
小さな家でも広々と暮らしたい。
中庭を配した、開放感あふれる住まい
敷地に建物を長方形に寄せ
テラスと駐車場を確保
Kさんと吉田さんの家づくりは、土地探しから始まった。奥様の要望は、住宅地で都市ガスがあるところ。そこで候補に挙がったのが、この土地だった。広さもある程度あり、切り開かれていた土地なので造成のお金も抑えることができる。価格も相場の6割程度だったことが大きな決め手となり、Kさんはこの土地の購入を決意した。
設計当初、Kさんから伝えられた要望は、「収納力が高いウォークインクローゼットとキッチンのパントリーの設置、大きく感じられるLDK、そして、将来子どもが生まれたときに子ども部屋にできるようなロフト」。と、とてもシンプルだったそう。この要望に沿って吉田さんがまず考えたのが、家の配置だった。「周辺の家は斜路となっている前面道路に対してセットバックして南側を開けているところが多かったのですが、そういう一般的な建て方は嫌だったんです」。そう語る吉田さん。この家らしい個性を出したいと何パターンか配置を考えた結果、敷地に対して建物を長方形に西に寄せるという案に決定。そうすることで、前面道路から離れすぎないほど良い距離を保ち、東側にはささやかながら明るいテラスと、駐車場を確保することができた。
K邸の大きな特徴は、LDK(ビッグスペース)と、水回りや寝室などの(スモールスペース)の大きく2つの要素で構成されていることにある。主な動線はすべてLDKとなっており、スモールスペースに行くときは必ずビッグスペースを通るユニークなつくりとなっているのだ。そして、このLDKの梁に掛けられたはしごの先にあるのが、まるで隠れ家のようなロフトスペース。「階段をつけることもできたのですが、あえてはしごにしました」と話す吉田さん。このはしごの左右は、ウォークインクローゼットとなっている。
ちなみにこのLDKの広さはおよそ40㎡だが、室内に入ると実際の広さ以上の開放感を感じさせる。その理由は、天井の高さにあるのだそう。「LDKと脱衣所は4500㎝と高くし、寝室は2300㎝ほどと低めの天井高にするなど、居心地に変化を出しました」。そう吉田さん。広くて高く明るい場所、狭くて低い落ち着く場所、など、空気の量を増やしたり減らしたりしながら、それぞれの空間を演出したのだという。
中庭を設けることで
住環境にゆとりを確保
また、LDKを挟んだ反対側にはテラスも設けられており、左右から明るい光が入るため室内も非常に明るい。建物の中だけでなく、外側のスペースもうまく活用して住環境をより良いものにする。そんな吉田さんの工夫が感じられるデザインだ。
最後に、K邸づくりで吉田さんに最も苦労したことを聞いてみた。返って来た答えは「コスト」である。もともと予算が3000万円と限られていたため、随所でコストダウンの工夫が必要だったと話す吉田さん。「工務店も頑張ってくれました。あと大きかったのは、土地探しを現地の不動産屋ではなく、建築家とのコラボレーションを主に行なっている創造系不動産にお願いしたことですね。創造系不動産がファイナンシャル面も見てくれるので、とても助かりました」と語る。
吉田さんのところに設計を依頼するお施主様の中には、すでに土地を購入している人も少なくない。しかし、なかには設計しづらい土地を購入してしまっているケースも散見されるのだそう。そのため、余分なコストがかかってしまうこともあるのだと吉田さんは話す。
「家づくりをする際は、できれば土地探しから一緒にやらせていただく方がいいですね。コストが結果的に上がるのも避けられますし、最終的にお施主様が得をすることが多いと思います」。
その点K邸は土地探しから始まったということで、懸案だったコストも抑えることができ、予算内で理想の住まいが完成。Kさんも非常に満足されているという。
「家の居心地がいいので、友達を招くことも増えたそうです。前はすぐに出かけていたけれど、家で過ごす時間も増えたと言ってくれて、とても嬉しかったですね」。吉田さんは、そう笑顔で話してくれた。
基本データ
| 所在地 | 栃木県宇都宮市 |
|---|---|
| 敷地面積 | 256.6㎡ |
| 延床面積 | 86.74㎡ |
| 家族構成 | 夫婦+子ども1人 |
| 予算 | 2000万円台 |
| 施主 | K邸 |
撮影:長谷川健太
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設計者情報
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