建築家ならではの「アイデアがたくさん詰まった集合住宅」特集_2

「せっかく建てるなら、借りてくれる人をもっと満足させて、もっと喜んでもらいたい。
利便性や住み心地も可能な限り追求したい」集合住宅を建てるにあたり、そう考えるオーナーさんも少なくないのではないでしょうか。

今回、そのような想いやパッションを、建築家に託し、具現化した実例を特集しました。
オーナー業をされている方はもちろん、そうでない方にも住まい作りの参考になるアイディアがたくさん詰まった実例をぜひ、ご覧ください。

ここだから住みたい、ずっと住みたい 永く愛され地域と共に歩む集合住宅

京都府向日市 / つづき屋根の集合住宅

住まう人を満足させるだけでなく、収益性も満たさねばならない集合住宅の建築。とかく、「効率的で利回り良く建てる」ことばかりに眼が行きがちな集合住宅づくりに一石を投じたのは、アリアナ建築設計事務所の三野さん。高いデザイン性とオリジナリティーで「ここに住みたい」と選ばれ、長く住み続けてもらえる住宅が完成した。

「施主の想い」に寄り添ってプランニング 高低差のある段丘地形を活かした共同住宅

神奈川県横浜市 / 栗の木テラス

「周辺環境に調和し、近隣に配慮した住宅」という言葉は、住宅建築においてよく耳にするキーワードのひとつ。「栗の木テラス」は経済合理性が求められがちな共同住宅ながら、まさにそのキーワードを体現した好例だろう。設計を手掛けた建築家の苅部寛子さんのインタビューを通じ、誕生へのプロセスを紐解いてみたい。

土間付き空間で周辺物件と差別化 収益×住み心地を両立させた洗練の集合住宅

東京都 / 目黒の集合住宅

目黒区内の閑静な住宅街に立つ「目黒の集合住宅」は、松浦荘太建築設計事務所 代表の松浦荘太さん、コバヤシ401.Design room株式会社、LEMON CRAFTの共同設計でつくられた住宅だ。松浦さんたちの設計チームは、こだわりのある賃貸物件を都内で多数開発しているデベロッパーと組み、これまでにも何棟もの住宅を世に送り出してきた。

今回のプロジェクトで選ばれた土地は、センスのいいインテリアショップやレストランが集う目黒通りからほど近い閑静な住宅街。都会的な暮らしを送るカップルや単身者をターゲットに、地上3階・地下1階、1LDKを中心とした全23戸の集合住宅がつくられた。

住みよさと収益性を両立 賃貸住宅のあり方が変わるこれからの長屋

東京都墨田区 / DOMA+(土間と)

亀戸と曳舟を結ぶローカル線、東武亀戸線小村井駅からほど近く下町人情が残る街、東京都墨田区立花にその物件はあった。レンガづくりを思わせるシックな外観は、マンションのようにも感じるが、実はこの物件は法律上「長屋」なのだという。1階に1LDKを2戸、2階にメゾネットの2LDKが2戸、計4戸の重層長屋だ。


アパートやマンションなどの集合住宅は、法律上「長屋」と「共同住宅」に分類される。その大きな違いは、玄関や廊下、階段といった共用部の有無。長屋にはこうした共用部がなく、各住戸が直接道路に対しての玄関をもつ。なるほど、この物件をよく見ると、1階には2つの独立した玄関があり、2階へと伸びる階段が2つある。その階段の先には玄関が1つずつ配されている。

バルコニーに配置した耐力壁が生み出す デザインと快適な居住性の可能性

神奈川県相模原市 / 東林間のアパート [CASA FORESTA]

現在、「東林間のアパート [CASA FORESTA]」が建っている場所は、小林さんのお祖父さまが所有していた土地。お祖父さまはすでに現役を引退されていて、古い空き家が残っていた土地を何とかしたいとの相談を請けプロジェクトがはじまった。

「祖父の第一の希望は収益性の確保。最寄り駅から徒歩約3分という好立地でしたが、周りにある同じようなアパートといかに差別化し、入居率及び収益性をどう確保するか、という視点からスタートしました。不動産コンサルティングの会社にも入っていただき、打ち合わせを重ねながら方向性を固めていきました」と小林さん。