土地の形状を活かした豊かな住まいづくり「狭小住宅特集」

土地の難点をデメリットと捉えず、豊かな住まいをつくる。
コンパクトな敷地に加え、旗竿や三角形といったいびつな形状、更には高さ制限などの厳しい条件のなかで、理想の住まいを実現したという設計事例をここではご紹介いたします。

施主の想いと希望をカタチにした、建築家ならではの設計事例を、ぜひみなさまの自分らしい住まいづくりの参考にしてください。

狭小・密集地でもこの明るさ! 光あふれる空間を実現した五角形の家

大阪市鶴見区 / 鶴見区の家

三方を隣家に囲まれた20坪弱の狭小地に佇む五角形の家。外からは想像もつかないほど明るく開放的な空間が広がっている。この家を設計したのは、建築家の平野玲以さん。30代のご夫婦と小さなお子さん2人がすこやかに暮らせるよう、平野さんが施した数々の工夫に迫る。

狭小地で8つの豊かな住空間。 開放感と快適さを生む「踊り場」の活かし方

東京都世田谷区 / M邸

敷地は約13坪。しかし、一見、2階建てに見えるこの住宅の内部には8つの層に分かれた住空間があり、青空と緑の爽快な眺めも楽しめる。コンパクトな敷地でここまで豊かな住まいをつくることができたのはなぜなのか? 設計を担当した松浦荘太さんの、空間を自由に操るマジックを紹介しよう。

コンパクトなのにゆとりある空間の秘密は 螺旋階段と個性的な大容量収納

静岡県静岡市 / I邸

家族4人で暮らすI様のご自宅は、1フロア約10坪とコンパクトな床面積の3階建て。LDKがある2階を生活の中心に据え、1階は玄関を兼ねた土間と和室、3階には寝室や納戸など、という構成だ。

家づくりにおいて、ゆとりある空間をつくることが大切と考える一級建築士事務所サカキアトリエの戸川賢木さん。まず1階から3階まで直線階段よりも省スペースな螺旋階段で繋げ、空間を効率よく使えるようにした。

“ゆとり”は、視覚的なものや居心地、使い勝手などあらゆる事柄になくてはならないものだ。

まるで十徳ナイフ あえて「狭小住宅」という選択

新潟県新潟市 / A邸

これまでの日本の住宅のあり方としては、家族団らんのためのリビングがあり、夫婦そして子供一人ひとりに個室をという考えが主流だった。いわば家の中に「家族」の場と「個人」の場をそれぞれつくり、使い分けることを是としていた。

一方、鈴木さんはこんな考えをもっている。「そもそもここは『家族』の場所です、『個人』の場所はあっちと、決めてしまうのはナンセンスです。現代社会では、『家族』がリビングに集まっていても、テレビやスマホを見たり、ゲームに興じたり、『個人』で違ったことをしていたりします。であるならば個室でなくとも、たとえ背中合わせに居てもパーソナルスペースがあればいい。むしろ同じ場所にいて、その息づかいが感じられることが、家族としての一体感を持てるのではないか」
実際、鈴木さんのご家族は、個室がなくとも何不自由なく仲良く暮らしている。

狭小いびつな土地で叶えた、家族4人の快適ハイブリット住宅

愛知県名古屋市 / W邸

狭小な三角形の土地に、施主家族4人の住まいをプランニングすることとなった建築家の竹内直樹さん。高さ制限、土地のいびつな形状や高低差など、厳しい条件をクリアして完成した3階建ては、鉄筋コンクリート造と木造のハイブリット住宅でした。狭小な土地にありながら、家族4人が快適に暮らせる住まいの秘密に迫ります。

のびやかな空間で豊かに暮らす。 季節を感じ、夫婦がくつろげる住まい

埼玉県富士見市 / O邸

「部屋数はあるけれど住みにくい」と、3階建ての建売住宅を建て替えたご夫妻の新たな家は、3つのテラスとロフトのある2階建て。空間ののびやかさ、季節を感じる心地よさ、使い勝手のよさまでパーフェクトな住み心地をかなえた新居には、設計を担当した齋藤文子さんの豊かな感性が活きている。

旗竿地、斜線規制…。土地のデメリットをみごとに解決! 開放的で明るい「スキップフロアの家」

東京都目黒区 / S邸

東京の人気エリアに立つS邸。四方を家に囲まれた旗竿地でありながら、建物の中は驚くほど開放的で、室内には明るい光が降り注いでいます。地形、斜線規制といった土地の難点をデメリットと思わず、Sさんが思い描いた広がりのある空間を実現した山口健太郎さん。設計のカギは、空間と空間をゆるやかにつなぐ「スキップフロア」という発想にありました。

狭いけれど狭くない 車3台分の敷地で仕事場もテラスも

東京都葛飾区 / S邸

東京都葛飾区、下町情緒が漂う町の住宅街、周囲を道路に囲まれた島型の土地にぽっかりと空いたスペースがあった。わずか10坪、車3台分程度の広さしかなく、しかも変形地。それでも島村さんはこの地に家を建てたいと考えた。その大きな理由の1つは、すぐ裏手に広い敷地のお寺があることだったという。

「季節の移り変わりを感じる暮らしがしたい という想いがあって、ここならそれが可能だと感じたんです」と島村さん。なるほど、このお寺の境内にはたくさんの樹木や草花が植えられている。この土地であれば、境内を借景として自分の家の庭のように、四季折々に違った景色を楽しめるに違いない。

そうしてこの地に誕生した家は、延床面積約65㎡の混構造(木造・RC造)3階建て。65㎡もあれば、決して狭小住宅とはいえないと感じる方も多いことだろう。しかし、実は1階は、玄関スペースを除くと駐車スペースと島村さんの事務所スペースがその大半を占め、居住スペースは2階と3階を合わせた約42㎡しかない。数字の上では十分狭小住宅と呼べる面積だ。