三角屋根が印象的!
シンプルモダンを極めた二世帯住宅

お子様がいるご夫婦とお母様が住むS邸は、シンプルモダンをテーマにした二世帯住宅。限られた空間の中で2世帯+2匹の猫が心地よく暮らせる住まいをつくり上げた建築家の石川淳さんに、こだわりの家づくりについて伺いました。

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目指したのは、人も猫も快適に暮らせる住空間

今回の住まいで、3軒目になるという施主のSさん。ご夫婦2人とお子様、お母様、そして猫2匹が暮らす家を建てるにあたり、まず希望したのが「シンプルな住宅」だった。「もともと夫婦でシンプルな家が建てたいねと話していて、検索サイトで【シンプル住宅】と検索し、そこで見つけたのが石川淳建築設計事務所のサイトでした」そう話すSさん。石川さんがこれまで建てたシンプルでモダンな家の外観に、すっかり一目惚れしてしまったのだそう。さらに2匹の猫を飼っているSさんにとっては、キャットウォークのある家など、石川さんが猫と楽しく暮らせる家を得意としているところにも惹かれたのだという。
「今まで住んでいた家は住宅メーカーで建てたのですが、自由度が低いところに不満を感じていたんです。自分が本当に住みたい家を建てるなら、建築家さんにお願いした方がいいと思って、石川さんにお願いすることにしました」。

初めての打ち合わせの際、石川さんに最初に伝えられた希望は、「シンプルな三角屋根の外観」、「お母様も快適に過ごせる二世帯住宅」、「猫も快適に暮らせる家」そして「陶芸作家である奥様のためのスペース」だった。
「空間が限られているなか、この4つをどう実現していくかが課題でした」と当初を振り返る石川さん。しかし、シンプルモダンな住宅はもともと石川さんの得意とするところ。もともと石川さんのテイストを気に入ってくれたうえでの依頼だったので、楽しんで設計ができたという。

最初に課題となったのは、シンプルな外観だった。Sさんの希望は「家の正面にあたる南面に窓をつくらないこと」。しかし、採光を確保するうえで、南側に窓をもうけないというのは定石に反する。この課題にこたえるべく石川さんが取ったのは、天窓をつくり東西に開口部を設けることで、採光を確保するという方法だった。
「建築において、開口部のデザインは印象をつくる重要な要素で、かつ完成度を高めるのは非常に難しいんです。ですから今回は、家の正面に窓を設けないことが、結果的にデザイン性を高めることにもつながったと思います」と石川さんはいう。こうして無駄なものが一切ない、S邸の洗練されたフォルムの外観が完成した。
  • 完全分離型の二世帯住宅であるS邸。正方形の大開口内に親世帯の玄関があり、Sさん世帯は左の側面側からアプローチするつくりとなっている

    完全分離型の二世帯住宅であるS邸。正方形の大開口内に親世帯の玄関があり、Sさん世帯は左の側面側からアプローチするつくりとなっている

  • 三角屋根のフォルムがそのまま生かされた2階のリビング。トップライトからは明るい光が降り注ぐ

    三角屋根のフォルムがそのまま生かされた2階のリビング。トップライトからは明るい光が降り注ぐ

  • 2階のLDKに面して子供室やサニタリーの出入り口を設け、家族の中心にリビングがあるように設計。また2階は階高を高めに取り、その下にある親世帯のLDKの高い天井高さを実現した

    2階のLDKに面して子供室やサニタリーの出入り口を設け、家族の中心にリビングがあるように設計。また2階は階高を高めに取り、その下にある親世帯のLDKの高い天井高さを実現した

土間のアトリエとスキップフロアでモダンな空間が完成

続いて、S邸の中を紹介しよう。まず正面に設けられたのが、お母様のためのエントランスと、庭を望む大きな開口部。庭の木々が視界を遮るため、人通りも気にならない。室内には広々とした畳敷きのLDKと寝室スペースが確保されており、2つの空間は引き戸で仕切ることも可能。天井の化粧梁が、モダンな雰囲気を醸し出している。

そして、Sさん世帯の玄関は、正面から回り込んだ側面に配置。入ってすぐのところに設けられたのが、奥様が作品の製作を行うアトリエスペースだ。土間に仕立てたのは、石川さんからの提案だそう。土などで汚れてもいいようモルタルで仕上げられているが、その風合いが白い壁と相まって、美しい仕上がりとなっている。

土間の横に設けられた階段を上がると、そこはSさん世帯の居住スペースだ。アトリエの上は、スキップフロアで構成された寝室。そして2階には、リビングと水回り、そして子ども部屋が備えられている。リビングで特徴的なのが、三角屋根をそのまま感じさせる天井のフォルム。天井を高くしてトップライトを設置したほか、2方向にベランダが設けられているため、陽光がたっぷり注ぐ明るい空間となっている。

リビングを印象付けるもう1つの要素となっているのが、奥様こだわりのアイランドキッチン。全体のテイストと合わせて今回造作されたもので、こちらもSさんの希望通り、無駄のないデザインで統一されている。「食器棚や収納も全部見えないようにしたいとお願いしたのですが、見た目もスッキリしていて、とても気に入っています」と奥様は笑う。そして壁沿いには、2匹の猫のためのキャットウォークが。ちなみにS邸では猫が脱出しないよう、二重の扉で玄関ドアと室内を仕切るなど、石川さんが得意とする、猫のための工夫も随所に生きている。

完成した家に大満足だというSさん。石川さんとの家づくりをこう振り返る。「僕たちは家のプロではないのでお願いもかなりあいまいな感じになるのですが、石川さんはそれをしっかり形にして提案してくださったので、お願いして本当に良かったと思っています」。
Sさんご家族も、お母様も、2匹の猫も、みんな快適に過ごせる家にしたかったと話す石川さん。その思いが詰まったS邸で、今日も家族それぞれが快適な時間を過ごしている。
  • 陶芸作家の奥様が作品の製作を行う1階の土間スペースには、電気炉を置くことを想定。また、猫たちが逃げ出さないよう、二重の扉で玄関ドアと室内を仕切る工夫も

    陶芸作家の奥様が作品の製作を行う1階の土間スペースには、電気炉を置くことを想定。また、猫たちが逃げ出さないよう、二重の扉で玄関ドアと室内を仕切る工夫も

  • リビングには猫たちのためのキャットウォークを巡らし、家の中でも猫たちが楽しめるように作り込まれている

    リビングには猫たちのためのキャットウォークを巡らし、家の中でも猫たちが楽しめるように作り込まれている

  • スキップフロアの奥には猫部屋が備えられており、写真の黒い扉(トイレ)を背に半階上ったところに主寝室がある

    スキップフロアの奥には猫部屋が備えられており、写真の黒い扉(トイレ)を背に半階上ったところに主寝室がある

撮影:アトリエあふろ(鈴木暁彦)

間取り図

  • 1階間取り図

  • 中2階間取り図

  • 2階間取り図

基本データ

施主
S邸
所在地
神奈川県横浜市
家族構成
夫婦+子供1人
敷地面積
216.84㎡
延床面積
127.92㎡
予 算
3000万円台