重機すら入れない19坪の変形密集地において、2階建てで延床面積30坪ほしいという難題。この難問に対し、建築家・若林秀典さんが導き出した最適解は、家全体を大きな立体的ワンルームとしてとらえ、螺旋状にフロアを繋ぐ独自のスキップフロア構造だった。
この建築家に
大阪府寝屋川市の住宅密集地にあるY邸。白くシャープなフォルムは、住宅密集地にあって清廉な存在感を放つ。
変形敷地目一杯に沿った台形の形をしたY邸。前面道路は、重機が侵入できないほどの狭さだという。
外壁には、白のガルバリウム鋼板(小波板)を採用。玄関ポーチは敷地背面の斜めの隣地境界ラインと平行に切り取り、シャープな造形美を強調させるモルタル仕上げ。窓の数をあえて絞ることでプライバシーを担保しつつも、室内への豊かな採光と視線の抜けをもたらしている。
夜になると、昼とはまた違った表情を見せ、さらに清廉な存在感を。開口から室内の明かりが漏れ、行灯のようだ。
玄関左手には、主寝室。中央には家族の衣類を一括管理するファミリークローゼットを配置。右奥には、玄関土間からそのままアクセスできる天井高を抑えた納戸スペースがある。自転車やアウトドア用品を収める、都市生活における貴重な「蔵」のような役割。
主寝室。将来の子ども部屋としての分割やワークスペースへの転用も見据えて、2分割できるよう、ドアや窓も2つずつ設けられている。
1階奥から、壁伝いに半階上った先にあるのがトイレと洗面コーナー。寝室からもリビングからも半階分の移動で済む抜群のゾーニング。上階からの光が降りてくるよう、階段はスケルトンに。
トイレの隣にある洗面コーナー。鏡は実用性と共に、空間を反射し広がりを感じさせる役割も。壁に沿って回り込むような螺旋階段でリビングへと進む。
階段を上った先の窓は、向かいの家からは視線がカットされ、プライバシーが守られながら、空への視線の抜けが確保されている。
ラワン合板を用いた天井と床の木の温もりが、白い壁に優しく調和する。トップライトから差し込む光が、敷地面積19坪という数字を忘れさせる家族のリビングを明るく照らし出す。
リビングの上には、宙に浮いたようなダイニングキッチン。階段はあえて真ん中に。この階段はベンチにもなり、リビングで寛ぐアイテムとしても活用されている。
ダイニングキッチンの階下スペースはお子さんの遊び場にもなる隠れ家的DEN。ここにはカーテンレールが取り付けられ、お子さんたちが1階に個室をもった際には、この一部が夫婦の寝室となる予定だという。
お気に入りのカフェにいるかのような、ゆったりとした時間が流れる特等席。天井高は抑えながらも、視線の抜けがあるので、圧迫感はない。
キッチンは、奥様のリクエストにより、人造大理石のシステムキッチンを採用。ラワン材のパネルで囲うことにより、造作の背面収納との統一感を出した。下にいる子どもたちの様子を見ながら料理や洗い物ができる。
キッチン奥にはバスルームと洗濯機置き場、パントリー。さらに屋上へと続く外階段がある。
バスルームは変形したこの家の形状に合わせてFRP仕上げで造作。掃除のしやすさやコストカットを兼ね、あえて扉を設けず、シャワーカーテンを採用した。脱衣スペースも防水仕様のFRP仕上げで一体的に造作している。








