
海と緑を眺め、毎日リゾート気分。
居心地抜群のアウトドアリビングがある家
公園の緑と海を一望。
開放感が心地いい3つのリビング
まるでアメリカ・西海岸のようなロケーションを誇るこの家を設計したのは、アトリエスクエア1級建築士事務所の代表・大場浩一郎さん。福岡県を中心に100戸以上の戸建ての設計を手がけ、住み心地とデザイン性を両立させた住まいを多数生み出している建築家だ。
施主さまは5人家族ということもあり、住空間をたっぷり取れる3階建てを希望。公園と海が広がる北の眺望を活かすこと、リビング感覚でくつろげるテラスをつくること、南の前面道路および北の高層マンションからのプライバシー確保などを望んでいた。
そんな施主さまのために大場さんがつくった住まいは、白い箱を重ねたような木造の3階建て。洗練されたファサードが目を引くが、この家の特徴はなんといっても、リビングが3つあることだろう。
第1のリビングは、2階のLDK。南北に長いこの部屋は南も北も窓があり、遊び心のあるソファが置かれたリビングは天井の高い吹抜け空間。横にも縦にも広がる開放感が心地いい。
第2のリビングがあるのは3階だ。ここは応接室として計画したが、今ではお子さまが元気に遊ぶファミリーリビング的なスペースに。第3のリビングである北側の大きなテラス~名付けてアウトドアリビングとの一体感が高く、内と外を自由に出入りして遊べるのだから、お子さまが気に入るのも頷ける。
3つのリビングはいずれも北の公園や海を一望でき、居心地抜群。中でも3階のアウトドアリビングは、屋外にくつろぎスペースをつくりたい人にぜひ見てほしい魅力が盛りだくさん。どんな空間なのか詳しくご紹介していこう。
プライバシー確保と使い勝手にこだわった、
日常的に使えるアウトドアリビング
理由の1つは、タイルで仕上げた床だろう。大場さんはテラスを計画するとき、タイルの床を提案することが多いという。「ウッドデッキよりもメンテナンスが楽な上、経年変化もしづらく室内のような美しさをキープしやすいと思います」と大場さん。
テラスを囲む袖壁と木製の屋根も、リビングらしさを演出する立役者。屋外なのに壁と屋根でさりげなく守られることで「ここは家」と感じられ、心の底から落ち着ける。
ちなみに、アウトドアリビングの袖壁には近隣の高層マンションからの視線をカットするプライバシー確保の狙いがあり、タイルは排水などに配慮して大場さんが厳選したもの。つい、見た目と居心地のよさに気を取られるが、使い勝手に妥協しない大場さんの配慮が行き届いている。
プライバシー確保でいうと、建物正面となる南の外観にも工夫が施されている。塀は法規の関係で視線が通るものにする必要があったが、大場さんは南の道路からセットバックした場所に外壁の一部としてコンクリート壁を設置。法規をクリアすると同時にプライバシーを確保した。また南側に位置する浴室には壁で囲ったバスコートを設け、浴室や洗濯物干しスペースへの視線を遮っている。
大場さんはいう。「ご要望にデザインをプラスして気持ちのよい空間を計画しつつ、使い勝手に妥協しないのがポリシーです。デザインも大切ですが、住み心地と使いやすさを一番大切にしたいですね」
見て、暮らして大満足の住まいは、使い勝手にこだわり抜いた設計の力で生まれているのだ。
制約を感じさせない豊かな空間。
「使う人」への思いを込めた設計姿勢
例えば建物の高さ。木造3階建てのこの家には、軒高9mという法規上の高さ制限があった。9mから床下や天井の厚みを引いて単純に3で割ったら、各フロアの天井高は決して「高い」とはいえないものになる。
けれどこの家はどうだろう。家族が憩う空間はいずれも、「そんな制約あったんですか?」と驚いてしまうようなのびやかさ。
「開放感はバランスだと思います。ケースバイケースですが、緻密な計算で可能な限り高さを確保し、吹抜けや、視線が横に抜ける大開口などをうまく組み合わせる。そうすれば、高さ制限があっても開放的な空間をつくることができますよ」。確かにこの家には吹抜けや大開口がバランスよく設けられ、圧迫感はみじんもない。
こうして豊富な知見を駆使しながら、一貫して戸建てをメインに仕事を引き受けている大場さん。最後に、大型建築よりも戸建てに軸足を置く理由は何なのか聞いてみた。
すると「一番の違いは、住宅は設計を依頼してくださる方ができた建物を使う人である、ということです」との答え。いわれてみればビルなどの大型建築は、依頼者と建物を使う人が同一人物ではないことがほとんどだ。
「住宅は、建物を使う方の評価をダイレクトにいただける建築です。住み始めて数カ月、数年経って愛着が湧いた頃の感想もいただける。そういう濃厚なお声を聞けることが楽しいですね」
大場さんはそう話してくれたが、逆にいえば、戸建て設計は「使う人」から逃げも隠れもできない緊張感がつきまとうともいえる。
だからこそ、緊張感と向き合う姿勢、もっといえば向き合えるだけの豊かな設計力が大場さんのすごさなのだと思う。人生の一大イベントである家づくりにおいて、大場さんが長年にわたり人気を博す理由が垣間見えた気がした。
基本データ
| 作品名 | Outdoor living House |
|---|---|
| 所在地 | 福岡県福岡市 |
| 敷地面積 | 319.75㎡ |
| 延床面積 | 298.7㎡ |
| 家族構成 | 夫婦+子ども3人 |
撮影:岡本 公二
設計者情報
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