックできれいな壁です。

「素地のままでよいなら、そのまま生かそうと。下手に内装しないで、あとで自分たちでペンキが塗れるようにしたんです。」

自然素材を使うと木が呼吸しているので、ビニールクロスでは窮屈に感じるような狭い空間でも、狭さを感じなくなるのだとか。確かに、木の呼吸が感じられるような室内は、本来の大きさよりも広く感じます。これが自然の力なのでしょう。

洗面所にあるTOTO製の大きな洗面台に驚いていたら、何と理科の実験室用だそう!

「ここで靴も洗えちゃいます。」と奥様。この便利さを知ってしまったら、もう普通の洗面台には戻れないのではないしょうか?

奥様のお気に入りはもう一つ、二階のロフトについている小窓です。
「キッチン横のカウンターから、この窓を通して見える景色がいいんですよね。」

家のあちこちにお気に入りスペースがあって、家で過ごす時間を満喫していらっしゃるようでした。

お施主様と建築士、そして工務店の気持が一つになる

「いろいろな条件がありましたが、石原さんは建築士としての意見を押し付けず、こちらの要望をきちんと聞いてくれました。」とA様。思った通りの家が建ち、大満足だそうです。

石原さんは、ちょっと照れたように笑いながら、こう言います。
「お施主様の”こうしたい”という気持ちを、どう的確に形にするかに心を砕いています。建物としての機能性をしっかり満たした上で、想いをどこまで実現するかが設計士の仕事です。」

人の命を預かる家は、安全性が第一。でも、一生に一度の家づくりには、お施主様の想いや夢、希望がたくさん込められます。大満足だと言ってもらえる家を造るのは、本当に大変なこと。店舗設計なども多く手がけてきた石原さんに、個人のお宅を造る楽しさはどこにありますか?と尋ねたら、こんな答えが返ってきました。

「打ち合わせをしていて、お施主様と感性がぴたっと合ったとき、”ああ、分かり合えた”と嬉しくなりますね。」

家は、お施主様と建築士、そして工務店が一つになって造り上げるものです。
A様宅に、そんな理想型を見た気がしました。

基本データ

施主
A邸
家族構成
夫婦