
土間付き空間で周辺物件と差別化
収益×住み心地を両立させた洗練の集合住宅
アクティブ世代に人気のエリアで
賃貸物件をつくる
今回のプロジェクトで選ばれた土地は、センスのいいインテリアショップやレストランが集う目黒通りからほど近い閑静な住宅街。都会的な暮らしを送るカップルや単身者をターゲットに、地上3階・地下1階、1LDKを中心とした全23戸の集合住宅がつくられた。
松浦さんたちが手がける集合住宅は、築年数を経ても家賃を高く維持でき、オーナー目線で魅力的な実績を持つ。その理由は「エリア特性を踏まえたターゲット設定」「ライフスタイルを的確にイメージした住みやすさ、デザイン性の高さ」といった要素で、周辺物件としっかり差別化していることにある。
そんな松浦さんたちの設計の魅力を、「目黒の集合住宅」を通して具体的にご紹介していきたい。
長い動線や大きな土間
心理的なゆとりと高級感が入居を後押し
「収益性が重視される集合住宅の設計において、効率性と快適性の両立は普遍的なテーマです」
効率性と快適性のベストバランスを目指した「目黒の集合住宅」には、共用の駐輪場がない。その分、住戸の床面積が広くなり、快適性が高まることがメリットだ。代わりにそれぞれの住戸には広い土間がつくられており、自転車を置きたい場合も問題なし。むしろ、外に置くよりセキュリティ的に安心な上、土間付きの個性的な空間は高額家賃や入居促進につながるなど、オーナー目線でのメリットも多い。
もう1つ、効率性と快適性を語る上で見逃せないのが1階の中央部に設けられた共用エントランスだ。このエントランスはトンネルのような薄暗い通路なのだが、木目の天井から間接照明のやさしい光が漏れて抜群の高級感。敷地の奥まで約15mを進んでいくと、突き当りで左右に折れて各住戸の玄関やエレベーターに向かえるようになっている。
「建物の中央を突き抜けて奥に回り、それから住戸に向かう」というこの動線のポイントは、敷地を効率的に使いつつ、住戸玄関までの距離をたっぷり取って贅沢感を醸し出していることだ。道路から中に入るまでの長いアプローチで優雅さを演出するのは、高級ホテルや隠れ家レストランでおなじみの手法でもある。
同様にこの共用エントランスも、入居者に「家に帰ってきた」というくつろぎを与えてくれるだけでなく、内見時の印象アップに効果大。雰囲気の良いゆったりとした動線が洗練されたライフスタイルを予感させ、「ここに住みたい」という気持ちを強く後押ししてくれるだろう。
開放感のあるガラスの間仕切り
用途多彩な土間やベンチも
「目黒の集合住宅」の1LDK住戸の基本プランは、土間のエントランス~LDK~寝室というレイアウト。いずれも(1)居室との一体感が高い大きな土間が設けられている(2)壁で仕切らずガラスの間仕切りを入れている の2点が特徴で、これらの効果で空間全体を広く感じることができる。
「土間は、どことどうつながるかで活用のしやすさが変わってきます」という松浦さんの言葉通り、どの住戸の土間もキッチンと一体感がある使いやすい配置。その先のリビング・ダイニングは、用途多彩なベンチ付き。がらんとした空間は使い方をイメージしづらいが、このベンチのように「座る」「テレビを置く」など使い方を想像できる仕掛けがあると、「ここで暮らす自分」をイメージできて入居につながりやすくなるだろう。
リビング・ダイニングからさらに進むと、開閉可能なガラスの間仕切りを挟んだ寝室スペース。日中は間仕切りを開放してワンルームっぽくするなど、ライフスタイルやシーンに合わせてフレキシブルに使える間取りとなっている。
キーワードは「陰影」
採光に不利な住戸をグレードアップ
角部屋以外は別の住戸に挟まれ、窓をたくさん取れないというのは集合住宅によくある課題。「目黒の集合住宅」の1LDK住戸も土間~LDK~寝室という奥行きのある形状なので、角部屋以外は中間のリビング・ダイニングに窓をつくれず、どうしても暗くなりがちだ。
松浦さんたちはともすればネガティブになるこの造りに対し、「陰影」をキーワードに魅力をプラス。シックで落ち着く空間づくりに成功している。
ポイントの1つは床だ。「暗い・狭いが揃ってしまうと良くないので」と、土間とLDKの床は同じ素材でシームレスに仕上げ、空間をより広く感じられるようにデザインした。
窓については小さな窓をあちこちに設けずに、ポイントとなる場所に大窓をつくることにこだわった。「そうすると、洞穴のように奥行きのある住戸内に、たっぷりの光で照らされる明るいスペースと、光が届かない暗めのスペースができます。住空間の中にあえて陰影をつけ、開放感とこもり感、両方味わえるようにしたいと考えたのです」と松浦さん。
空間全体が煌々と明るい会議室のような部屋よりも、高級ホテルのバーや客室のように、ほんのり明るいところと暗がりがあるほうが、人は落ち着いてくつろげる──。松浦さんたちの設計は、このセオリーを自然光で具現化することに成功し、「光が届きにくい」というデメリットを「くつろぎ」というメリットに変換したのである。
どんな部屋でも居心地の良さを感じられ、個性があるのに多様なライフスタイルを受け止める柔軟性も併せ持つ──。エッジの効いた深い魅力で入居者を惹き付ける「目黒の集合住宅」は安定経営が期待でき、オーナーと住まう人の双方に大満足の結果をもたらしてくれるに違いない。
基本データ
| 作品名 | 目黒の集合住宅 |
|---|---|
| 所在地 | 東京都 |
| 敷地面積 | 327.32㎡ |
| 延床面積 | 994.38㎡ |
設計者情報
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