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一つのものに二つの機能!山積み課題の蕎麦屋を住みよい住宅へ

 両親が長年経営してきた蕎麦屋を閉店するにあたり、店舗兼自宅のリフォームを思い立った娘さん。三角形の狭小地の上、居住スペースの少なかった家が、娘さんの願う「年老いた両親が暮らしやすい住まい」へと生まれ変わったアイデア満載のリフォームとは。

畳ベッドも使わない時は折りたたんで壁に収納。

 初めてこの家を訪れた緑川さんは、その課題の多さに驚いたという。かつて蕎麦屋だった店舗にはものが溢れ、急な階段で上る2階部分にわずかな居住スペースがあるのみ。三角形の土地の端に作られた風呂場は後から増築したため、やむを得ず窓から出入りしている状況だった。

 そんな両親の家を訪れる度に不安を感じていた娘さん。「子どもを連れていっても泊まれるスペースもなくて。長年の立ち仕事で足を痛めてしまった母親のためにも、急な階段や段差のないバリアフリーの住まいにリフォームすることを両親に持ちかけました。そして知人を介して、狭小住宅で実績のある緑川さんにお願いすることにしたんです。


 リフォームにあたって緑川さんが考えたポイントは、「1つのものに2つ以上の機能を持たせること」。例えば、床に置いた照明は、畳みベッドを引き出すとその足になり、廊下は引き戸を閉めると脱衣所になるなど。壁に収納できるテーブルや床下には収納を設けるなど、徹底的にスペースを有効活用する。おかげで店舗だったスペースは、娘さん家族が遊びに来たときも、広々使えるリビングに生まれ変わった。

 2つめのポイントは、「玄関を作らない潔さ。長く過ごさない場所を排除することは、狭小住宅の設計において重要だ。今回は大胆に玄関を排除したことで、木造の外壁の扉を開けると、スロープで直接部屋にアプローチできるバリアフリー設計が実現。足の悪い母親に優しい造りになった上、光がこぼれる快適な縁側を確保した。


 長年の課題だった狭いお風呂場は、孫と一緒に入れる大きな湯舟のある広々したスペースに。「リラックスしてもらいたくて」と設置した打たせ湯は、どうしても生まれてしまう三角形のデッドスペースを活かしたアイデアだ。また、ご夫婦が長年使ってきた製麺機の歯車とそば釜を組み合わせて、雨水で回る水車を製作。両親の思い出は新しい命を吹き込まれて、縁側の隅でゆっくり回るオブジェとなった。

 構造も配管の場所も変え、住みやすい家に生まれ変わったSさん夫婦の家。一つだけ変えなかったことがある。それは「スイッチの場所」。長年の暮らしの中でほとんど無意識のうちに入れている電気のスイッチなどは、極力そのままにしてあるという。緑川さんの優しい視線が感じられるエピソードだった。


【緑川 博久さんコメント】
 家を建てる作業は、クライアントと建築家の協力関係が大切です。打合せをしていく中で、必要な空間や機能を把握し、時には必要でないものを排除していかなければなりません。住む人にとって大切なことの優先順位を明確にしていく作業です。そんな家づくりを一緒に楽しんでもらえたらいいですね。
  • 木造の柵で覆われた外観はモダンな印象。玄関替わりの扉を開けると、バリアフリーでそのまま部屋に入れる

お家のデータ

家族構成
夫婦
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