暑さ寒さのストレスがなく電気代が安い。素材が良質でデザインも洗練されている。それでいて、建築費用は手の届く範囲──。そんな夢のような住宅を設計してくれるのは若手建築家の薄井隆生さん。安全・快適を極めた高性能住宅の魅力を紹介する。
階段は開放感のあるオープンな造りで、シンプルなスチールの手すりも軽やかでモダンな印象。Iさんからは「変化に合わせて間取り変更もできること」という要望もあったため、階段まわりは必要に応じて階段昇降機を設置できるように計画。将来の空間の可変性にも配慮した
階段をのぼっていくと徐々にソラドマ(2階バルコニー)越しの青空が見えてきて、理屈抜きでうれしくなる。空気の循環を促すシーリングファンはインテリアのアクセントにもなっている
階段からの眺め。ソラドマ(2階バルコニー)に面した大きな窓は、冬に真南の暖かな日射を得るという大役を担っている。手前の床は目透かし板にして、空気の循環や1階の明るさを担保。丁寧な職人技が光る目透かし板はインテリアとしても美しい
階段側から見た2階LDK。窓から見えるのは空だけで、視覚的ノイズのない爽やかな光景が心地いい。薄井さんは家の安全性を数値化する構造計算も自分でできるので、建物を支える柱などの要素を必要以上に入れることがなく、すっきりとした空間をつくってくれる
2階LDK。写真上部はロフト。リビング(写真手前)はロフトまでの吹抜けで天井が高く、のびやかな居心地を味わえる。ロフトにはプロジェクターを設置してあり、シアタールーム的に使うことも可能。写真右の壁沿いには、パソコン作業や勉強にぴったりのカウンターデスクもある
2階洗面室には大きな洗面カウンターを造作。内装は磁器質タイルや石目調のフロアタイルをセンス良く取り入れ、人に見せたくなるような空間に仕上げている。写真右の棚はタオルや部屋着の収納に最適。この洗面室はランドリールームとつながっていて、洗濯後はすぐにしまえる
キッチンからの眺め。リビング(写真左側)、ダイニング(写真右側)、ソラドマ(バルコニー)までを見渡せる上、写真右奥にある階段をのぼってくる家族の姿も目に入る。「家事をしながら子どもを見守れる」という要望にパーフェクトに応えたレイアウトだ
“ソラドマ”と名付けた2階バルコニーは、庭の代わりに使える屋外空間。室内との一体感も高く、テーブルセットなどを置いてリビングの延長的に活用OK。日差しが気になる時季はタープをかけるとリゾート感のあるひとときを過ごせる
2階バルコニー。薄井さんは、手すりの高さが周囲の建物の窓の上辺と揃うように緻密に計算。おかげで外部から見られる心配がなく、こちらからも近隣の建物が視界に入らない。この空間を“ソラドマ”と名付けた通り空だけを感じられ、とても気持ちがいい
「窓は僕にとって“熱の欠損”なんです」と“理系少年”らしい発言をする薄井さんだが、「この方角にきれいな山が見えたので、家事をしながら眺めていただけたらと思い、キッチン正面に小さな窓を設けました」とのコメントも。合理性と豊かさの絶妙なバランスも薄井さんの魅力だ